RE_PRAYツアー全6公演、満員御礼大盛況のうちに無事に閉幕となりました。

羽生くん本人も話していましたが、大きな怪我や病気なく3カ月半のツアーを終えられて本当によかったなと思います。

 

季節外れの春の嵐の中で開催されたぴあアリーナでの横浜公演千秋楽。

何でこんな中途半端なアングルかというと、これより左や前に出ると激しい雨風が直撃するからあせる初ぴあアリーナだったのでちゃんと写真撮りたかったんだけどな(泣)

 

幸運にもチケットを手にする事が出来、現地で集大成の公演を見届けさせていただきました。

2階東側スタンドSS席6列目。多分RE_PRAYツアーを現地で見た中で一番リンクに近くて見やすい席でした(何より通路横で扉出てすぐ近くにトイレというお腹弱い民には安心な神席…!)

 

既にディレイビューイングも終わってしまって今更ではありますが(何ならGIFTのCS放送も終わって皆さん気持ちはもうnotte stellataだというのに)、横浜公演現地やディレイビューイングで気付いた事考えた事など書き残しておきたいなと思います。お時間やご興味のある方はよろしければお付き合いください。

 

 

 

せっかくの最終公演をどう堪能しようかなと考えたのですが、ここまで3公演現地や放送で見てきてスクリーンの映像演出含めた内容は把握出来ていた事に加え、席が思ってたよりもロングサイドの中央寄りでリンクにも近め(やまぽん席運比)だったので、今回は思い切ってスクリーンはほぼ見ないでひたすら氷上の羽生くんの姿を追うことにしました。いつ夢様の切ないお顔のどアップやとりへび様が狂おしくサブステージで踊る姿や諸々素敵なお姿がスクリーンに映ろうがひたすらです!

TELASAのマルチアングルでいうと「横位置・リンクサイドカメラ」の視点よりも一階高い位置から見ていた形になります。高さは「横位置・2階席カメラ」がどんぴしゃなんだけど(位置は反対側)、ちょこっと見た限りあれはずっとアップで撮ってるので印象はかなり違うかな汗そんな位置から見ての感想です(TELASAのお陰で自分の見たイメージを伝えやすいのって凄い…)

 

冒頭のセーブデータの日付。誕生日と公演当日の日付以外は、1日目はソチ団体戦SP(つまりオリンピックデビュー)の2/6、2日目はGIFT公演日の2/26。

何故プロ初公演のプロローグではないのかなと今更ちょっと思っていたんですが、羽生くん本人にとってそれだけGIFTという公演が特別だったんでしょうね(自分の公式アカウントでCS放送の告知してくださるくらいだし)。

思うにプロローグは構想自体は羽生くんが立てていても、公演中に使われる素材の殆どはテレビ朝日の提供によるものなんですよね(過去12年分の映像を惜しげもなく全力投入)。MIKIKO先生の関わりも総合演出ではなく2つのプログラムを手掛けただけですし。そういう意味では全ての要素を羽生くん自身がMIKIKO先生はじめとするチームと共に創り上げた最初のショーがGIFTになるんだなと。羽生くんの目指すフィギュアスケートを極めた先のエンタメのスタート地点がこの日なんですね(どえらいレベルのスタート地点だけど)。

最初の白いマントを羽織った姿での舞い。しょこらぁでさんもブログに書かれていましたが(今回は先に他の方のブログちょこちょこ読ませてもらってます)、最初に腕を振り上げた瞬間から本当に寸分の狂いもなく音楽と映像にドンピシャで合わさっていて、冒頭から感動で震えがきました。今までの公演でも十分にシンクロしていたんですけど、ほんの僅かに遅れている時があったんですよね。今回はその僅かなズレすら一切なくて全ての事象を思うままに操っている姿がそこにありました。

彼が何者なのか色々な考察があると思うんですけど、私はやはり「この『世界』を統べている存在」なのかなと思います。物語の最後にプレイヤーがこの舞いと同じ動きをする場面がありますが、あれは神に捧げる祈りだったんじゃないかなと私は捉えました。

