詩を読むのが好きだった。
小学生の頃から、詩、または詩のようなものへ心を寄せていたことを思い出します。
だからと言って、文学的な詩を読んだり、作家が探求するといった、
「きちんとした文学少女」ではまるでなかった。
詩というよりも、「詩的」なものが好きだったのだと思います。
小学校6年のときに影響を受けたのがこの本です。
ちょうど、千代田線が代々木公園駅まで開通した頃で、
小田急線から乗り換えて明治神宮前、原宿によく遊びに行きました。
ジーンズに、ラビットのファーの短い丈のコート、
そして頭には、インドシルクのターバンを巻いて。
少しお化粧もして。
1970代初めの頃の原宿。
コープオリンピアの中に、輸入品を多く扱ったマーケットがあり、
そこで三つ穴のバインダーを買って、ダイナーでストロベリーシェイクを飲む。
それが小学校6年生から中学にかけての想い出。
中学に入ってからは、LEONによく行きました。
青山通りのマーケット、ユアーズのドーナッツ。
しゃりしゃりのグラニュー糖のドーナツを食べに足を伸ばしたり。
小さい頃の大好物。
お子ちゃまが、思いきり背伸びをしたというのか、
おしゃれな大人たちを眺めていることが好きだったというのか。
安井かずみさんの、自由で、洗練されたライフスタイル、
詩を書いて、仕事をして、おしゃれをして、旅をして、恋をして・・・。
大人は素敵だなあと思いました。
そんな憧れが、自分が大人になる過程のどこかにいつもあった。
安井さんのエッセイでサントロペという地名を知り、憧れて。
サガンの「悲しみよこんにちは」を読み、さらに憧れて。
10代の初めの頃の憧れは、自由なものでした。
今日、授業が終わった後、三人の学生と大人についての話をし、
帰りの車の中で、こんなことを思い出しました。
憧れは、自由。
自由に憧れを抱くことができたあの頃から、
はるかに遠いところまで来てしまいました。
でも、憧れは自由。
大人だから、その憧れへの道もわかっているのであります。
叶う、叶わないかは・・・別として。
詩を書いているという現実だけが、
あの頃の憧れに応えてくれたのでした。