Y女史がS市長を訴えた裁判(恫喝裁判)の判決が出た。

 ・公人である市長の書き込みは、原告Y女史の名誉棄損であると認める

 ・ただし、原告の主張する賠償金は却下する

 ・裁判にかかった費用約300万円は、原告9:被告1の割合で支払う

 

 手に入れた判決文を友人である弁護士に読んでもらった。

 彼の見解は、市長の勝利である。

 公人としてTwitterに書いたことはやりすぎと裁判所は判断した。したがって原告の主張である名誉棄損は認められる。しかし、それ以外の原告の主張はすべて棄却されている。

 交通事故に例えるのはあまりふさわしくないが「事故原因を作ったY女史が9:ぶつけられたS市長が1」ということだ。被害者にも前方不注意があったから9:1。Twitterに書いたのは公人としてふさわしくないから9:1。だが原因はY女史にあるから9:1…。

 

 判決前、裁判所は和解勧告を示していた。そのことを聞くとこう返ってきた。

 「俺の助手のパラリーガルがS市長のファンでな、お前の町の議会中継とか全部見てる。市議会議員12人の名前・プロフィールも全部把握している。彼女に教えてもらいながらお前の町のこと調べたよ」

 「結果論になるけど、Y女史は和解勧告に乗るべきだったな。ひょっとすると和解勧告の時、裁判長はY女史に名誉を取るか、お金を取るかということを示唆したかもしれない。その時、たとえばこんな風にまとめればよかったんだ」

 

・Y女史が恫喝と思われるような発言をしたこと、S市長がTwitterに恫喝??と書いたことについては、それぞれ事実を認め、謝罪し合う。

・裁判費用については、和解成立時までの費用を折半する

・和解内容については公表しない。また和解の話し合いや謝罪は本人と代理人のみ立ち合いの場で行う。

・ただし、市長・市議という立場から以下の内容を連名で公表する

 ①〇月〇日、裁判所から勧告を受け入れ、和解が成立した。

 ②和解内容の詳細については公表しない。

 ③和解が成立した際、Y議員とS市長とはそれぞれ謝罪の意を示した。

  この謝罪をもって本件は終了した。

  今後はお互いに協力して市政に取り組み、この町の課題解決、発展に尽力することで合意している。

 

 「和解をした方がY女史にとってメリットが大きかった。市長に謝罪させたということで後援者は納得するだろうし、自分も詫びたとすれば年長者らしい度量の大きさを示すことにもなる」

 「何より、裁判に勝って270万円支払うより、和解して150万円の方が被害が少ない。そしてS個人も150万支払ってこの裁判は終わる。」

 「150万円支払った市長にもメリットがある。謝罪したとなれば年長者への敬意と謙虚さとをアピールできるし、何より市民が安心するだろ。そうすれば、Y女史の株もS市長の評価もあがる。お前の町の市議会の泥試合も終わるだろう。」

 

 俺はその通りだと思った。もしSが和解を持ちかけられたら、お互いに非を認め、お互いに謝罪することを条件に和解をのんだはずだ。Sは正義感が強く、納得できないことにはかみつくが、ビジネスマンとしては周囲に気を遣い、根回しがうまく、客観的に物事を見ることができる人間だ。

 Y女史なりに筋を通せば、Sも筋を通した返答をしただろう。

 

 それを認めなかったのは、市政刷新ネットワークのボスであるW議員と山川さんだ。そして、Y女史は270万円の支払い義務を負った。市長も傷つき、市議会は混乱する。

 だが、その中で2人だけ無傷なヤツがいる。

 W議員と山川さんだ。