先にどうでもいい酔っ払いの道中記をあげてしまってすみませんあせる改めまして肝心の観戦レポ(という名のただの感想)のほうを遅ればせながらあせる

 

「羽生結弦 notte stellata 2024」初日公演を見に行ってきました。

東スタンド席Uブロック10列目、ロングサイド真ん中よりややショートサイド寄りの席でした。セキスイハイムスーパーアリーナは3回目(FaOI2019、2023)、毎回スタンド席ですがリンクが近くて見やすい印象です(今回ショートサイド寄りの階段近くの方が注釈席並みに視界が遮られるお写真を上げていましたが、流石にあれはちょっと配慮してあげてほしいなと思いました)。尚これだけリンク全体を見やすい席でもカルミナ・ブラーナはかなり厳しかったあせる

仮設リンクの割に寒かったのでしっかりRE_PRAYブランケットで防寒、横浜では持っていき忘れたANAバナータオルを膝の上にスタンバイさせていよいよ開演ですキラキラ

 

 

最初に流れる羽生くんの語りの部分は、昨年同様に新しく録音したものではなく過去のevery.の取材の中で語った音声を繋げたものですよね。以前録画を見ていた時に居合わせた夫が音声レベルのバラつきが気になるといっていたのですが(放送設備工事屋さんなので)、まぁ確かに新録した方が聞きやすいとは思いますよね(映像は新しくなっている訳ですし)。でもこれまでの音声を繋ぎ合わせて流すことで羽生くんがあの当時からずっとこの3.11の星空を記憶していて折に触れて語っていたことや、この公演のタイトルとオープニングプログラムとして何故notte stellataが使われているのかがより伝わるのかなと感じています。

 

1年ぶりの再演となった「notte stellata」。

2016年の初演から8年あまり、演じる度に素晴らしい進化を見せてくれるプログラムですが、今年もまた違った姿を見せてくれたように思います。技術的な進化はいうまでもないのですが(いやもうRE_PRAYの記事で散々書きましたがあの上半身と腕のしなやかさがね、凄いよね)、纏う空気が違ったんですよね。

去年は慈愛の光のような暖かさから昂る感情を吐露するかのように涙を堪えた姿まで、感情の波に翻弄されるかのように3日間まるで違う印象となる演技でしたが、今年はとても凪いでいるというか穏やかな演技だったように思います。

美しく嫋やかだけれどどこか力強い白鳥が舞う姿。それは羽生くん自身が取材で語っていたように去年の公演とは違う心持ちのせいなのかもしれませんね。辛い苦しい気持ちがどうしてもあった去年と、皆からもらったものをもっと返したいもっと希望を届けたいというコンセプトで滑った今年。それがこのnotte stellataにも表れていたように思いました。

それにしても見る度に美しさに震えますね……競技エキシ問わずプログラムの中であんなに曲に合わせて美しく3A跳ぶ人おらんと思うんですよね……ていうかジャンプで表現しようと思う人他におらんものね……

 

昨年と同じく「Twinkling Stars of Hope」にのせたオープニング。

出演者が1名増えたことで振付変わるのかなと思ったのですが、大きな変更なくごく自然にハビの登場が組み込まれていましたね。コンセプトに基づいてわざわざ曲の制作を依頼してまでウィルソンが拘って創り上げたオープニング、この先回数を重ねても出演者が変わっていってもきっとこの構成を大事にして続けていくんでしょうね。

個人的にはさっとんの美しい滑りとシェイリーンの力強いリードが好きです音譜

あ、ライビュ&配信、フォーメーションとマッピング撮りたいのは分かるけれど天井カメラはほどほどにね汗これってBSやCS放送の時はスイッチング変わるんだろうか…?

