このブログでもフローレンスのサポート会員のことを書きましたが、先週その会員になりました。


ひとり親家庭をサポートするための会員制度ですが、会費は月1000円、8人集まると一世帯を支援できる仕組みです。


私が会員になったことを駒崎さんはブログに書いてます。サイトはここです


駒崎さんはアカデミックでも、私は大学人ではありませんが、アカデミックに近いところで仕事をしてきました、論評するだけでなく実行をやる、一橋大学の米倉教授、慶応の井上英之さんもそうだと書いてます。


社会起業を研究してると優れたビジネスモデルがわかるので、優れたものを支援したくて寄付をするのです。


銀行には「人を見て貸す」という格言があります。優れた事業の設計図をつくり上手に実行する社長には金を貸す、審査のときにはそれを見抜けというのですが、私が銀行に入ったときに散々これを教わったものです。


社会起業でも同じです。


投資とか寄付は優れたビジネスモデルに対して行うもので、寄付税制があるから行うものではありません。


日本で寄付が少ないというのはまだ優れたビジネスモデルがない証拠です。

昨夜、NHKハイビジョン「プレミアム、未来への提言」でムハマド・ユヌスのインタビューを1時間半やってました。


テーマが資本主義の新モデル、新資本主義だったので見ました。


見てわかったのは、ユヌスの新資本主義論はビルゲイツの創造的資本主義と同じです。人は違った場所にいても未来について同じことを考える時代になったのです。


新資本主義に至る道の切り札がソーシャルビジネスです。


ソーシャルビジネスは利潤を極大化するのが目的でなく、社会問題を解くのが目的で、配当はしないが出資金は返済する、そのために黒字でなくてはいけません。


保健・医療や教育がソーシャルビジネスの適地で、グラミン銀行のように金融もそうです。


自由競争の市場経済で「ミッシングピース」だったのが「他人につくすのが人の幸せ」という概念です。これもゲイツと同じです。


そこで資本主義経済の半分はソーシャルビジネスになっているのが新資本主義です。


分野が政府と競合しますが、政府と競争することをいといません。


ユヌスはバングラディッシュ経済をこの新資本主義経済にして貧困をなくそうと野心にあふれてます。


グラミン銀行、グラミンフォン(携帯電話)はソーシャルビジネスですが、06年にはグラミン・ダノンをつくりました。


ダノンはフランスの大手食品企業Danoneとの合弁会社で、バングラディッシュで200万人の栄養失調の子供をなくすためにヨーグルトをつくってます。


07年にはグラミン眼科をつくり白内障の手術を1800人に行いました。このビジネスモデルはインド産ですが、もう世界に普及してるんです。


先進国の大企業が技術を提供することにより、5年で貧困から脱出できるのでいろんな種類のソーシャルビジネスを開発する、これがユヌスの事業です。


ワーゲンとは価格が安く、しかもエンジンを乾季の水汲みポンプにすることができるような自動車の開発を進めてますが、ワーゲンは出来ると自信があります。アディダスとは1ドル以下の靴を開発しています。


すでに技術はありますので、あとはバングラディッシュでも実現できるようなビジネスモデルをユヌスはつくってます。


日本の役割はと問われて、日本はソーシャル・ビジネスでリーダーシップを発揮する、ODAの一部をソーシャルビジネスで活用したらどうかと答えました。


以上のようなことは、日本の政府も企業もまだそうなってませんが、これが日本の未来です。きっとそうなると確信します

前回、BSフジで社会起業家を放映した話をしましたが、そこで一橋大イノベーション研究センター長の米倉教授が、フローレンスが社会起業として優れてるのはビジネスモデルがよく、事業が社会に広く広がり、続く仕組みがある点だと話してました。米倉教授が例示したのがサポート会員です。


それをうけフローレンスの駒崎さんがサポート会員の話をしました。月会費7000円から8000円が払えないひとり親家庭のために、月1000円の会員を集め(年間12000円)、8人で一つの家庭にサービスを提供します。


