W.A.モーツァルト/協奏交響曲 | ◆Promnade~「音楽と時事放談」

◆Promnade~「音楽と時事放談」

作・編曲家 彦坂恭人(ひこさか やすと)

Yasuto Hikosaka's Weblog

https://m.youtube.com/watch?feature=share&v=Qn1gMEoJvrA

私はモーツァルトにはアンヴィバレンツな(矛盾した)感情を持っている。

35で生涯を終えた天才。
その後の世界中の人々に200年以上に渡り影響を与え続けるとは。
本当にこんな人が居たのかと...私は一体何をグダグダやっとるのかと。

構成力など複雑なことは置いておいて端的に言ってしまうと
「16分音符で唄えるスゴさ」。
J.S.バッハから受け継いだウタである。

普通、歌はもっと「ゆっくり長く歌うだろうに」と突っ込みたくなるが、彼の音には無駄がなく、その素早い動きが喚起する感情の起伏に抗うことは難しい。

と同時に聞き流すこともできるというおおらかさも兼備している。

バド・パウエルやチャーリー・パーカーのソロも全く同じである。

しかし、彼は努力も推敲もしなかった天才だったのか?
これはどうやら全く現実とは乖離している様だ。

まさか、一度に全てが出来てしまうなんて事がそうそう有る訳はない。

彼の自筆譜面は確かにベートーベンに比べたら書き直しこそ少ないかもしれないが、改訂したりしていることもある。天才には天才なりの悩みがあり、私なぞでは想像もつかない次元で微調整を繰り返したはずである。

ちなみに、もうひとつのシンフォニア・コンチェルタンテは偽作の噂があり、ある研究者が統計的、構造的に見てオーケストレーションは別の人間が行ったのでは...とされているらしい。
コンピュータの解析って恐いね。
確かに書き癖っていうのはそうそう変わらないから。

実はポップスや映画音楽でも何か違和感を感じるときというのはある。
人間は異質なものを感知する能力を鍛えることもできるのである。

ただ、5才で書いたものを30歳で書き換えたらそりゃ同一人物に見えないだろうし、そもそも○ムラゴー○さんみたいに元から書いていない場合は幾ら解析してもsampleが0だから分からないのである。

本当に巧妙なゴーストライターや物真似がうまい人は存在するのである。

それにしてもモーツァルトを聴くようになったらそろそろお迎えが近いな。好きでもないんだけれど、やはりすげぇなあと思ってしまう。  

ある高名な音楽家や先輩から「君なんかにはまだ聴こえていないものがたくさんあるんだよ」と諭されることがある。

これは自分も実体験としてあるので頷ける。
武満なんて最近漸く良さが分かってきたし。

キライとかバカとか無価値と普段言っている人達の作品も実は聴いていますよ✨

ただし、人間の命は悲しいかな有限なのです。
「短命礼讚」はしないけれど、どこかでバッサリ切らないといつになっても個性の確立なんていうのは後回しになってしまうものなのです。

武満さんですら古典やロマン派をいいなぁと聴いたのは晩年近くだと言います。
バッハは好きだったらしいけど。

まぁ、別格ということさえ分かれば良いんですよ。あとは放っておく。

私は死ぬ間際にでもベートーベン全曲やら後期ロマン派なんかは聴こうとおもっていますが、結構みんなそうみたい。

アカデミズムの人ですら意外に全部聴いてるなんて人は少ないのでは。
私の師匠の一人、川島素晴先生は聴いていそうで怖いけれど...。
あの方は本当に凄かった。
しかもただのマニアックではなくその時代背景や感覚的な理解もしているという。

比べても仕方がないが、比べなきゃ見えないものもある。
天才だからと腰を引く必要はないのです。
俺の方がすごい、いつかきっと。
を死ぬまでやり続けるのが音楽家の仕事なのです。

モーツァルトごときに負けてたまるか!



周りに聞いてる人が誰もいないけど...。