ケン: 学校の先生になる試験に子どもを合格させるため、親がえらい人にお金をあげていたっていうニュースが話題になっているね。
宮本記者 大分県の小学校の先生を採用する試験で起きた事件だね。校長先生や教頭先生が、自分の子どもが先生になれるよう、県の教育委員会(教委)の幹部にたのんでいたんだ。
ポン: ずるは、だめ!
●教委の幹部が頼まれて点数ごまかす
◆「お礼」としてお金や商品券
◆教育関係者同士なれあいに
◆事件後、各教委は防止に工夫
ジャン: 「ひいき」してくれるようたのんだのね?
宮本記者: お礼として、お金や商品券もわたしていた。あげた人、もらった人の両方とも逮捕されたよ。
ジャン: ところで、先生にはどうやってなるの。
宮本記者: 大学の授業で、先生になるための科目を受ける。必要な勉強をきちんとしたら免許が取れる。そのうえで、公立の学校ならば、都道府県や政令指定都市ごとに採用試験を受ける。私立は学校ごとに試験がある。この試験をするのが、教委だよ。
ポン: キョウイ?
宮本記者: 都道府県や市町村ごとにある、教育について担当する役所だよ。戦前は国が言う通りの教育がされていて、それによって戦争に突き進んでしまったのではないかという反省が起きた。それで戦後、地域ごとに独立した教育のための組織が生まれたんだ。教委には事務局という部署があって、学校を指導したり、先生を採用したりする仕事をしている。今回逮捕された幹部は、事務局で二番目にえらかった人や、試験を担当する人たちだった。
ケン: 何をしたの。
宮本記者: 受験者の点数を変えていた。本当は合格点に届いていないのに点数を上げ、代わりに、合格するはずの人の点数を下げた。
ジャン: なんで、そんなことをしたんだろう?
宮本記者: 先生の試験の倍率は、地域によってはとても高い。7月にあった2009年度の大分県の採用試験では、小中高などをふくめた全体で14倍近かった。
ポン: でも、ずるはだめ!
宮本記者: こういう不正は、以前から続いていたらしい。教委の事務局には、それまで先生をしていた人も多く、知り合い同士で特別あつかいしてきた可能性が高い。警察の調べに対し「お礼をしないと子どもが受からないと思った」と言っている人もいるそうだよ。
ケン: こういうことは、もうなくしてほしい。
宮本記者: これから不正に合格したことが分かった先生は、やめてもらうことになった。でも、子どもたちは突然、学校から先生がいなくなって不安な思いをしているだろうね。
ジャン: 先生になれるはずだった人が、かわいそう。
宮本記者: うん。本当は合格だった人は、本人の希望があれば採用しようと考えているというよ。
ケン: 大分以外で、こういう不正はないの。
宮本記者: 大分の事件後、文部科学省が全国の教委に調査を求めた。その回答では、不正はないということだ。
ただ、教委の中には、合格が発表される前に、議員などから特定の受験者の結果について問い合わせを受け、教えているところもあった。ひいきにつながるおそれもあるので、ほとんどの教委は、やめるそうだ。
ジャン: もう安心?
宮本記者: 試験の仕組みを変える教委も出てきた。採点や合格者を選ぶとき、受験者の名前をふせたり、受験番号を別の番号に変えたり。だれかを特別あつかいできないようにするためだ。
また、試験の答えや配点を公開して、受験者が点数を確かめられるようにする。
ケン: 先生を信じたい。
宮本記者: そうだね。多くの先生は、まじめに勉強してなったんだ。不正ができない仕組みをできるだけ早く整えることが大事だね。
●きょうのポイント
▽大分県の小学校の先生を選ぶ採用試験で、合格点に届かない人を受からせるなどの不正があった。子どもの合格をたのんだ校長先生や教頭先生、たのまれた教育委員会の事務局の幹部らが逮捕された。
▽元先生が仕事につくなど、知り合いが多くなる教育委員会事務局のあり方にも問題がある。高い試験倍率も、不正につながったとみられる。
▽正解と配点を公表するなど、ずるができない仕組みをつくる教育委員会が出てきた。