歌詞を書くとき、
徹底的にひとりになりたいし、
繭の中にでもこもりたくなる。
詞は20行ほどの言葉なので、
すらすらすらーっと書けるイメージを持つ人もいるでしょう。
実際、すらすらすらーっと書ける人もいると思います。
身を削る・・・という言葉があります。
「鶴の恩返し」のおつう状態。
身を削って書く、というと
体験を切り刻むようにして書くというイメージがありますが、
そうではないのです。
書こうとしている世界と一体になろうとする。
体験であろうと、なかろうと。
それはどうでもいいこと。
すると、そこで歌詞の主人公と気持ちを味わうことになる。
そこから言葉が生まれる。
そんなふうに35年書いてきましたが、
それでよかったのだと、ある方の話を聞いて確信しました。
自分の書いた歌詞が、思ってもみなかった方向へ向かう。
こんなところにも届いていたのかと、驚くこともある。
新潟中越地震のとき、被災者からのリクエストが殺到した『Jupiter 』は、
思いがけず被災者の方を勇気づけた歌になりました。
復興を祈念して、毎年長岡ではフェニックスという大きな花火と共に、
『Jupiter 』が流れます。
先日お会いしたある人は、
厳しい闘病生活のときに『Summer Candles』をずっと聞いて励まされたと。
繭の中にこもって書いたような歌が、誰かの心に寄り添っている。
素敵なことなんだなあと、ある方の話を聞きながら思いました。
作詞家になって、よかったです。
1ヶ月前の35周年記念のパーティーにて。