 

理華ちゃんの「True colors」

調べたらシンディ・ローパーの曲なんですね(洋楽の知識は皆無ですあせる)。歌詞を読んでみると「本当のあなたは輝いているしそれが私には見える、私はあなたのそばにあり続ける」というような、不安を抱えながら生きる人達の背中をそっと押してくれるような曲でした。まさにこのnotte stellataというショーにぴったりな「希望を届ける曲」で、理華ちゃんから故郷への暖かいメッセージだなと。

最初の方にあるハンドベル?の綺麗な音色に合わせた繊細な振付が素敵でした(またマニアックな好みを披露している…)。理華ちゃんの伸びやかなスケートに合っていて優しい気持ちになれる演技でした。

「Permission to Dance」は理華ちゃんの真骨頂というか(笑)、誰よりも楽しんで誰よりも弾けて踊ってましたね音譜来年はソロもBTSのナンバーでいいかも♪

 

無良くんの「Westside Story」は去年FaOIで見ましたが無良くんらしいプログラムでもう一度見れて嬉しかったな♪

ただやっぱりジャンプの不調がねあせる跳べなくなってる訳じゃないと思うんですよね。でもやはりコーチ業の比重が大きくなるにつれ自分で曲かけして練習する時間は短くなるだろうし、単発では跳べても曲に合わせるって難しいからね。本数減らしたり種類変えたりしてもいいような気はする。

無良くんの今年の最大の見せ場は刑事くんとの「Saturday Night Fever」ですかね音譜ああいう独特の男っぽい雰囲気は羽生くんにはちょっと出せないんですよね、無良くんと刑事くんならではの男くささがありました。見逃し配信はまさかの音なしだったんだけど、放送までに使用許諾何とかなりますように…!

 

ヴィオレッタさんは「Last Dance」と「the kight shall never fade」

去年に引き続き素敵なエンターテインメントを届けていただきました音譜

今年の新発見は「光るフラフープ天井カメラとの相性抜群」という事です(まぁこれは会場じゃなくて家で配信を見て気付いた事ですがw)。天井からの映像めっちゃ綺麗だった…!

あのフラフープ、他に使い道はないだろうか……私は人間輪投げくらいしか思いつかない……

 

シェイリーンの「waka waka」、2010年FIFAワールドカップ南アフリカ大会のテーマソングなんだそうですね。あなたは素晴らしい戦士と励まし奮い立たせて皆で前へと向かっていく歌。以前にも演じているプログラムだそうですが、この場所で演じるプロとして選んでくれたのは意味を考えてもあったのかな?楽しく盛り上がれる曲調と躍動感あふれる演技から溢れる陽のエネルギーを会場いっぱいに届けてくれたと思います。お客さんとの絡みかたも絶妙だった(プル様みたいにぐいぐいいくやつだと時々引いちゃうお客さんもいるのでw)

プロ中のプロであるシェイリーンは観客の盛り上げ方も上手だし、オープニングとフィナーレで群舞をぐいぐい引っ張ってくれるし、グループナンバーの「Permission to

Dance」でも先頭に立って盛り上げてくれている。本当にありがたい存在だなぁ。

 

そういえばその「Permisson to Dance」での映像出演の羽生くん。

羽生くんをアイドル視するつもりは全くない私から見ても完璧にアイドルでいけると確信出来る御姿でした……カルミナ演じてた人と同一人物とは思えない。

あの映像よく見るとスクリーンの右左で違っていて(ひとつの映像のアップと全身という訳じゃなくて振りや表情が違った)、つまりわざわざ2パターン収録しているという事ですよね?映像演出の方のこだわりが凄いなw

皆の楽しそうな演技も良かった音譜あれって振付はシェイリーンとウィルソンのどっちなんだろう?

