塩分が少なすぎると認知症や脳障害、熱中症のリスクが高まる | Cの憂鬱

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先の無い高齢者のつぶやきです。Cは、お隣の怖い国、お金、職業などなどの頭文字?、かな。

塩分が少なすぎると認知症や脳障害、熱中症のリスクが高まる そうした話が出てきたときに、私は科学者ですから「 みんながそう言っているから」といって鵜呑みにすることはありませんでした。「塩分を摂る量と血圧の関係」を調べたのです。 まず巷に流布される話を見てみると、たとえば青森とか秋田の人は食塩の摂取量が1日に15グラムぐらいと多い。日本の平均は11グラムぐらいで、青森とか秋田の人が脳溢血で倒れる比率が高いのはやはり塩分のせいだというふうに説明されている。しかし、そのときに「長野県も非常に食塩を多く摂っているのに脳溢血は必ずしも多くない」ということは絶対に言いません。これは人を馴すときの常套手段です。 つづいて私は、食塩と血圧の関係の論文を取り寄せて読みました。すると「食塩を摂ると血圧が上がる人もいるけれど、それは日本人の場合はせいぜい5分の1ぐらい。 あとの5分の4の人は血圧と食塩の関係はあまりみられない」というデータのあることがわかります。 さらに自分でもテストをします。食塩を少し減らして血圧の様子をみる。少し増やして血圧の様子をみるということをやってみると、やはりほとんど関係がないというデータを自分の身体で確認できました。 1990年代の初めから半ばぐらいまで、東大医学部のようなきちんとした研究機関などでも調査が行われていました。やはりそこでも日本人で食塩と血圧に 関係があるのは5分の1ぐらいで、その他の8割の人には関係がないということがわかってきました。 醤油や塩、味噌を十分に使って食事をするというのは非常に楽しいこと。ですから、無理に塩分を減らした味気ない食事をするよりも、楽しい食事をすることのほうが重 要なのです。今後、時にはむしろ食塩の量は減らさないほうが良いということがわかってくると思います。 ところが、世の中には「減塩教」に 憑りつかれて、ほとんど食塩を摂らないような人が出てきます。しかし、食塩というのは化学的には「ナトリウム塩」といい、これは人間の身体に必要なものですから、極端に減らせば神経的な障害が起きたり、血圧が下がり過ぎて脳障害や認知症などになる人も出てきます。 近年、熱中症などが増えているのも食塩不足が原因だとする疑いは非常に強いのです。 『フェイクニュースを見破る 武器としての理系思考』武田邦彦 (ビジネス社刊) R060609 P106