対談本。
山極寿一とデリダを組み合わせたら面白そう。
<大学時代に、演劇をやっていたんです。
若い役者にありがちなんだけど、役作りには感情が大切だと思い込んでいました。
自分が演じる人物が、今どんな気持ちなのかを想像して
感情移入しなきゃいけないと考えてしまうんです。
(…)
そのころ、名優が書いた演技論を手当たり次第に読み漁っていたんですが
日本に限らず、イギリスのチャップリンまでもが「感情を優先させるな」と諭している。
大切なのは「感情」なんかじゃなくて「型」なんだと、しつこいぐらいに書いている。
要するにお前の感情なんて、お前だけのものなんだから
そんなちっぽけなものを優先させるなと。
(…)
日本の伝統芸能でいえば、能や狂言、文楽なんかが典型的ですが
お面をかぶったり人形に演技させたりして
役者から表情を奪っているでしょう。
これも、「お前の表情なんていらないんだ」ということだと思うんです>(太田、P.93-94)
<日本で吹聴されている個人主義は、要するに無責任な利己主義です。
今の世間に蔓延しているのは責任を伴う個人主義ではなく、単なる利己主義だと思います。
みんな個人が大事、自分が大事だと訴えて自己実現はしたい、だからといって責任は取らない。
自分の欲求に素直になるのはいいけれど
責任を取らない個人ばかりになってしまったのが今の世の中だと思うんです>
(山極、P.103-104)