 

ジェイソンは「Adios」と「You raise me up」

今回恥ずかしながら「You raise me up」の原曲が「Danny Boy」である事を初めて知りました(確かによく聞いたらそうですね汗)。勿論ただの偶然なんでしょうが何だか気持ちが伝わってるみたいで嬉しいですよね。

スケーティングの素晴らしさはいうまでもないのですが、それにしても身体のキレが素晴らしい……いやワールド控えていて仕上げの段階だったでしょうから当然といえば当然なんですけど、BVとレベルを取らなきゃならない競技現役のジャンプとスピンのキレは段違いだわ……プロはそこまでやる必要ないからねぇ(約1名競技以上に極めてる人はいるけれど)

 

さっとんは「Voila」「one last dance」

前半のはSOIで滑った曲だろうか……見た記憶はあるのだけれど何処で見たのか全く自信がないあせる

プロ2年目にしてベテランの風格漂う彼女、どちらのプログラムも美しい滑りと所作と現役時代と変わらぬ極上のレイバックスピンと逆回転スピンを堪能させていただきましたキラキラ新プロのセルフコレオも素晴らしかったキラキラ

欲をいえば。そろそろ違うテイストのプロも見てみたいかな、去年のFaOIのステファンプロも良かったし、コミカルだったり明るいテイストのものもいいかも。

 

あっこちゃんの「Love dance」、滑りと上半身のしなやかで嫋やかな動きはやはり最上級ですキラキラ目力が健在なのも嬉しい音譜

確かにジャンプの抜けなどはあったけれど、ショープログラムとしての完成度は素晴らしい出来映えですよね。残念ながら今の競技スケートではここまで滑りと表現を磨く前にジャンプの難度を上げなければならないから、こういった演技を見ることは少なくなってしまいました……

振付師としてだけではなくスケーターとしてFaOIで1プロくらい滑ってくれないだろうか……真壁氏要検討を願う……

 

ハビの「踊るリッツの夜」と「Prometo」はそれぞれの方向でハビのスケートの上手さと個性が出る素晴らしい演技だったんですが……衣装のワイシャツを何とかしてくれないものだろうか汗

いやFaOIの時からずっと気になってたんだけどね、せっかく格好良く決めてもどうも締まらなくて(笑)。出てこない仕様のものに是非変えてほしい、せっかくショープロとしていい感じにこなれてきてるので。←こんな感想ですまないあせる

 

今回一番のインパクトは刑事くんかな?「Hope」めっちゃよかったですよねキラキラ

去年のFaOIでもダンサブルなプログラムをやっていたけれど(ディーン様とのコラボ格好良かったですよね♪)、更にダンスに磨きをかけてきましたね。プロになってどんどん演技の幅を広げているなぁ。

今年はグループナンバーの「Permisson to Dance」にも加わり、無良くんとのコラボの「Saturday Night Fever」もあり、公演の中心メンバーとして大活躍でした。あとはあれだな、表情管理でもうちょい弾けられたら最高なんだけどなw


内村さんの時にもひとりでの演技があったので大地真央さんの歌も聞かせていただけると思っていましたが、男役の歌まで歌ってくださるとは思いませんでした。「Guys and dolls」と「Anything goes」では発声から違っていて(宝塚男役出身者ならば当たり前なのかもしれませんが)、本当に凄いなぁとキラキラ(お世話になっているマエストロ曰く低い声を出せるのは才能なんだそうです、高い声はトレーニングで出せるけど低い声はそうではないと。そう考えると男役の方は自らの才能を磨ききった方々なんだろうなぁ)

立ち姿のシュッとした美しさ、それとは対照的な可愛らしい踊り、そして伸びやかな歌声。役者さんの演じ分けって凄いなぁと楽しく拝見させていただきました音譜

華やかな照明演出とノッテでは微妙に浮いていた(FaOIならいいんだけどねあせる)アナウンスがここではいい仕事しましたね音譜これぞエンターテインメントという素晴らしい時間をありがとうございましたラブラブ

 

 

そして公演の柱ともいうべき羽生くんの演技、「notte stellata」については最初に書いたので大地真央さんとのコラボレーションである「Carmina Burana」と大トリの「Danny Boy」。

 