こうしたサービスは銀行や大企業から寄付をもらってやるのが在来のやり方ですが、そうでなく個人から少額を集めサービスを提供するのです。


駒崎さんは、昨年オバマが少額の政治資金をネットで集めたことをヒントにしてこの制度をつくったそうです。


ひとり親家庭支援寄付のサイトはここです


私は十数年前に交通遺児の会の会員になり毎月2万円を数年間払ってたことがあります。この金は高校生に送られて学資のはずですが、ほんとにそう使われたかどうか、全く報告がありません。


これに似てますが、サポート会員のほうが安くて無理なく会員になりやすく、しかも使途が明確です。(高校生の場合、ほんとに勉強に使われてるのかと寄付をしながら不安に思ってました。フローレンスの場合現物給付ですので使途が明確です)


米倉教授はさっき駒崎さんから頼まれたのでサポート会員になるといってましたが、私もテレビを見た後、さっそくメールを駒崎さんへ送りサポート会員になることを伝えました。


米倉教授はルーム・トゥ・リードのジョン・ウッドは日本で資金集めパーティをやり、一晩で6000万円を集めた話をしをしてました。


日本は寄付税制が貧弱なので個人の寄付金が集まらないというのが定番ですが、ジョン・ウッドや駒崎さんの場合は、事業の斬新さを訴え、明確な使途を明示して金を集めることをやって成功してるのです。この辺りがいいですね。


寄付が少ないのを税制のせいにしてはいけません

今日、BSフジ、プライムニュース(夜7~9時)で社会起業家を取り上げてました。副題が新・資本主義、日本経済の再生で、社会起業と資本主義の相関関係が論じられるのだろうと思ってみました。


出席者は米倉一橋大学教授・イノベーション研究センター長、フローレンスの駒崎さん、ACEの岩附さん(岩附さんはよく知りませんが幼児労働問題をやっているNPOです)。


フローレンス、ACEの事業を説明し、社会起業家としてグラミン銀行のユヌス、アショカのドレイトン、ルーム・トゥ・リードのジョン・ウッドの解説をしてました。入門編の内容でした。


このブログで書いているようなビルゲイツの創造的資本主義論のような話はなく、期待外れでしたが、一方、2時間も社会起業家がテーマになるなんてこのコンセプトが広がってきた証拠だと思ったのです。


いいトレンドですね。

ゲイツ財団のCFO(最高財務責任者)アレクサンダー・フリードマンはこういう。


「財団資本は旧来の民間資本よりも柔軟に活動できること、民間資本が現在投資をおこなってない領域でも利益をあげられることを実証している」


「財団や従来型の民間資本は、共同で貧しい国々に投資できるのでないだろうか。民間資本家を参入に前向きにさせるために、財団は市場よりも低い収益率をうけいれることに同意すればいい。そして、投資の採算がとれるようになった時点で、財団が返上していた利益の少なくとも一部を回収する」


「この分野(エイズ、マラリア、結核、熱帯伝染病など)にたずさわっている世界の5大財団は130を超える新薬を開発中である」


創造的資本主義では財団の役割は慈善のために資金を提供するのでなく、未知の市場を開拓するために財団資本を投資する。


企業活動を収益だけでなく、社会性でも「評価」するようになってきてるので、社会性の評価が高い企業には優秀な人がくる。優秀な人材が集まると業績があがる。ここでは社会性と業績の因果関係は近い。


社会性が高いと消費者の関心を引きブランド価値を高め好業績につながるが、ここはどのくらいそうなのか曖昧で因果関係は遠い。


ゲイツ財団は熱帯伝染病のワクチンを開発してるが、こうすることで働く力が増し労働生産性が上がり経済成長する。そうなるとコンピューターが普及し、マイクロソフト製品が売れる。


