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そんなこんなの事情は、つい最近になって聞いたことだ。
兄が、大学入学と同時に、研究所の社長になり、母は会長職に退いた。その時、兄が、こう言った。
「サラエ、もうあまりお話しに来れないかもしれない。そのかわり、母さんが家にいる時間が増える。夜には、僕も戻るから、落ち込んだりしないようにね。」
そして、今まであった出来事を、全て話してくれたのだ。
母も兄も、僕のことが気がかりで仕方ないらしく、僕が家に一日中いるにも関わらず、代わる代わる可愛がりに部屋へやって来る。
有り余る愛情に、僕の方が辟易するくらいだ。
僕は、骨折やら無数の傷跡で、普通に成長しないと言われていたが、母の研究所と、併設されている病院の優秀な先生たちのおかげで、中学生には見えないくらい、成長した。
兄よりかは低いが、178ある身長。手足も十分育った。
何より、あれほど怪我ばかりしていたのに、傷跡はほとんど残っていない。
顔は、兄弟二人とも母似で、女顔だが、テニス部の兄は、日焼けをしており、精悍な顔つきに比べて、僕は、女顔の上に、色白で、当たり前だがまだ幼さが残っているのだそうだ。
家の、僕の世話をする田島が言っていた。
田島は、僕が8才の時に、僕の世話をするために雇われた、8才上の女性だった。
兄しか知らない僕は、姉ができたようで、嬉しかった。
顔の傷は、小学生2年当たりから、1日で治るようになっていた。それこそ、傷跡もなく、怪我を本当にしたのかさえわからないくらいに。
そのうち、体についた傷も治るようになって、跡も残らなくなっていた。
母と兄は、それがおかしいこととは捉えずに、逆に喜んだ。
田島は、怪我をしたときに、手当てをしていたから、初めは驚いていたが、そのうち、
「明日には、治りますね。」
とか、
「これはさすがに2日はかかりそうですね。」
とか、治る日数を当て始めた。
そして、それが9割り当たるようになってきた。