のつづきです。

 街づくりプロジェクトを手掛けるAさんが、良品計画誘致についての評価をしている場面です。

 

 一番の驚きは、人口2万人少しの町に良品計画が出店を決断したことだ。

 そもそも利益が出るのかだ。

 もちろん、出店を決断したということは調査をして採算が合うという結論が出たのだろう。だが、無茶苦茶儲かるとは思えない。赤字にならない程度というのが僕の仮説だ。となると、何かそれ以上の価値がS市長の町にあるということになる。

 

 まず、誘致の本気度×ビジネス関係の環境がとてもよいことが考えられる。

 役所×公務員には独特の言葉があって、ビジネスの交渉ができないことも多い。しかし、S市長は民間×金融の出身だ。ビジネスの言葉でコミュニケーションが取れる。さらに、担当者も公務員ではない。そのために全国公募で副市長を公募するという。最終候補者は、大手企業に就職し、その後復興支援や町おこしの団体を立ち上げた人だ。ビジネスパートナーとしてこれ以上の人物はない。

 ここからわかるのは、よくある「スタバが欲しい」という田舎町の願望ではないことだ。町の活性化の核となる企業の誘致という本気度がS市長の采配から伝わる。

 

 店舗も新築しなくてよい。リフォームは必要だが、道の駅を店舗として提供してくれる。駐車場もある。となると初期投資額が抑制できる。

 

 実は、この話を知ってS市長の町を何度か見に行った。近くまで行った時のついでだけど。で、わかったのは良品計画の商品と、町の物産との相性の良さだ。

 良品計画は「生活雑貨」がメインだ。そしてS市長の町の工芸品は生活雑貨が多い。地元野菜・川魚などの加工食品もある。あれ、おいしかったよ。

 つまり、良品計画の店舗で売りたいものが結構ある。だから、今道の駅で売っているものは、そのままコーナーを設けて良品計画の店舗で売ることができる。その中で人気が高いものは、良品計画のスキルでブラッシュアップして全国展開することもできる。良品計画と地元とのコラボ商品だな。

 このパターンをS市長の町で試みてビジネスモデルを作る。そして、全国のいろいろな町と良品計画とのコラボで新商品を生み出す。それは、地方創生という社会貢献にもなる。

 

 あと、S市長の町には良質の木材がある。林業の町なんだな。

 良品計画は、木造住宅・木製家具も作っている。

 その材料として、S市長の町の木材を使ってみたいと考えたというのが僕の仮説だ。たとえば、町の人が自宅の建て替えをする時、良品計画がデザインを提供する、材料と職人は地元から調達することが可能だ。となると価格も抑制できる。

 

 というわけで、S市長の町で開店すると、店舗のある町の人々の生活すべてに良品計画が関わることができるということだ。人々の生活すべてに関われることは、ビジネスの機会が大きくなるだけではない。その人の人生や町の役に立つことだ。これは良品計画の企業ポリシーと一致する。

 

 そういう意味で、最も謎なのは、S市長と良品計画とがどこで結びついたかだな(笑)。この出会いは、町にも企業にもとても幸福なものだと俺は思う。

 こんなに相性のよい出会いって、なかなか無いぞ(笑)。

 

                          つづく…