そう言えば、無意識に起きることが少なくなったような気がする。
今までずっと、誰かが泊まったら、必ずどんなに疲れていても、遅く寝ても、起きていたのに。
歳をとった…………。
現実やからなぁ…。
「千尋ちゃん…?」
「ん?」
「なんか難しい顔してるよ?」
「そう?」
「パンは嫌だった?」
「ちゃうねん。」
「どうしたの?」
「今まで、朝、ご飯がなかったことなんてなかったねん。誰かが居たら、必ず起きてたのに。」
昂大が、ニコニコしだした。
「僕は、特別?」
「特別って、今までの恋人達だって、特別やったよ。」
「でも、僕だと違うんだよね。」
「マァ、違うというか起きてない気がする。」
「僕は、起きてほしくない。」
「どして?」
「お客さんみたいな気がするから。」
「お客さん?」
「泊まりにきた友達とか。」
「そうなん?」
「千尋ちゃんにその気がなくても、気を使われてるような、そんな感じ。」
「そうなんや。でも、迎えに来てくれるやん。」
「迎えには行くけど、そこじゃない。」
「ウーン。マァ、これからどうかわからんから。起きるかもしれんし。」
「起こさないようにする。」
「無意識やから。」
「押さえ込む。」
「ヘッ?それは、結局起きてるのやで。」
「アッ、そうか。」
「起きても起きなくても、昂大は特別やから。」
小声で言うと、聞き逃さなかったらしい昂大が、嬉しそうに笑った。