前半最後にコラボ企画が来るのは去年の公演から予想がついていたので、ハビが小粋にリンクから去って暗転してから観客はステージのスクリーンを凝視していたと思います。

羽生くんと大地さんの映像が映った後に「Carmina Burana」と出た時には会場内どよめきましたね。以前から多くのファンから見てみたい演目として上がっていたカルミナ・ブラーナ、競技を去った今となってはもう見ることはないと思っていましたが(ICE STORYという特殊なショーでは演じる機会はないかなと)それがまさかここで叶うとはキラキラ

「大地さんとならば新妻さんのとダムパリみたいにミュージカル曲の生歌で演技かなぁ」なんていう予想の何とぬるかったことよ……どなたの発案かは分かりませんが間違いなく今回のMVPですキラキラ

何故かって、カルミナと聞いて(見て)咄嗟に思い浮かべたのは黒Originとか鶏蛇様のような衣装に身を包んだ羽生くんだったんですよね。というか多分大半の皆さんの脳裏に浮かんだのが「魔王」な羽生くんだったと思います。あの瞬間にその後の展開を予想出来た人が果たしていたでしょうか?

原曲(全25曲だそうですね…今回初めて知ったあせる)の1曲目のO Fortuna(私含めてカルミナと言われたらこれを想像する有名なアレ)が鳴り響く中ステージに登場したのは大地さんと2名のダンサーさんで羽生くんではなく……登場だけで圧倒的な存在感を放った大地さんがステージから去る間際にスーッと静かにリンクに登場した妖精のように淡く美しい衣装の羽生くんに「え?カルミナだよね!?」って多分皆なってた筈。

小鳥のさえずりと共にリンクに姿を現した羽生くんが、3曲目Veris leta facies/7曲目Floret silva nobilis/24曲目Ave formosissimaと続く中で春の訪れや命の芽吹き、命の賛歌を奏でるように美しい舞を披露していくソロパート。今まであまり見ることがなかったバレエ的な動きを多く取り入れていて、そのスッと伸びた背筋や柔らかく嫋やかに動く腕、軽々と跳ぶ姿が本当に凛として美しかった……素人目でも素晴らしかったんですがバレエ経験者の方々も絶賛されていましたよね。あの美しい動きは肩から背中にかけてや股関節周囲の柔軟性とそれを支える強靭な体幹あってこそなんだろうなぁ。結局どの振付が苦手な動きなのかは分からなかったけれどw

曲の盛り上がりと共に完璧な音ハメで跳ぶ3Aはソロパートのクライマックス、震えがくるような素晴らしい出来映えでした(10日のリハを配信で見せてもらいましたが、羽生くんも意識しているのか曲かけ以外でも入念に確認していましたね)。

そして再度大地さん演じる運命の女神が現れO Fortunaと旋律と共に世界が一転する。無垢に自由を謳歌していた少年は運命の糸に絡めとられ操られ、逃れようと必死に藻掻くけれども中々抜け出せない。

この大地さんが羽生くんを操っているかのような部分のシンクロが凄かったですよね。これって大地さんの方が遅くていいのならば難しくないんだけど(羽生くんの動きを見て動けばいいから)、大地さんが操っているというシチュエーションなのでほぼ同時か羽生くんの方が僅かに遅れて動かないといけない訳で、お互いに決められたタイミングから僅かでもズレる事が許されない。自分の動きは徹底して練習してきただろうけれどよくたった2日間のリハーサルで合わせられたなと、これぞプロの技というのを見せてもらったように思います。

そしてこの時の羽生くんの後ろから操られている(引っ張られている)かのような演技がとても自然(というとちょっと違うかもですが…求む語彙力あせる)で。あれって肩の動きがとても柔らかいからですよね?グイって後ろに引っ張られる時の動き、本当に糸が見えるかのようだった。それと身体を傾けて肩だけピクッと動かす振付、大袈裟すぎても格好悪いし小さいと伝わらないし、何か本当に自由を奪われて動かない身体が痙攣するみたいで凄く記憶に残ってしまった(右が1回左が2回っていうのがまた音楽に合ってて何ともインパクトがあって…)

