Y女史が名誉棄損でS市長を訴えた裁判、いわゆる「恫喝裁判」の一審判決が出た。
原告Y女史の視点でみるとこうなる
・名誉棄損 → S市長がそのTwitterに恫喝??と書いたことは名誉棄損に該当
・恫喝発言はしていない →していないと客観的に判断できる証拠はない
・賠償金500万円 → 原告が主張する被害・不利益は認められない
被告S市長の視点でみるとこうなる
・名誉棄損 → 公人としてはやりすぎ、名誉棄損に該当
ただし、私人としては該当しない
・恫喝発言があった →あったと客観的に判断できる証拠はない。
・賠償請求 → 支払う必要はない
結論はこうなる
・公人であるS市長の書き込みは、被告Y女史の名誉棄損であると認める
・原告の主張する賠償金は却下する
・裁判にかかった費用約300万円は、原告9:被告1の割合で支払え
山川さんからコピーさせてもらった判決文から読み取った内容を整理すると上記のようになる。これをどう捉ええるべきなのか、弁護士である友人に連絡を取った。
和解勧告が出た時の相談は、夜雑談しながらだった。だが、今度は正規料金を払って相談したいと伝えた。その夜、電話があって、その場でZOOMにつないだ。
友人はオフィスにいた。
「送ってもらった判決文読んだぞ。お前の読みでまちがっていない。
あと、これは俺とお前の世間話ってことでいいか」
「結論から言えば、これは市長の勝ちだな。もし俺のいる事務所がS市長の弁護を担当していたなら、判決を受け入れて30万円払って終わりにしようと勧める。原告Y女史の弁護人であっても同じだ。270万円払っておしまいにしようと言う」
「理由は簡単だ。原告は裁判には勝ったかもしれないが、それ以上に失うものが大きい。損害賠償は棄却されている。その上で相手の分も含めた裁判費用の90%、270万の支払いが命じられている。もし原告が控訴しても2審での判決はあまり変わらないだろう。その場合、控訴審で勝っても、裁判費用の負担が倍になるだけだ。控訴しても原告には何のメリットもない」
「裁判では、原告側の立証責任が大きいんだ。名誉棄損の根拠となる恫喝発言について、原告はなかったことを立証できなかった。主張した不利益・損害も認められなかった。原告は立証責任を果たせなかった。だから賠償請求は却下だ。」
「原告がラッキーだったのは、市長がTwitterに書いたことだ。書き込んだTwitterを裁判所は市長という公人の発言の場と認めた。そして、この書き込みがこの裁判の唯一の物証だった。それが名誉棄損の客観的根拠となっただけだ。」
「もし市長がTwitterに書かなければ、この裁判は原告敗訴だったな。そもそも訴訟にすることに無理があったと言うべきだろう」
「あまり正しい例えではないがな、Y女史とS市長の車が衝突したとしよう。
事故原因は明らかにY女史にある。だが被害者にも運転中の注意義務がある。
こういう場合『Y女史9:S市長1』でというのが一般的な解決になるだろ。
そういうことだ」
俺は「和解勧告が出た段階で、裁判官はこのような判決になると考えていたのか」と聞いた。
つづく