『サイバーパンク・アメリカ』と『プログレッシヴ・ロックの哲学』を読んで
てっきり現代SF評論家みたいな感じだと思っていた巽孝之だが
慶応の教授で、ポー学会会長まで務めていると知り、驚いた。
そんなわけで
バリバリのポー学者の巽先生なので
そこかしこで、いくらなんでもそこまでのものか?と疑問符がつく贔屓の引き倒しが散見され
「正典」「北部“は”マサチューセッツ州ボストン生まれ」といった大仰な言い草がひっかかるものの
こんな小冊子にここまで詰め込んじゃっていいんですか、な大判振る舞いてんこ盛りな内容。
怪奇小説の身を持ち崩す主人公から、探偵小説のもったいぶる探偵役まで
その作品に出てくる登場人物はことごとく作者ポー自身としか読めないのだから
「モルグ街の殺人」のオランウータンもポー自身だろ
と彼の写真を見て思うのが普通の感覚だと思うが
文学評論的には黒人と擬すそうである。
この手の読みは、文学法螺話的にはオッと思うが
「赤き死の仮面」が3.11解釈にも使える、などと大まじめに書かれると
なんでもかんでも牽強付会気味に読み込むのは違うだろ、と呆れる。
ポー作品の挿絵として掲載されたコンスタント・ル・ブルトン、ハリー・クラーク
そしてカバー装画のしのざきゆうこ(この表紙絵、傑作!)のイラストがよい。
読んだばかりなので
「盗まれた手紙」の報酬額の誤記(105頁)に気づくのであった。
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