振付は舞台関係の振付の方がされたとの事ですが、足元は多分羽生くんですよね?(鶏蛇様の時もそうだったし)。どうしても床の上の振付は氷上の移動距離感は出せないのでそのままやるとリンクの真ん中から動かなくなってしまう、それをフィギュアスケートの技術を使ってリンク一杯使う演技に昇華させたのは素晴らしかったなぁ。

終盤のディレイドアクセル、着氷した直後に直ぐ近くの氷上にオレンジの火花が散ったように見えたのですが、あれは氷の飛沫にたまたま照明が反射したのか意図された演出なのか?初日以外は配信購入してなくてライビュ見ただけなので他の日の細かいところが分からないんですよねあせる3月末までお預けだな汗

最後に一気にステージへと滑りよってその勢いのまま階段を駆け上がりましたが(ここを天井カメラで撮ったのはスピード感が伝わってグッジョブだったと思う音譜)、あの躊躇ない動きにFaOI2022大楽での新妻さんとのコラボを思い出しました。あの時も足元見ないで躊躇いもなくリンクへと踏み出してたなぁ、ああいうシーンは足元気にしては台無しですものね。

運命から逃れようとするのではなく受け入れ立ち向かう力強い姿と、それを祝福する春の女神……ステージの上でふたり最後のポーズを決めた姿はまるで一枚の絵画のように美しかったです。

それにしてもどなたかも書かれていたけれど、この大地さんとのコラボレーション部分の表現には明らかにGIFTとRE_PRAYで培った演劇的表現の技術が影響していますよね。羽生くん「俳優はもう絶対やらない」って言ってるけどあの映像演出でやってる事って俳優そのものじゃん……特に語りがメインだったGIFTと違ってRE_PRAYの方が動きもあったし様々な表情もちゃんと演じ分けてた(命喰らった後の妖しい笑みと最後の天へと祈りを届ける笑みではまるで違う)。あの「演じる」経験がしっかり生きていますよね。何かこの素晴らしいコラボレーションを見てこれから先のICE STORYの大きな可能性を見せてもらったような、勝手にそんな気分になりました。

……そんな最もらしい感想をつらつら書きましたが。これの大半は配信で初日の映像を見直しての感想です……何の為の現地(笑)。何せロングサイドほぼど真ん中でしたので羽生くんと大地さんを一緒の視野に収めるのがとても難しくて、コラボ部分の全容は翌日のライビュ見てようやく分かったような次第。現地では迫力に圧倒されていて「何か凄いもの見た!」になってしまってました(笑)。そのライビュや配信も時々どちらかしか映してくれなくなるので分からない部分もあり……是非BS&CS放送の際にはコラボ部分はショートサイドからずっと映してほしいですあせる

(シエナさんがブログに原詩や動画へのリンクを貼ってくださってますし、Kaeru Kaeruさん@Kaerukaeru2020さんも歌詞載せてくださってますので参考までに)

それにしても、これが、この見事な異業種コラボの珠玉の演技が、この全3公演で終わりのプログラムだとか……勿体なさ過ぎる……

 

祈りと希望をあなたへ、というメッセージの後に満天の星空と共にスクリーンに映った「Danny Boy」のタイトル、これも本当にサプライズでした。サブスク堂を見て「いつか羽生くんなりに表現してみてくれたらいいな」とは思っていましたが、まさかこんなに早く見られるとは思ってもみなかったので(もし実現するならば星野さんが作ると仰ってた新曲のほうだと思ってた)。

出兵する子どもを想う母親(父親)の祈りが綴られたこの曲。私が演技から感じたのは祈りと慈しみの光でした。失われて(喪われて)しまったものへの祈りと、それでも生きようと抗う全てのものへの慈しみ。

