このプロジェクトが始まってから何年でしょう。

3年は経っているでしょうか。

私にとって、初めてのオペラ作品の作詞です。

終戦後、中国残留孤児として大陸に残されたある女性の物語をオペラになりました。

かつて中国残留孤児の肉親探しが始まった頃、

朝、NHKで一人ひとり紹介されていたのを覚えています。

育った故郷と祖国の間で葛藤し、

日本に戻ってからも大変な苦労をされたことを、私たちは知りません。

生と死の境目はどこだったのか。

大陸に我が子を残さざるをえなかった日本の母親たちの思い。

そこには壮絶な思いがあったはずです。

そして、敵国日本の子供を我が子として育てた中国の親たち。

そこには、目に見えている問題をはるかに超える何かがあるのです。

 

今回は、慶應義塾大学の学生による公演です。
音楽を専門にしていない学生たちが、

4月から練習に練習を重ねてゼロから歌い、演じる舞台となります。

 

作曲は新垣隆氏。
総プロデューサーは、バリトン歌手であり多くの合唱指導をされている古川精一先生です。

 

国と国がお互いに敬愛でつながっていく。
その架け橋となるのは文化、芸術です。
 

このオペラがその一助となることを心から祈ります。
そして、学生たちが表現する喜びを味わい、その姿を見た多くの方にもその喜びが伝わっていきますように。
創造性あふれた日本になりますように。
願いをこめて、明日の初演にまいります。

 

 

入場無料です。
そのまま、三田の慶應義塾大学の会場へお越しください。