(余談ですけれど、しょこらぁでさんがブログでこの場面の音の取り方の難しさを音楽家の視点から説明されているのでまだの方は是非ご一読を。長い休符のカウントが難しいのは素人合唱やってる身でもひしひしと実感します。合唱は指揮者のキューがあるのでまだ何とかなりますが(指揮者が間違えて大惨事になった経験はある…)羽生くんのは誰も出してくれないからね…)

 

「いつか終わる夢」は既に何度も見たプログラムですけれど、ロングサイド中央からじっくり見て今更ながら気付かされるのが羽生くんのスケートのひと蹴りの伸びですね……というか「全然蹴ってないよね?」ってくらい力入ってないのにすーっと進んでいくのが横から見るとよく分かる。

冒頭、カメラをマントで覆ってから反対側のスクリーン前までバックで滑っていく訳ですが、漕ぐことなく体重移動とエッジの使い分けだけなのにスピードが滑らかで速い。また中盤のリンクの端から端まで静かにスパイラルで進んでいく場面、途中で一度足を踏みかえますが決して蹴って勢いつけている訳じゃないんですよね。このふたつの場面はプロジェクションマッピングを見せる為にショートサイドからの俯瞰のカメラワークが殆どなのですが、真横から見ると本当に滑らかで美しい……そしてスパイラルの最後にスッとあげる右足が美しい。

沢山の言葉が流れていくシーンも、映像はショートサイド側からプロジェクションマッピングを中心に映していてついそちらに目を奪われがちでしたが、言葉の元となる鍵が渦巻く中でコンパルソリーのようなエッジワークで言葉を産み出すかのようになされる源でコンパルソリーのようにトレースを刻むそのエッジワークと姿勢の美しさもしっかり見ることが出来ました。

「いつか終わる夢」の振付自体は非常にシンプルなものですが、その分公演を重ねるごとにその動きが洗練されていくのがよく分かったように思います。今回特に背中から腕のしなやかな動きの進化が素晴らしかった……加えて指先まで美しかった……

 

スケーティングの素晴らしさと背中から腕のしなやかな動きでいえば次の「鶏と蛇と豚」も印象的でした。

スクリーン演出との兼ね合いで放送映像がほぼショートサイドからに限定されているとりへび様、真横から見たら凄かったよ……登場シーン、スッと右足で踏み出すだけでスーッと滑らかに進んでいって、途中で左足に踏みかえる時も全く速度が変わらず姿勢もぶれずスッとごく自然に止まる。そしてひたすら姿勢が美しい。

そこからの振付の身体の美しいしなりと妖艶さを何と表現したらいいのか…いや絶対佐賀公演から各段に進化してましたよね?私の位置からは真横からやや背中を見る感じだったんですがその背中の動きがヤバ過ぎる(言い方)。

ただくねくねと柔らかいんじゃなくて鞭がしなるような、そういうしなやかだけど芯のある力強い動き(筋トレ増やして尚あの体幹のしなやかさってどういう事!?)。肩も肩関節からじゃなくて肩甲骨から滑らかにしっかり動いている。あれって地道にアイソレーションの練習を積み重ねた賜物なのかな(ダンスは素人以下だから分からないんだけれどあせる)。

今まででさえ禍々しさ内包した妖艶さに圧倒されるプログラムだったのに、そこから更に最後の最後まで進化させてくる。私の拙い語彙力ではもうどう表現していいのか分からないけど本当に艶めかしい美しさが際立ってた。美しい苦悩と狂気がそこにあった。

あれは正面カメラでは伝わらない、もうTELASAで見た方多数だと思うけれどまだの方がいたら是非「横位置・リンクサイドカメラ」で見てほしい…!

