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僕には痛みがわからない。
幼稚園、小学校、僕はいじめられていたそうだ。
だけど、痛みがわからない僕には、たとえどんなに傷を負わされても、笑えるのだ。
心の痛みさえわからない。
他人の痛みもわからない。
母は毎日泣いていた。
父は、僕が赤ん坊の時に、ベットから落ちて、血を流しながら笑っていたのを見て、逃げるように家を出たそうだ。
僕には、5才上の翼(タスク)という名の兄がいるが、兄は普通だった。そして、僕を庇いながら、いつも泣いていた。
幼稚園に通っていたある日、母は、こう言った。
「もう、泣かない。タスクも泣かさない。紗良依(サラエ)を守らないとね。」
そう言って、幼稚園中にカメラを取り付けた。
僕は、毎日血を流していた。毎日、病院へ行った。
母は何も言わずに、ただ僕を抱いて、病院へ通った。
そして、僕をいじめていた、僕が友達だと思っていた人達を、全て。裁判にかけた。
証拠は、僕の怪我の診断書とカメラ。
兄も、僕が病院へ行ってる間、一人で留守番をして、母の決意したあの日以降泣かなかった。そして、母と同じく、ただ僕を抱き締めて、眠った。
母は、ただの一人も許さなかった。
そして。
全て勝利し、莫大な慰謝料を手にした。
僕をいじめる者はいなくなった。
血を流すことは、それ以来無くなった。
母は、その慰謝料で研究所を買い取った。小さな研究所だったらしいが、今では、世界有数の研究所へと発展した。
母は、僕の無痛症を治したかったのだそうだ。
そして、僕は生ける実験体。
僕の体は生身ではあるが、様々な実験のせいなのか、痛みも感じない、更に、毒が効かなくなり、再生力も向上した。
そう、僕を治すために開発した様々な薬。それらは、他の病気を治す治療薬として、世に出ている。
僕は治験ができなくなった。
実験体から解放されたとき、僕は13才なっていた。
僕は、幼稚園も小学校も行かずに、家で育った。専属の家庭教師をつけられ、リハビリや運動も、全て。
タスク兄は、そんな僕のために、学校での出来事などを、面白おかしく話してくれた。