さらに成長すると所得があがるのでワクチンの代金は回収できるように変わる。


この辺りのことが回収の見込みであるが、初期のグーグルでさえ投資回収が不確かだったが、ゲイツ財団でもはっきりしない。


先行投資なので不確かなのは仕方のないことだ

フィナンシャル・タイムスのコムラニスト、クライヴ・クルックは、ビルゲイツの創造的資本主義のコンセプトに対して、アダムスミスなら異を唱えただろうという。


スミスは「国富論」で利己主義を説き、「道徳情操論」で利他主義を説いた。人間にはこの二つが同居していると考えていたからである。


現在は競争による社会のひずみが大きくなってきたので、市場競争+思いやりで考えるのが普通のことである。


ゲイツはこの二つを合体した資本主義を唱えたのであるが、時代の思潮には合っている。しかしスミスにとっては当たり前のことなので、わざわざいうことではないと異を唱えるだろうというのである。


ゲイツの創造的資本主義論に対し反対があるのは、当たり前のことをいってるだけだ、資本主義には創造性があるのでわざわざ「新」などをつけて資本主義をいう必要はないという観点からの反対が多い。


こういうことを言う人は、貧困を失くすためのイノベーション、社会セクターでのイノベーションを具体的に考え、社会起業について思考しれば、全く新しいやりようがあると見えてくるが、こんな体験をしたことがないので杓子定規に反対論を唱えてるだけだと思う。


ビルゲイツの提唱には資本主義を進化させようという思いがある。

クィーンズランド大学経済・政治学のジョン・クイギン教授はゲイツの創造的な資本主義論に対しこういう。


「インターネットもウェブも90年代の半ばに商用に解放されるまで非営利事業として発展していった」
「インターネット経済の主要な駆動力は、利潤追求型の技術革新でなく、個人レベルで、あるいは集合的に発揮される創造性である」


だからゲイツ財団がやってるようなことは商用に開放される前のインターネットに似ており、ゲイツ財団の活動の先に「社会セクター経済」「社会セクター産業」と呼べる境地があるんだとゲイツのコンセプトを肯定している。


グーグルが出てきた当座は、この会社はどうやって売上高をあげるんだと皆懐疑的だったが、今では一兆円をこえる売上高をあげる会社になってしまってる。


教育や医療、福祉のような社会セクターで企業の手法でイノベーションを起こすと、これが現在社会起業として先進国で行われ始めたことだが、やがてグーグルのような企業が生まれるかもしれないと思うのだ。


次のグーグルは社会セクターから出てくることになるといいのであるが

MIT開発経済学のエスター・デュフロ教授は、社会セクター(医療、福祉、教育のような分野)ではイノベーションを起こす必要がなかったが、そこを変えればいいとこういう。


「貧しい人が正規の価格を払うつもりがあっても誰もそのサービスを提供していない、あるいは、もっと安く、もっと効果的に提供する方法があるかもしれない。創造的資本主義を活用すれば、こうしたサービスの提供にエネルギーを集中することができる」
「資本主義の得意なことは、新しい製品を発明し販売する方法を考えだすことなのだから」


社会セクターは税金でまかなってきたのでイノベーションを起こす必要がなかった。そこで財やサービスの供給革新を起こすと社会セクターが市場に変る。


こんな事例がたくさん出てきた。白内障手術用のレンズを十分の一の価格でつくると貧困世帯でも払うことができる。財団が抗生物質の薬の特許を買い取ると安く提供できる。


こんなわけで創造的資本主義の第一の道は社会セクターの研究開発、第二は規模の拡大である。規模の拡大とはほかの場所で構想をどんどん実行することである。


これがデュフロ教授の主張で、なるほどとわかりやすい。


ここではイノベーションなどのコンセプトが不在だったんでイノベーションはいくらでも起こせそうだ。イノベーションを起こすのが社会起業家である。


こう考えるとゲイツの創造的資本主義は成り立つ。

前回、ビルゲイツが提唱している創造的資本主義(社会セクター問題の解決は政府や慈善事業でやるのでなく、企業が解決する経済のこと)の話をしたが、それがアメリカでどう受け取られたの話をして行きたい。