サブステージの様子はディレイビューイングで見させていただきました(オペラグラスも使わなかったので会場では遠目にしか見ていないw)。ぴあアリーナのサブステージは段差が低くかったので登り方やステージへの上がり方は変えていましたね(つまり演出に合わせて階段を変えているのではなくて会場の仕様によって変わっていて、それに合わせて演技していると)。そしてたまアリの時よりも呼吸音が大きくなって臨場感増したようなに感じたんですが気のせいかな?

立ち上がった後両手を顔に添えて立ち尽くすシーンがどんどん長くなっているような気がする(尚チャンネル権の問題で正確に確認は出来ていない)。あの焦点が合わないような虚無感を纏った表情が、彼の「この世界」への絶望感を強く表しているように感じました。

 

2日目なのでトロッコ問題は「阿修羅ちゃん」ルート。

いやもうGIFTのCS視聴の記事にも書きましたが、この1年での羽生くんのダンスの進化が凄すぎる……先程から散々書いている身体のしなりが以前とまるで違うし、何だろう、冷たさと苛烈さがありながらも所作が美しかったんですよ。

何度も書いてますがGIFTも凄かったんですよ。でもこのRE_PRAYのツアーで演じ続けているうちにどんどん振付の雑味が消えていったというか。荒々しく演じることと乱暴に演じることは違う訳で、その点GIFTの阿修羅ちゃんはまだ激しく演じる為に若干雑な部分があったのかもしれません(今になって比べて見直してみれば、ですが)。それが洗練されて無駄な動きがなくなって、ちゃんと末端まで美しく「激しく演じる」ことが出来るようになったんじゃないかと。素人目での話ですけどねあせるGIFT→SOI→RE_PRAYと演じる媒体に合わせて姿を変えてきたプログラム、どのタイプが好きなのかは意見が分かれるのかもしれない。全力でリンクを駆け回って煽りまくったSOI版がお好きな方もきっといると思いますが、やまぽん的には今回スタンド席ながらスタイリッシュな墓掘りを正面から見られたので大満足です(笑)

 

「MEGALOVANIA」はエッジ音を響かせる冒頭部分も含めて最初のたまアリよりブラッシュアップされていますよね(このところ大学が春休みに突入したせいでテレビを子ども達に占領されていてぐすん横浜公演とそれ以前を細かく比較出来ないので断言出来ないんですけど)。

サンズのキャラクターを意識したらしい細かな仕草がごく自然な仕草として追加されているのもいいですが、個人的に一番目についたのが「弦楽器の音に合わせた振付の追加(ブラッシュアップ)」かなと。

例えば最初のコンビネーションスピン(キャメルでもシットでも腕の動きが多彩なのは流石)の後のステップとか、その次のシットスピンで軸足に添えて腕を上下に動かすとか、細かい部分ですけどあちこちそういった弦楽器が旋律を奏でている部分を大分意識して振付にいれているんじゃないかと。まぁたまたま今回の席からよく見えたので気付いただけで以前からあったのかもですがあせる

度々主張していますけど、そもそもシットスピンのポジションであんなに多彩な腕の動きを入れてくるスケーターなんて他にいないんですよ。特にパンケーキやSBなんて姿勢を維持するのに膝の上に手を置いて安定させてる人が殆どなんだから。本当に羽生くんのシットスピンは世界一だと思います(異論は認めない)

そういえば今まで「天井カメラでスピンを映すのは否定的派」だったのですが、今回ディレイビューイングで見たシットポジションを天井から撮った映像で腰のヒラヒラがとても綺麗に舞っているのが映って素晴らしかったんで「衣装によっては推奨派」に鞍替えします(笑)。羽生くん、とりへび様の衣装でシットビハインドやりませんか?キラキラ

終盤のアウトサイドイーグルでショートサイド流しながら横切りながら無表情なまま(っていうか見下すような視線で)グイッと首を搔っ切るような動き、それっぽい動きは以前からあったようにも思うんですが(記憶が怪しい)どんどん客席煽るかのように激しくなってきたような…あの前後から一気に終わりに向けて加速していく曲調なのでサビへのトリガーとして意識的に強い振付にしたかもしれないですね、まぁショートサイド阿鼻叫喚でしたが(笑)

