10年一昔、という言葉がありますが、

30年も40年も、ひと昔に思うことがあります。

自分にとって大きなインパクトがあった頃のことは鮮明に覚えているものです。

人がどんなふうに昔のことを記憶しているのかわかりませんが、

私は映像、動きで覚えていたりします。

こう、カメラを動かしていくといったような。

映画のように、自分がその中で動いているような。

人生を変えた二つの瞬間のこと、よく覚えています。

 

私が配属された営業部のクライアントにエピックソニーがありました。

ちょうど佐野元春のアルバム『SOMEDAY』がリリースされた頃。

ある日、制作部にいらした売野雅勇さんに、

「君、作詞家になったら?」

と、言われたのです。

売野さんは『少女A』で作詞家として注目されていた頃でした。

私に作詞家になるように勧めた理由を聞くと、

「君はちょっと変だから」

とのことでした。

「変」と言われて、少しも嫌じゃなかった。

歌詞を書いたことはなかったけれど、可能性があるのならやってみようと。

それで勉強を始めたのです。

 

人には、必ず何か才能がある。

才能がない人はいない。

 

小学生の頃からそう信じていました。

でも、自分に何の才能があるのか、さっぱりわからなかった。

ただ、クリエイティブな仕事をしたい。

それだけは、はっきりしてたのです。

 

これが、最初の人生を変えた瞬間、1982年のことでした。

あー、はるか昔・・・。

 

デビュー35周年のパーティーにて。

私のデビューとなった桑田靖子さんと。