超、長文です。
ある面談をしていました。
とある塾生の学力状況に関して。
この子は、お世辞にも勉強ができるとはいえません。
かなり、出来ない方です。
いや、「出来ない方だった」という方が正しいかもしれません。
この子は、学校のテストは40点とか20点とか
えーっと…100点満点ですよね??
みたいな点数でした。
10点とか0点もあったんじゃないかなと思っています。
それがここのところ60点とか80点とか
なんと90点とれたり。
もちろん、毎回そういう点数なわけではなくて
落差はあるのだけれど
とにかく、そういう点数が取れるようになってきていると。
保護者の方いわく、夏休みあたりから何かが変わってきたと。
口にする言葉
向き合い方
意識
そういったものが明らかに良くなっていっていたようです。
以前は学校の宿題もかなり遅い時間までかかっても終わらない。
保護者の方が手伝ってもなお終わらない
みたいなこともあったようです。
結果逃げるみたいなことも。
しかし最近では、自分でやりきって終わらせられるようになったり
テストに向けて自分なりに工夫しながら勉強するようにもなったとか。
すごい変化ですよね。
私は「この子、なんか変わってきたかな?」という程度には変化に気がついていたのですが
そこまでの変化があったとは思ってもいませんでした。
この子に起こった変化は何か。
端的に言えばおそらく
精神年齢が上がった。
この子は、入塾当初から、かなり他の子に比べて幼い印象でした。
今も比較的幼いですけれど。
でも、何かがきっかけで精神年齢が少し上がって
見えている世界への認識が
ハッキリしてきたのだろうと感じています。
子どもって、あんまりはっきり物事を認識してなくても困らないんですよね。
黙っててもご飯は出てくるし
親に言われるがままにやることやればいいし
別に勉強なんてできなくてもそんなに困らないし
目の前の物事や聞こえたことにその瞬間だけ反応していれば生活は成り立つ。
多分それまではそういう世界にいて
すごーく世界はぼんやりしていて
細かな差異など気にもとめていなかった。
何かあれば大人が手を差し伸べてくれるし。
そういうぼんやりしたままに過ごしている子は割と多い印象です。
それが、何かがきっかけで気にするようになって
違いを意識するようになるとともに考えるようになり
観察したり考えたり聞いたりするから精神年齢が上がり
そうしてだんだん世界への認識が変わっていった。
すこし大袈裟な書き方かもしれないけれど
おそらく、こういうことがこの子には起きているのだと思います。
では、私はこの子に何をしたのか。
ハッキリ言ってしまえば
ほぼ何もしていません。
「このテキストを自分で読みながら進めるんだよ」
と指示を出し
チェックテストの丸つけマシーンと化していただけです。
ほとんど教えていません。
たまに「これはやらなくていい」と問題を捨てたり
ごく稀に「こうでしょ?」と伝えたくらい。
この子には厳しいとわかってて、そうしていました。
厳しくとも、自分で読みながらとか進めるということできないと
後々、当塾の授業の仕方にはついてこられなくなるし
特別扱いしてこの子にだけ張り付くわけにもいかなかったからです。
手を貸しすぎても良くないという思いもありました。
自分で進めていけるようになって欲しい
自分で進めていけねば意味がない
と思っているからです。
だから、最近教えすぎないようにわざと意識しています。
自分で読み解いて自分で理解していけるようにならないとずっと教えてくれる誰かを頼ることになってしまうので。
誰かに頼るのは悪くないけれど
頼るのが当たり前になってしまうと考えなくなりますからね。
何度も、この子にはこのやり方は酷かもしれない
このやり方だとこの子はどんどんできなくなるだけかもしれない
と思いましたが
でも、塾として提供していることはコレと割り切っていました。
残酷だったかもしれませんね。
しかし結果論ですが
この子にはこれが効を奏したんですね。
とにかく自分で解かないと何も前に進まない状況
黙って待ってても何もしてもらえるわけでもなく時間が過ぎていくだけの状況
そういう状況に置かれて
この子なりに考えるようになり手を動かすようになり。
最初の頃は全く手も動かなかったですからね。
他のことも自分で比較できる状況だったのもよかったのかもしれません。
他の子はどんどん進んでいくけれど
自分は全然進まないことも多かったので。
さらに、この子には私が言っていることや塾報で書いていることが伝わっていたようです。
当塾で月一目安に発刊している塾報には受験情報や事務連絡などと共に
勉強に関する様々な内容や私が考えている色々なことが載っています。
ブログのさらに細かい内部向けみたいな内容でしょうか。
これだけもらいに来る卒業生もいたりします。
様々な厳しいことが書かれていることもあります。
どうやらご家庭で塾報をお母さんと一緒に読んでいたらしい。
私が厳しく書いていたりするのを見て、この子は「愛がある」と表現していたそうです。
高校への興味も出て来たそうです。
おそらく、裏では保護者の方の凄まじいサポートがあったことと思います。
最初のうちは張り付いていないと何もできなかったのですから
おそらく家でもルーティンで出る宿題はほぼ無理で
お母さんが一緒にやってあげていたのではないかと想像しています。
塾の宿題だけではなく学校の宿題も。
今でも手伝ってあげていることはあると思います。
それに、塾報だって
お母さんが一緒に読むということをしていたわけですし
読みながらお母さんが色々話をしていたであろうことは想像に難しくありません。
この子には、その親の愛情といえばいいのでしょうか
親が一生懸命自分のために協力してくれているということが伝わっていたのでしょうね。
愛されている感覚でもいいましょうか。
お母さんも時にイラついたことがあると思います。
「なんでこんなに…」
「なんでこんなことも…」
そう思った日もあるでしょう。
疲れていてそれどころじゃない日もあったでしょう。
テストの点を見て諦めそうになったこともあるでしょう。
当塾に来る前、他塾にも通っていたようですが酷い点数で
当塾に来てからも半年くらいは何も変化なしでしたから
「無理なのか…」と心が折れそうになったこともあるでしょう。
それでも
私がやること、言うことを信じてサポートしてくれていたお母さんの存在が
この子にとってどれほど大きいか。
わかります?