 

佐賀から変わったドット絵の戦闘シーン。

「ひとつひとつ敵を倒しながらレベルアップしてきた」というここに至るまでの道を描く為の変更だろうというのは前回の佐賀公演ライビュの記事に書いたんですが、改めて横浜公演を見ていてちょっと気になった事があって。

最初にプレイヤーが操る主人公がボスに倒されて。そこから過去プロキャラ達が戦いながらレベルアップしていく様子が描かれていますが、スムーズに敵を倒せているのがSEIMEIまでなんですよね。次に出てきたホプレガは敵を倒しきれず止めはレックレがさしてる。そこに登場するのが最初に主人公を倒したボスで、それと戦った天地様とリアフェとレゾンはダメージは与えるけど倒すまでには至らず、最後に倒したのは破滅様なんです(見間違いでなければ)。

……この流れに暗喩のようなものを感じてしまうのはまず間違いなく穿ち過ぎなんだとは思いますが(羽生くんに何度も「これは自分の物語じゃない」って言われてるのにねあせる)、レックレとホプレガでは倒せても天地様で倒せないっていうのがね……これ以上考えると暗黒面に堕ちそうなのでやめておきます汗

 

そして前半のクライマックスである「破滅への使者」は6分間練習から最後まで一切揺らぎのないパーフェクトなものでしたねキラキラ

6分間練習のジャンプ(3Lo、3A-2Tタノ、4T-1Eu-3S、4S×2)は流れ・高さ・幅全て完璧。ていうか3Aコンボあんなにふわっと跳ぶスケーターおらんし、4Tコンボのプレパレーションに入る前に音楽に合わせてクロス入れるスケーターもおらんし、勢いに任せて跳ぶのではない4Sは最早芸術のレベル。メラメラと焔立つような気迫は溢れ出ていたけれど、それと同時にとても冷静に身体の動きとスケートの滑り具合を確認していたように見えました(念入りに4Sを確認していたのはこれまでの公演で4Sが一番成功率が低かったからなんでしょうね。SAGAアリーナはリンクが小さかったというので仕方ない側面はあると思うんですが)

この日の演技は振付の細部まで(指先の動きまで)本当に行き届いていて、凍てつくような孤独と、怒りと絶望に染まりながらも尚自分を見ろという強烈な意志というか狂気が迸るというか(求む語彙力)、尚且つジャンプの精度がえげつないほど素晴らしかった。クオリティもだけど音ハメがね……4Tと4T-1Eu-3S-1Eu-3S、着氷で音ハメしてたよ、5連続で合わせるとかどういう技術だよ。

最後の3Aは気力で捻じ伏せた(しかも音からはズレなかった)、凄い気迫でした……

FFⅨは大昔(何せハードがPS2でディスク4枚組の時代だ)にクリアしている私ですが、この演技にFFⅨのファンの方(というかクジャのファンの方)が惹きつけられるのがよく分かった、そんな「破滅への使者」でした。

そういえば「破滅への使者」に対して足元の繋ぎがどうだの上半身の振付が物足りないだの苦言()を呈する方がいるらしいけれど。

競技時代のプロは音楽表現をすると同時に試合に勝つ為の点数取る為のプログラム

プロ転向後はどんな場で何の目的で見せるかに合わせて作っているプログラム

それを比べてどうこう言う事自体が根本的にナンセンス。フリーに準じたプログラムといっても、公式練習→6分間練習→本番の流れの競技時代と、複数のプログラムを演じた後に演じるアイスストーリーでは中身が違うのは当たり前。

Twitterにも書いたけれどもう一回書いておきます……そもそもプロスケーターになったのに競技時代と同じような内容求める心理が私にはよく分からないんだけどね。そういう人って何滑ったら満足するんだろうね?

