(前回からの続き)

 僕は大学進学で東京に出ました。

 大学で驚いたのは、同級生の半分以上が地方出身者なのです。

 地方出身者同士が集まると、どんな話をするかわかりますか??

 

 「東京のご飯がおいしくない」という話題で盛り上がります。

 ご飯と言うのは、白米です。誤解がないように先に言っておきますが、東京のご飯がまずいとか食べられないということではないのです。

 僕の場合、実家は農家です。祖父・父・姉はこの高校の卒業生です。その祖父・父・姉が作ったお米をずっと食べてきました。そういうお米はとんでもなくおいしいってことです。

 地元で作ったおいしいお米や野菜、海沿い出身の同級生の場合は新鮮な魚を子供の頃から食べていると、東京に出た時ちょっとびっくりします。

 

 この町の高校を卒業して東京の企業に就職する人もいます。

 その中には、1年以内に会社を辞めて戻ってくる人も少なくないそうです。理由は「寮の食事がおいしくない」だそうです。仕事は楽しいが寮の食事が耐えられないというんですね。みなさん、もうわかりますよね。

 そこで進路指導の先生は、「この町のお米や野菜を寮で使ってもらう」「寮で食事を出すのをやめて自炊にする(そうすれば実家から送ってもらった米を食べれる)」と企業にお願いしたそうです。すると早期退職者は減ったそうです。

 

 僕は、この農業高校を卒業した人がこの町で作るお米や野菜は、日本一おいしいと思っています。

 少し前、我が家ではこれをビジネスにしました。

 農業高校を卒業した父と姉が作ったお米を、早稲田を出た僕が東京の知り合いに売っています。売っているお米は、我が家に代々伝わる伝統的な農法で作られたものです。大量生産はできないので限られた人にだけ売っています。5㎏6,500円ですが、予約は2年先まで埋まっています。

 

 さて、そろそろ私がみんなに伝えたいことが何かわかってきましたか?

 みんな、自分が作ったお米、野菜、加工品を持って東京に出てみてください。

 文化祭で販売するものを、一度東京で売ってみませんか。

 きっと尊敬されます。

 

 S市長がこの町に無印良品を呼ぼうとしましたよね。市長も「東京の飯はまずい。この町のコメを食べたい」と思ったはずです。そして、この町の自然・水・米が本物であること、農家の人々が一流の技術を持っていることに気づいたはずです。それを、日本中に出店している無印良品の力を借りてビジネスにしようと考えたのではないかと僕は思っています。無印良品は、この町の農産物を食べてこの町の人を尊敬してくれたから契約したのだと個人的に思っています。

 

 僕は、尊敬する農業高校のみなさんに2つ考えてほしいことがあります。

 1つは、この町の人口が減っても、コメ・野菜・加工品の生産量を維持するにはどうすればよいかです。

 もう1つは、どうやって信頼できるビジネスパートナーを見つけるかです。

 

 この2つを、市長に頼る、大人にお願いする、議員さんの力を借りることなく実現しましょう。残念なことですが、この町の議会は無印良品を否決しました。ビジネスパートナーは自分で見つけないといけないのです。                        

                      

                               つづく…