どなたかが「このプログラムで羽生くん人間だったね」というような事を仰っていたのを見ました。何というか今までのいくつかのプログラム(「春よ来い」や「notte stellata」や「あの夏へ」など)は「人ならざるもの」が人々の苦しみや悲しみに寄り添い祈りを捧げるかのような印象があったのだけれど(北京での「春よ来い」を巫女舞や神楽に例える人もかなりいた、しかも一般の方)、Danny Boyは生身の青年がそこにいたように思います。過去の想い出を心に抱いて、今の様々な出来事や悲しみに心を寄せて祈り、それを乗り越えて未来へ向かう人々と共にあり続け語りかけるような、そんな希望の光を見せてくれる演技だと感じました。

一見優雅そうに見えるプログラムだけど、絶え間なく動き続けて息を抜ける(息を継げる)パートが何処にもない。ゆったりと柔らかく美しく見せる為に相当なエネルギーを使っていますよね、ゆったりした曲を足元や腕だけじゃなく身体全部を使って表現していて、だからこそ演じ終わった瞬間珠の様な汗をかくほどエネルギーが必要なプログラムだと思います。

そもそもジャズ特有の一定ではない抑揚のある(スウィングする)リズムに自然にのっていくの自体が難しいですよね。この辺りの旋律の掴み方はもう天性のセンスなんでしょうが(いや本当にフィギュア上手くても壊滅的にジャズ向いてない人っているから…)、掴んだ音を表現する技術もまた一流であるというね。

ふわっと音が伸びる時にステップからイーグルに開くとか、長めのイーグルの間に腕を開いて上げる動きとか、クロスをいれるタイミングとか、ちょっとだけディレイがかるというかスウィング特有のタメ感にタメ感ある動きで合わせていくというか。語彙がなさ過ぎて上手く表現出来ないんですが(泣)。クロスで加速せずに静かにはいるハイドロもよかったなぁ……

ステップを刻んでからのふわっと跳ぶ3T、逆ツイズルからの軽やかな3Lo→振り向きざまにピタッと止まる、両手をあげながらの1A、ジャンプもまた音楽に寄り添ってこのプログラムの世界を創り出していましたね。

スケーティングと上半身の美しさもだけれど、こういったジャンプへのアプローチやスピンの振付が凝っていたのでウィルソンかなと思ったらそうでした(曲調は全く違いますが動きから感じた印象がレゾンと近かったので)。

「春よ来い」と「notte stellata」は何処までも極めていけるプログラムだなとこの1年で感じたのですが、きっとこの「Danny Boy」も同じように繰り返し演じられて磨き上げられていくものになるんだろうなと勝手に確信しています。

あ、あと衣装が素晴らしかったキラキラシルエットが今までの白衣装と違ってふわっとしていて(レゾンとかあの夏へはもっと身体にフィットしていた)、あの袖と裾がジャンプとスピンの時にいい仕事をしていましたよねキラキラ

 

初日でひとつだけ残念だったのは「Danny Boy」で羽生くんがリンクサイドに近づくたびに(またはジャンプ跳ぶたびに)甲高い奇声が上がっていたこと。

RE_PRAYツアーでも批判が寄せられていた場(プログラム)にそぐわない奇声、この日「Danny Boy」まではそんなに目立っていなかったんですよね(notte stellataもカルミナも)。それが最後の最後で箍が外れたみたいにぎゃーぎゃー叫び出した……いや本当にウンザリでした(怒)。曲名を見てピンとこなくたって最初の数秒聞けばどういう雰囲気の曲か分かる筈です。どなたかがツイートされていましたが「リンクサイドに近づくのはあなた達へのファンサじゃない」んです。いい加減それくらい分かってほしいし、毎回初日にやらかして猛批判くらって翌日から大人しくなるって流れはもうやめてほしいわ……。

 

 