(それにしてもこの清塚さんも心配する鬼畜な構成、羽生くん本人も「バカなのかな」って思っちゃう時があるというのにはちょっと笑ってしまったw)

 

「いつか終わる夢;RE」はそのゆったりとした曲調故にOriginal以上に身体の動きの美しさが際立つプログラムだと思うのですが、今回もしなやかで儚くてでも力強い美しい舞でした(衣装ってOriginalの色違いですよね?後ろのひらひらがあちらよりふわふわと揺れて見えるような気がするのですが、単に白いから目につきやすいだけなのかな?)

一番最後の部分、Originalが地に祈りを込めるように氷上に手を添えるのに対して「いつか終わる夢;RE」の方は毎回変わっているんですよね。今回は氷上から何かを掬い上げ(救い上げ?)それを天に捧げるようにそっと両手を掲げた後で天を振り仰ぐ。あれは何を拾い上げて誰に捧げたんだろうか……破滅へと向かってしまった最初の選択とその悲劇への慰めなのか憐憫なのか、「RE-PLAY」される世界への慈悲なのか。変化していったのは羽生くんの中での受け止め方の変化なのか。いつか答えが聞けるといいなぁ。

 

(そういえばとても細かい事なんだけど、一度目の「周りには命がある……ここから逃れる力を手に入れることが出来そうだ」の場面は命の光が漂う水面に座っているような描写なのに、二度目は命の光が漂う水の中に座っていてゲーム機が完全に水没してしまっている描写なのは何故なんだろう?←楽公演で気付いて気になってしまった…)

 

後半の演目は穏やかな照明や美しいプロジェクションマッピングに彩られた、静かに語るような演目が続きます。

今回のぴあアリーナは天井の高さも含めてたまアリと比べるとコンパクトな会場になりますが、プロジェクションマッピングを使わない「天と地のレクイエム」の演出を見るとこれくらいがちょうといい空間なのかもしれないと感じました。東京ドーム公演は最初からあの広大な空間を使う事を前提に作られた演出だったけど、今回はアリーナツアーだから会場のサイズがまちまちなんですよね。制作陣がどの会場を基準に考えたのかは不明ですが、ランタンが灯ったりひとつだけ降りてきたりという演出を見る限りたまアリはちょっと天井が高くて広すぎたんじゃないかなと(スタンドSSくらいまでだとランタンと羽生くんが一緒に視界に収まってこないあせる)(まぁ観客のキャパ的にはたまアリサイズ必要なんですけど汗)

今回ぴあアリーナで見た光景は本当に美しかった……羽生くんの演技とリンクレベルでの暖かくシンプルな照明とランタンの灯、全てが一体となって幻想的な空間となっていたように思います。

壊れてしまった器と失われた魂を憐れ慈しむような舞(と私は解釈している)今回の演技とは直接関係はないのですが、先日の氷上のプレイリストがこのプログラムの振付師の宮本さんで、この曲を選んだ経緯やどんな風に羽生くんに振付をしていったかどんな意図を伝えていったかを話していたそうですが(残念ながら未試聴)。

「君は強く、前に立っといてほしい、力を与える存在であってほしい」という話をしたと読んで、この曲とプログラムに出会ったのが2015年で本当によかったと強く思いました。2012年の彼にはこの期待はまだ重すぎるし、多分2014年の目一杯背負ってしまった彼にもきつすぎる。オリンピック金を取ってあの激動の2014‐15シーズンを駆け抜けた後だからこそ、この重いプログラムを受け止めて全身全霊で演じられたんじゃないかなと感じました(糸井さんとの対談を読んだ後だから余計にそう思うのかもしれませんが)。

「あの夏へ」と「春よ、来い」は更に洗練された羽生くんの美しいスケートの世界に浸りつつも(何というか「あの夏へ」はあの衣装ありきの振付なんだけれど、その衣装を美しくつかって魅せる動きがどんどん上手くなってきたように感じた)、これで「RE_PRAY」の物語も終わってしまうんだなと思うと何だか寂しさも感じながら見ていました。