まずローレンス・サマーズ、オバマ政権の国家経済会議委員長であるがゲイツの提唱には懐疑的で、サマーズの指摘はわかりやすい。


ファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)とフレディマック(連邦住宅金融抵当公庫)は多額の不良資産をかかえ倒産した。政府援助法人は官民のよいとこどりというが、反対に双方の悪いところが出ることもある。


そうなると、責任不在でもたれあいになり、うまくいかないのはアメリカでも同じである。


ゲイツは第三セクターのようなものを提案しているわけでないが、ゲイツに便乗する税金どろぼうが必ず出てくる。


だからサマーズは「この世は金儲けも、よい行いをするのも難しい。どこかの企業がその両方を成し遂げると意気込むのを聞くと、私は財布の紐を締める」となる。


この考えはとてもわかりやすい。日本でも公益法人改革が進んでいるが、事情はアメリカでも同じである。


オバマは政府の役割を高めるが、サマーズのような人材が政策をつくるポストにいるので、もうファニーメイような昔の官民合体組織に戻ることはないのだろう。


それにしてもサマーズのような要人がこんなブログ討論に参加するのは日本にはないことで、驚く。

08年1月、スイスのダボスであったダボス会議でビルゲイツはクリエイティブ・キャピタリズムのわが考えを講演した。


こんな内容だ。
・ソフトウェアの魔法で世界を変える、これはマイクロソフトで成功した
・ニーズが満たされないまま生活してる、ニーズとは飢餓から逃げたい、病気を治したい、これは市場は貧困者を相手にしないので市場経済では解決不可能
・マラリアで数百万人が死んでるのに、薄毛、脱毛を直す薬に関心
・市場のインセンティブが貧困者に働かない、見返りが少ないため
・私はせっかちな楽観主義者、いそいで市場経済が解決できない問題を解決する、解決できる
・収益をあげる、評価をつくる、貧しい人の生活を変革するシステムを設計
・創造的資本主義をつくる
・アダム・スミス「道徳情操論」、人間は他人の運命に関心を寄せ、他人の幸福を必要とする、これが人間の本性なので収益+利他主義、世間からの高い評価などで、市場経済とは違う資本主義をつくることができる
・プラハード「ネクスト・マーケット」はそうしたことを考察した本、
・クラウス・シュワブ(ダボス会議主催)、ファースト・カンパニー誌は社会起業家を表彰


この講演を聴いていたアメリカのジャーナリストで編集者であるマイケル・キンズレーはクリエイティブ・キャピタリズムについての本を書こうと決意したが、ちょっと考え、ブログにしてゲイツのスピーチをのせ、識者が意見を投稿するやり方で群衆知を集めることを考えた。


この試みは成功し、数千人が投稿し名だたる識者数十人のオピニオンリーダー、ジャーナリスト、教授、官僚などが寄せた意見をキンズレーが本にまとめた。それが「ゲイツとバフェット新しい資本主義を語る」(原題はクリエイティブ・キャピタリズム)徳間書店、原典は昨年末発刊され、翻訳はこの4月に出た。


ゲイツの主張は貧困を失くすのは政府援助でも慈善でも国際機関でもなく、多国籍企業だという。


企業が無視していたところへ事業を広げるので「創造的」といい、そうすることで社会問題を解決できる。


ゲイツ自身社会起業家へ転進し、他の成功した起業家や大企業へも自分のようになることをすすめてるのであるが、これに対しこの議論に参加した識者は大方賛成し、ここに未来があるという。


こうした感覚は日本にはないがアメリカの経済界では広がっているようだ。現在の新思考なのである。そこでゲイツの提案に対し、識者はどう反応したか書いてみる。