フィナーレの「希望の歌」もまたオープニングと同じく前回のコンセプトそのままにハビに加わってもらう構成になっていました。

皆で微笑みながら手を差し伸べあうところ、誰もいない空間にもそっと手を差し伸べるのが素敵ですよね。羽生くんが会場にいるファンだけでなくライビュだったり配信だったりそれも見る事の出来ないファンだったり様々な人々に想いを伝えようとしてくれるように、ウィルソンのこの振付もあの場にいないどころかこの公演自体を知らないだろう世界中の沢山の人々へと希望の祈りを届けようとする気持ちを表しているのかなと感じました。

今年の羽生くんがとても落ち着いた表情でフィナーレに参加してくれていたのも嬉しかったな。去年の羽生くんは湧き上がる感情や想いに翻弄されながら一生懸命前向きに演じようとしていてくれたように感じたので。やはり3.11という日にこの場所で滑るのは容易な事ではないんですよねきっと。今回「希望を届ける」という言葉通り、誰かに語りかけるように、また誰かの想いに手を伸ばすように、そんな風に演じてくれたように感じました。

それにしても羽生くんの腕の表情の美しく素晴らしいことよ……また更に関節増えてなかったか?何度も書いているけれど、肩甲骨周りの柔軟性とそこから生まれる多彩な表現が日々進化していて、平べったい表現になるけれど「非常にエモーショナル」だったと思います。

 

最後の周回、今年はLittle Glee Monsterの「世界はあなたに笑いかけている」

ああいう賑やかでアップテンポな演奏と明るい歌声の曲なのでともすると楽しい曲であるような印象がありますが、歌詞をよく読むと「落ち込んでしまったり立ち止まってしまっている誰かをずっと励ましている曲」なんですよね。色々複雑な世の中であるけれどそれでも世界はあなたの味方だよ、という励ましの歌。何かこの公演の最後に流れるのにぴったりな曲ですよね音譜

皆ノリノリでご挨拶の為に移動するなか、羽生くんとシェイリーンが顔を見合わせて両ほっぺに指を当ててにこって笑ってたのが萌え転がるほど可愛かった……!ステージ上の大地さんやダンサーの皆さんもノリノリで盛り上げてくださって嬉しかったですね♪

この曲ちょうど去年秋の合唱祭で歌ったばかりだったのでバナー振りながらつい口ずさんでいたのですが、途中で「やべ、メゾだからこっから主旋律じゃねぇあせる」って気付いて止めましたw(自宅で練習していると娘に「お母さん何の曲歌ってるのか分かるようで分からない」って言われちゃう悲しいメゾアルトあるある…)

最後のご挨拶は皆で揃って「ありがとう!」と叫んでくれました(リンク脇でこしょこしょと相談してる姿が何とも微笑ましかった)。

去年は初日2日目と羽生くんがひとりで語りかけてくれましたよね。真摯に言葉を紡ぎながら想いを伝えてくれた後でのご挨拶でした。最後の日に皆が幕のこちら側に出てきて見守ってくれて、挨拶も皆で一緒に笑顔でしてくれて……そして今年は初日から皆が傍にあってくれた。

何となくね、羽生くんも他の出演者の皆も「これがnotte stellataの目指す姿なんだ」っていうのが見えたのが今年の公演だったんじゃないかと思うんですよ。

去年も皆で羽生くんの想いに精一杯応えてくれていたけれど、今年は「一緒につくり上げた」ように感じたんですよね。それは羽生くん自身の気持ちの持ち方の変化もあったでしょうし、去年この3日間を一緒に過ごすことで皆に羽生くんの複雑な胸の内が伝わったのもあるのではないかと。今年は色んな意味で「羽生くんが皆と一緒にいられた」公演だったのではないでしょうか。

また来年も「羽生結弦 notte stellata」が開催されるかどうかはまだ分かりません。

もしもその機会があるのならば、今年のように失われた命を悼みつつも希望と未来を仲間の皆とスケートで語れる時間になるといいなと、羽生くんにとってあの日が苦しくて悲しくて心の傷を抉じ開けるだけの日にならないようにと願っています。