今回の「春よ、来い」もとても優しい笑みを浮かべていました。命の続きを見守ってくれる、命と魂の再生の物語を見届けくれる、そんなプログラムですね。

(それにしても注意喚起が回ったのかこの日は奇声はかなり少なかったのですが、ジャンプを跳んだらどうしても「きー!」って叫ばなきゃ気が済まない人はどうにかならんかね…正直後半3曲にきー!は要らないのよ…)

寂寥感と共に見たエンドロール、以前の記事で「カメラマンの姿が見えないので羽生くんがひとりで創り上げた映像作品」と書いたのですが、今更ですがひとりショートサイドにカメラマンさんがいらっしゃるのに気付きました。位置的にそのカメラで撮った映像は少ないとは思うのですが(とりへび様のような特殊なケースを除いてどうしてもロングサイドからの映像が中心になりますから)、羽生くんのアクションカメラだけで製作した訳ではなかったので訂正しておきますねあせる

 

エンドロールが終わってスクリーンの向こう側から出てくる羽生くんは毎回ちょっと小動物みがあるなと思っているのですが(ついでに羽生くんが出てくるとほぼ同時にスクリーンの上手側横にプーが乗った台がそっと設置されるのがなんかいい。ちなみにアンコールの演技が始まる時はスッと引っ込んでいる)、この日は千秋楽ということもあってかちょっと雰囲気が違ったように思います。

今日も精一杯全力で魂から滑らせていただいたと(「込められたと思う」ではなく)言い切れる人が一体どれだけいるだろう。MCの中で「何か寂しい」と漏らしてもいましたが、それだけの決意で妥協せず(キツくて妥協しそうになる気持ちを乗り越えて)この千秋楽で見せた「RE_PRAYの完成形」を目指して全力で突き進んできた日々だったんだと思います。

たまアリ初日で多くの人が驚愕したように、あの時点で十分素晴らしい公演だったと思うんですよ。深部まで練り込まれたシナリオと演出と映像と音楽、照明、そして完成度の高い演技。確かに「破滅への使者」でジャンプのミスはありましたが、それが瑕疵にならないほどの質の高さだった。

そこに安住せず、より意図した事が伝わりやすいように日々変更を重ね、映像を大きくブラッシュアップし、ひたすら練習を積み重ねて(それこそ2年半ぶり筋トレまでして)滑り込みを続けて最終的にあの千秋楽の完成度を創り上げた。

一発勝負の公演だった「GIFT」と違ってツアーだからこそ出来た作品内容でもあったように思います。自分のここに至るまでの半生を振り返り心の内の葛藤まで曝け出す「GIFT」という物語は、プロスケーターでクリエイターでエンターテイナーである羽生結弦のスタート地点だけれど、だからこそ何度も公演を行う内容ではないと思うんですよね(見る側が繰り返し見るのはありなんだけど)。彼の視線はもう更に先にいってしまっているから。でも「RE_PRAY」は純然たるフィクションであるが故に何度も演じられるし、だからこそ変化させる事も進化させる事も可能な訳で。今回のあの完成形(「破滅への使者」だけでなく他の演目も一段上のクオリティへと進化させた)はツアーという特色を生かし、公演のない間の日々を余すことなくフィギュアスケートの為に使い切ったからこそだったんじゃないでしょうか。

横浜大楽の後にWFS100号のインタビューや糸井重里さんとの対談がアップされて、それを読んだ後でまた横浜公演を見直している方も多いと思います。

私は「余白のある演技」の先にICE STORYという公演の形が生まれたのかなと感じたんですよね。

「物語に当てはめることでプログラムに違った意味を持たせる」というICE STORYのコンセプトは、余白を意識的につくることが出来ていなければ成り立たない訳で。それを意識するだけでなく実行する技術があればこそ「いつか終わる夢」をプロローグとGIFTとRE_PRAYでまるで違う印象に演じ分けられたのではないでしょうか。

