通勤途中の道で、こてこてのロリータの女の子をたまに見かけます。
私の住んでいる所は田舎なので、彼女はいつも二度見されています。
彼女とすれ違うと、私の心はいつもチクリと痛むのです。
私も20年前(!)は、彼女と同じような服装で町を歩いていました。
何層にも重ねられたレースで身を包んでいると
他人に見られては困るものが、隠せるような気がしていたのだと思います。
二十歳も過ぎ、いつまでもこの装いでいる訳にもいかないと
大好きだった洋服たちを封印しました。
死ぬときに棺桶に入れてもらおうと、押入れに寝かせておくことにしたのです。
三十歳も過ぎ、社会と折り合うことも覚えました。
そして通勤途中で見るロリータさんを見て、
「きっと20年後には、
『あの時フツウの格好してれば、婚期を逃さずにすんだ』って後悔するってー」と
勝手に自らを投影し
失礼な忠告を心の中でしていたのです。
最近になって、彼女を見て心が痛む理由がわかりました。
大人になって
そつなくこなすことを優先し
人に認められることが目標になって、
自分らしく在ることを後回しにしている自分に
無意識は気づいていたんだと思います。
自分らしく在るためには覚悟がいります。
人は理解してくれないかもしれないし、
世間的な考え方とは、ずれているかもしれない。
それでも私はこれでいいと決めるには
腹をくくらねばなりません。
それは自分の人生に責任を負うということです。
逆に言えば
自分の人生に責任を負えないうちは
「自分らしく」なんて生きられないのかもしれません。
私もまだまだ覚悟ができていなかったんだね。
ちなみに、押入れで眠らせておいた私のロリータ服たちは
今年の初めにサヨナラしました。
おばあさんになって、あの世にあの衣装で行ったら、
向こうの人たちも、びっくりすると思うので。