 

 

 

初日のレポは以上なのですが。

書くかどうか迷ったのですがやはり書いておいた方がいいかなと思ったので、最終日の「場違いな笑い」について。

私のTwitterを読んでくださってる方は、あの日ライビュを見た私があの笑い声に怒り心頭だったのをご存じだと思います。その気持ちは今も全く変わっていません。

笑ってしまう理由を色々上げて擁護されている方々もいて読ませていただきましたが、申し訳ないけど「それ最初の笑いの理由にしかならないよね?」としか思えなかったですね、一度ならともかく羽生くんが言葉を重ねてくれたのに二度三度笑いは起こったのですから。あの日あの場所にライビュや配信ではっきり笑い声が拾えるほど大勢の失笑恐怖症の方が揃っていたともちょっと考えにくいですしね。

某所で「笑った人は悪くない、羽生くんがもうちょっと丁寧に説明してくれたらよかったのに」というコメントが書かれているのを見た時はゾッとしました……それを彼のせいにするのかと。どういうコンセプトのショーかは事前に何度も語られていましたし、公演の冒頭に再度羽生くんからも言葉がありました。それでも理解出来ない(忘れてしまう)人間を基準にしなければならないんでしょうか?

羽生くんのファンになって12年とちょっと、彼を応援する中で知り合った大勢のゆづ友さん達は私にとって大事な大事な仲間です。でもね、それでもプライオリティの1番は羽生くんなんですよ。それ以上のものは家族しかない。

きっとその人は羽生くんよりもファン仲間の方が大切な存在になんでしょうね。それは個人の価値観だから仕方ないですね。お互いに相容れることはなさそうなのでそのコメント主のブログはブロックさせていただきました。お互い関わらずに応援した方が幸せそうですしね。

「羽生くんは受け取り方は自由だといった」「彼がどう考えてるのかは分からない」というのを錦の御旗のように掲げて笑い声を批判した人達を叩く方々も見ましたけど、そういう方にはこう言いたいですね。

「TPOって知ってる?」

どう感じるかも受け止めるかも個人の自由なのは当然だけど、それを表に出すのに相応しい時と場所かくらいは考えるべきではないかと私は思うんですけどね。こういう方々は隣の席の方が「Danny Boy」や「天と地のレクイエム」でキーキー叫んだり「ゆづ愛してる!」って叫んでも気にならないし許容するって事ですかね?許容しないと辻褄合わないですよね。私はそれを許容する事は到底出来そうもないです。

私はこの2時間の公演を3日間目一杯現地とライビュで楽しみました。でも最終日に全ての演目が終わってフィナーレも終盤に来た時にどうしても脳裏に浮かんだのは去年の羽生くんの姿でしたし、今年は去年のような辛い気持ちを一生懸命誤魔化すのではなく前向きな気持ちで終われるといいなとバナーを振りながら思っていました。なので震災の事が頭から離れなかった事をどうこう言われる謂れはないですし、寧ろそれが頭にあったからこそ前向きに公演を終えながらも最後の最後に彼がこぼした「明日は暗い1日になる」という言葉をみやびやかなひと刻の中での言葉も含めて受け取ることが出来たと思っています。

そういう考え方が気に入らない方はどうぞフォローを外していただいて結構です(言動が過激なのは自覚しています)。あちこちから嫌われたとしてもこれからも片隅から自分の考えを発信し続けていくつもりでいますので。

 

 

 

 

折角のnotte stellataレポの最後にぐちぐちした話題をすみませんあせる

次はRE_PRAY宮城公演最終日、幸いな事に現地観戦させていただく事になりました音譜

弾丸日帰りの予定だったのですが、どうせいくなら結弦桜も仙臺緑彩館も両方見たいなぁという欲望に引きずられ、お金もないのに一応前泊のホテルを押さえてしまいました……ちょっと数日考えたいと思います汗

レポは……4/14の週の何処かで上げられるといいなぁ……