この話、一番すごいのはお母さんなんですよ。
私なんてなんもしてません。
本人が変わって来て努力するようになって成績が上がった
という話なわけですが
その裏にあるお母さんのサポートと姿勢
これがすごい。
成績あげるって
きっとこうなんです。
保護者の方の協力が必須。
中2にもこういう親のサポートから変わっていったがいます。
中1の最初の頃はくちゃくちゃな成績だったのが
面談してお父さんが数学協力して見るようになってからだんだん変わっていきて
今では小テストをするとクラスで一位になることもある。
そんな生徒がいます。
親のサポートはかなり大きい。
特に、低学年であればあるほど。
塾に丸投げで成績を上げて「もらう」という考えではダメで
自分も変えていく努力をしようという意志と実際の行動がないといけません。
あー説教くさくなってしまった。
やめよう(笑)
この子には、もう一度小学校1年生の内容からやり直しをしてもらうつもりでいます。
意欲的にやれそうになって来ているので
今なら嫌がらずに低学年のものもやると思うので。
おそらく小学校低学年の内容でもちょっと怪しい部分はあります。
でも、精神年齢が上がった今なら乗り越えられるはず。
小学校に入学した時点で精神年齢が低かったりすると
本当に小学校1年生の内容から躓いていたりするんですよね。
あるいは、何かしらの原因(斜視や視力の弱さ)で目から情報を取り入れることに何があって
でもそれが発覚していなかったり発覚していたのだけれどそんなに意識していなかったりして
うまく認識できていなくて学習がうまくいっていないなんてこともあったりします。
学習がうまく進められていないなら
戻ったほうがいいんです。
成長速度はその子その子様々で
早いからいい、遅いからダメということはありません。
ただ、精神の発達が遅いと
学校のカリキュラムに合わせて動くとうまく学習を進めることができないのです。
中学生になってから小学校5、6年生のことをやり直すと
「あれ?なんな難しく感じたのに分数計算クソ余裕じゃね?」
みたいなことはよくあります。
それと同じで小学校高学年で小学校低学年の内容をやり直して見ると
すんなりしかも、簡単な内容であるがゆえに爆速でやり直しが進むこともあります。
低学年のものをやるとするとプライドが邪魔をするのか恥ずかしいのか
舐めてかかってテキトーにやったり
嫌がってやらなかったりする人が多いですけれど
本当にやったほうがいいです。
小一から、徹底的に。
特に算数数学に苦戦している人はやらないとダメです。
といってやらないからいつまでも苦手なんですけれど。
この子にはお母さんのご協力とご理解を得て
小一からやり直しをしてもらいます。
たぶんやり直しを進めていくにあたってもまたお母さんの助けが必要になるのだと思いますけれど
それは覚悟してますとのことでした。
母は強い。
いや、たぶんこのお母さんの姿が当たり前ですよね。
我が子ができないままでいいとは思えないわけですから。
でも、やっぱりすごいです。
これまで思い悩んだことも多かったでしょうが
子どもに変化が現れて来たのも事実。
きっとまだまだ大変ですが
この変化は後々大きなものとなるでしょう。
自分でやれるようにもなって来ているようですし
もうししばらく、ご協力お願いいたします。
もしかしたらまだ3年とか続くかもしれませんが。
さて、長々まとまりもなく書いてしまいましたが言いたいことは4つ。
① 親が子どもの勉強に協力してあげてください。
② 小学校1年生まで戻る覚悟を。
③ 教えすぎはよくない。
→自分で読んで手を動かしていけるようにならねば意味がない。
④ 刺激を与えつつ「待つ」ということが必要な場合もある。
→子どもの成長速度は結構差があります。
受験に間に合うとか間に合わないとかそういう目線だけで子どもの成長を見ないほうがいいでしょう。
これをよーくご理解いただきたいなと思います。
長々と読んでいただきありがとうございました。