「千尋ちゃん、できたよ。」
たたまれたシャツ。ヨレヨレだけど、努力はしていた。
「できたね。」
心配そうに見ていたが、ワタシがそう言うと、チョット安心したようだ。
「直さないの?」
「直さなくても、大丈夫やで。」
「でも…。」
「わかったわかった。」
ワタシが、たたまれたシャツを開いて、丁寧に昂大に教える。
「こうすれば、アイロンなしでもピシッとなるんよ。」
「スゴイ。」
「ワタシがするからいいのに。」
「僕ね、知ってるんだ。千尋ちゃん、仕事してるでしょ。ムリはしてないっていうけど、絶対そんなことないよね。今までは、自分だけの面倒をみてればヨカッタけど、僕の面倒までみるってことになったら、なんでも2倍でしょ。何気なくやってしまってるからわからないだろうけど、僕だって、千尋ちゃんの負担になりたくないし、なんなら、千尋ちゃんの面倒がみたい。だから、なんでもやってしまわないで、僕にもやらせてほしいし、やりたい。教えてホシイ。」
ワタシは、少し驚いた。女性と暮らしていた時は、2人で仲良くなんでもやっていた。男性と暮らしていた時は、ほとんとがなにもせず、教えてほしいなどと言われたことはない。それで、ワタシが文句を言ったこともない。
当然、昂大もヌクヌクと育てられたお坊っちゃんだと思っていたから、そんな風に思ってるとは思わなかった。
「昂大こそ、ムリしたらアカンのに。」
「ムリなんてしてない。んとね、千尋ちゃん。僕さ、ここに暮らしたらダメかな?」
「エッ?」
「引っ越してきたらダメかな?」
「ナルホド。」
ワタシは少し笑ってしまった。
「そんな狙いがあったとは。」
「狙ってたわけじゃないんだけど…。」
「ウンウン。そうだよね。」
「千尋ちゃん。」
懇願するような、急かすような、そんな顔で見られても。
「昂大さー。即行動だよね。モチロン、口にもだすし、説得も諦めないし。」
「千尋ちゃんのことに関しては。諦められない。」
「そうなん?」
「千尋ちゃんがモテ過ぎるから…。」
「そんなこと…。」
「あるでしょ?」
チョット責めるように昂大に言われて、モゴモゴしてしまった。
「一緒に暮らしたいの?」
「ウン。ホントは、土日だけでも一緒に過ごして、暮らせそうかみてもらってからにしようとしたんだけど、気持ちがガマンできなかった。」
そう言って、昂大は笑った。