また「春よ、来い」や「天と地のレクイエム」などは受け手である私達が抱えている背景やその時の気持ちで見え方が変わってくるプログラムだし、逆にその時の羽生くんの気持ちが赤裸々に現れる時もある。対談の例え話でいえば自在にフォントを変えて演じられているのかなと感じました。

そして「ジョニーが3回転までのジャンプの世界でやってきたこと」を「4回転などの難しいジャンプが存在する世界でもやること」と「プル様が挑戦し続けていた難しいことを追い求めること」を合わせて両方極め続けるのが羽生くんのフィギュアスケートならば、この「RE_PRAY」という公演はまさにその追求している内容そのものなんですよね。

そしてその理想を追い求めるICE STORYという公演を続けていくには多くの方の支援と協力が必要なんですよ。

羽生くんは「企業の方がお金を貸してくれて」という言い方をしましたが(多分出資のことを言いたかったんだと思われますが)、こんな大規模なショーだと会場押さえるだけで相当なお金が動きます。当たり前ですが自前の資金では出来ない訳で、羽生くんが「やりたい」と思うだけではどうにもならない。スポンサーが出資してくれなければ終わりです。

だからこそ羽生くんもMIKIKO先生はじめとする製作チームやスタッフ、音楽関係者、会場への感謝と同時にスポンサーへの感謝も述べたのだと思います。

彼は自分に「氷の上に立って演技する場所があること」を当たり前だとは思っていない。

それは震災を経験した事で心に深く刻まれているだろう「明日がどうなるかは誰にも分からない」ということが強く影響しているんだと思うけれど(だから「いつ終わってもいい」という思いで毎回魂を全部注ぎ込んで演技している)、同時に「支援があって、そしてみんなが見てくれるから」滑る機会が与えられている、とも思っている。つまり機会が与えられるのが当たり前とは思っていない、その機会がある事がかけがえのない幸せだと思っている。

私達もその羽生くんの気持ちや考えをちゃんと理解すべきかなと今回改めて思いました(別にスポンサーに媚を売れというのではなく、羽生くんと私達は売上に貢献しているけれど向こうも出資という形で公演に貢献しているんだから、その辺をちゃんと理解してものを言えということ←説教くさくてすみませんあせる)。

 

アンコールのMCは時々口調が砕けて普通の29歳の青年っぽさが出ていましたね。初見さんに手を上げさせておいて「こっからだと見えねぇんだよな」とかちょっとだけSっぽい発言してみたり(糸井さんが素早く手を上げていたのを見た、というレポがありましたね、ちゃんと参加してくださって嬉しいな音譜)。

「Let Me Entertain You」は流石にちょっとお疲れだったのか最後の3Aが前傾姿勢で着氷から堪えきれずに前のめりに転倒、という変わったこけ方になってしまいました(すごい痛そうなんだけどすごい笑ってたなw)。そんな中でも3Fのランディングで右足でそのままステップ刻んでからぴょんと跳ぶという華麗な小技をぶっこんでいましたね。ああいうのが音楽に合わせたジャンプなんだよねぇ。

コール&レスポンスも回を重ねる毎に上達していきましたかね?私も普段は声出せないんですが今回は頑張って叫んでみました(笑)

横浜初日にバナーの話をしたせいか大楽の日はいつも以上にバナーが多かったように思います。レミエン終わったあとに色とりどりのバナーが振られる会場をぐるっと眺めていた羽生くんがとても嬉しそうで(ちょっと泣きそうな顔で)、見ている私も目頭が熱くなりつつ精一杯拍手をさせてもらいました(こんな日にバナー代わりのANAタオル忘れてしまった大変残念な人…)

「SEIMEI」に入り込む前のギアチェンジが回を追う毎に際立ってきたように感じました。左手を頭上に掲げた瞬間の眼光の鋭さといい、この日のSEIMEIは試合の時よりも覇気を纏っているかのような迫力がありました。

