授業料無償化になるとどうなるのか。
かなり面倒な話しになるのですが
中堅以下の私立高校のレベルが落ちることになると思われます。
理由は
私立単願がより増えると思われるからです。
私立単願そのものを悪いとは思っていません。
とても行きたい学校で、推薦基準に足りているならばどんどん活用すべきですし
そのために頑張ることもとても重要なことです。
学力的には一般受験がちょっと厳しそうでも
そういったルートで報われるならばとてもいいことです。
また、私立単願で確定させて
即座に大学受験に向けて舵を切って邁進する人もいます。
これも目的のために考え抜いた結果でしょうから何の問題もないと思います。
しかし、そういったポジティブな単願受験とは別に
勉強から逃げるような単願推薦があるのも事実です。
一般受験まで頑張りたくない
そもそも勉強好きじゃないし、やりたくない
早く決まる単願推薦でさっさと受験をおわらせてしまおう
みたいな。
私立単願は、学力検査を課すいくつかの学校を除き
12月に内申が確定するとほそこで受験が終了となります。
面接や小論などがあったりしますが
基本は内申で中学校と高校側でのやり取りでよほど酷いことがなければ落ちることはありません。
私立の単願推薦の倍率は、ほぼ1倍です。
そのため、12月で内申が確定すると
勉強をほとんどしなくなってしまうということがよくあります。
高校側から課題が出たりすることはありますが
一般受験を最後まで戦い抜く子たちに比べれば
勉強量は非常に少ないものです。
特に、中堅以下の私立高校ではこういった事態が目立つのも確かです。
特定の学校を批判する気はありませんが
高校に入ってから推薦組の意識の低さについて聞くこともあります。
これまでもそういったことは多々ありました。
しかし、これまでは都立高校に向けて最後の最後まで一生懸命やりぬいていた人もたくさんいます。
そういった層が、私立の無償化で都立までやり抜かずに流れていくことも増えると思われます。
私立の高校側としても生徒数が早めに確保できれば経営的に安心です。
この流れが無償化によりもっと多くなる
というのが
教育関係者界隈ではよく言われています。
私もその通りだと思います。
そしてもう一つ。
私立単願がもたらすもう一つの影響は
都立の専門学科に関してです。
現段階でも専門学科の人気は低いです。
そうしても、勉強が苦手な子がいくところというイメージがあります。
進学研究会が発表している基準点も普通科に比べると低くなりがちです。
私が学校の勉強が苦手なら
普通科に行ってまた受験勉強をガリガリやるよりは
専門学科でより実践的な内容を学び何かしらのスキルを身に着けるほうが良いのではないかと思っています。
学校の勉強内容があまり得意ではなくても
専門学科で学ぶ内容なら実社会に直結しやすいためか具体性があり
専門学科での勉強がよかったという人もたくさんいます。
専門学科での勉強のほうが花開く人もたくさんいるんですよね。
そもそも専門学科から大学へは行けないと思っている人も多いですが
都立の専門学科から大学へ行く道はしっかりしています。
私は都立の専門学科、とてもいいと思っているのですが
イメージが先行しているようであまり候補に挙がりません。
これがもっと加速してしまうのは、もったいないのでは?と感じます。
もう一度言いますが推薦制度そのものを悪いとは思っていません。
ポジティブな理由での推薦はぜひぜひ活用してもらいたいですし
私立高校の無償化も家計的に大助かりですからいいことだと思っています。
しかし、だからこそ
せっかくのこの政策が
結果として
勉強から逃げて受験はさっさと終わらせてしまおう
みたいな流れを加速させることにはんらないでほしいなと考えています。
受験ってある種の試練なわけだけれど
試練を乗り越えて大きく成長していくわけですから
その試練から逃げて易きに流れるということはしないほうがいいと感じています。