演技後のご挨拶の時、三方向全てに「ありがとうございました!」と大きな声で叫んでいてくれたのにディレイビューイングで気付きました。現地では歓声にかき消されて分からなかったあせる

RE_PRAY用に新録された「序奏とロンドカプリチオーソ」、SPに使用した音源と間の取り方も音の伸ばし方も変わっていて難しいと思うのですが、この日も完璧に滑り切っていましたね。前にも書いたけれど最後のCCoSpがより余韻をもって演じられているのが嬉しかったですラブラブ

「私は最強」の即興の振付はこの大楽が一番長かったのかな?何度も書きますけど、心の赴くままに音楽に全身を委ねて滑る彼のスケートは何よりも雄弁にフィギュアスケートへの想いと全ての人への感謝を語っていたように思いました。

羽生くんがともすれば自分を卑下するかのように語るのは、それだけ果てしない高みを見つめているから。その世界の大きさを一緒に見つめて追いかけていけるファンでありたいと自分に願った横浜大楽公演でした。

 

最後に公演後にTwitterに書いたメッセージと同じ内容になるけれど。

ひたすらに極上で唯一無二の羽生結弦のスケートをこの目で見られたことに深い感謝を。本当に素晴らしい演技、素晴らしい演出、素晴らしい音楽をありがとうございました。

特に映像演出の音楽、あの臨場感があって更に羽生結弦のプログラムが息づくと今回改めて実感しました。素晴らしい音楽演出をありがとうございます。

そしてただひたすらに羽生結弦のフィギュアスケートの進化と深化に平伏す公演でもありました。羽生結弦のスケートは極上であるという、その現実を再認識させられた(何度目かは不明)公演でした。

間違いなく「あなたは最強」です。

それでも進化を止めないあなたをずっと応援しているし追いかけていきますキラキラ

 

 

以上、相変わらず大変遅れた上に非常に中身のないことこの上ない「RE_PRAY」横浜公演最終日レポという名の感想文でしたあせる

 

 

 

……って書いた翌日に追加公演が4月に宮城で開催される事が発表されましたキラキラ

いやぁ再演は可能だと思ってGIFTとの比較を書きましたが、まさかこんなに早くに追加がくるとは(笑)←この記事は2/22からだらだらと時間をかけて書いておりますw

4月から新規開業のクリニックに再就職する身としてはかなり厳しい状況ですが(しかも出勤日が月水契約なのでこの日程だと火曜日弾丸日帰りしか選択肢がない)、これは何としても見届けたいので頑張ってみようと思います!

 

 

 

ちなみに今回は自宅から1時間以内というちょー近場だったので道中記らしきものはありません(笑)

初めて物販の整理券申し込んでみたら100番台前半当たったので喜んで出かけたら、神奈川県民の癖にみなとみらいで道に迷ったとか。

購入したものの中にゆづ茶あって、お会計のお兄さんに「割れ物なので気を付けてくださいね」と言われた2分後に落としたとか(無事でしたw)。

ずっと「機会があったらご挨拶を」と言っていた海外在住の方とようやくお会い出来たとか。

ゆづ友さんのお仲間との飲み会に誘っていただいてお邪魔させていただいた身なのに誰よりも飲んでたとか。

少なくともこの飲み比べセットは3杯目に頼むものではない……大変失礼いたしましたあせる

酔っぱらって帰宅してリビングで寝落ちしたけど誰も起こしてくれなかったとか(4時頃自分で目覚めました…)

まぁそれくらいかな(笑)

 

もう明後日はnotte stellata初日です。

コロナに加えてインフルエンザも未だ猛威を奮っていて、ご本人やご家族が罹患されていけなくなったという呟きを度々目にします……決して他人事ではなく、当日を迎えるまでは予断を許さない状況ですよねあせる

無事その日を迎えられたら、精一杯の応援の気持ちを伝えてきたいと思っています。

(ちなみに金曜日にアイリンと公演、土曜日に荒浜小学校と瑞鳳殿とライビュ、という強行スケジュールを組んでおりますw)