>「νῶτον」(背、1270)~「κύων」(犬、1270)に関しては、こう理解できる。
>「山背」(やましろ)の例に見る通り、「背」(せ)は「背」(しろ)とも訓む。この場合、
>当該の「νῶτον」(背=“シロ”、1270)は、「Sira」(シリウス)を表すのである。
(※旧稿“「背」は「シリウス」を含意する”より、2017年8月29日)
そして引用した記事では、「ῥάχις」(背、911)~「ράμφος」(觜、911)も同じ。
と書いている。「觜月」=「人馬宮」=【SWSYBRNΣA】(人馬、932)は、たしかに、
【KLBA D・ΣMΣA】(シリウス、932)に重なる。「ῥάχις」(背、911)も、「Sirius」。
* * *
そこで、注目されるのが、Aa17の[𓐟](back)やAa18の[𓐠](back)か。単独で、
「背中」を意味する「sꜣ」(今まで「sՅ」と書いていた)に用いられる。その文字が,
二子音文字としては、以下の語において、音声補充符(?)の様に用いられる。
①「sꜣꜣ」(賢い, 賢明な)…………………「s」と「ꜣ」の間に、[𓐠](back)を置く。 ※[𓀁](A2) ← 限定符
②「šsꜣ」(知識, 技術)…………………「s」と「ꜣ」の間に、[𓐟](back)を置く。 ※[𓄃](F5)
③「sꜣrt」(知恵, 分別)…………………「s」と「ꜣ」の間に、[𓐠](back)を置く。 ※[𓌗](T12)と[𓀁](A2)
④「ssꜣi」(満足させる, 満腹させる)……「s」と「ꜣ」の間に、[𓐟](back)を置く。 ※[𓀁](A2)
⑤「sꜣi」(満腹した)……………………「s」と「ꜣ」の間に、[𓐠](back)を置く。 ※[𓀁](A2)
⑥「sꜣḳ」(集める, 自制する, 用心する)…………………同上。 ※[𓆊](I3)と[𓏜](Y1A)
⑦「sꜣḥ」(上陸する, 埋葬される, 近づく, 到着する)……同上。 ※[𓃃](D61)と[𓂼](D54)
音声補充符であることは分かる。しかし…「分別」≒「自制する」と見るならば、
①から⑥までは、意味が類似するとか限定符が同じとか、何らかの共通性が、
看取できる。そういうなかにあっては、「背」(背中)の意味合いが、問題になる。
* * *
アッカド語を見ると、「šarûtu」(wealth)=「mašrû」(wealth)=「シリウス」である。
③の「sꜣrt」(知恵, 分別)は、その「šarûtu」(wealth)=「シリウス」に掛かる。また、
意味においては【ΣWΣA】(self-restraint、809)=「sꜣḳ」(自制する)に連結する。
その【ΣWΣA】(忍、809)は、上記②の「šsꜣ」(知識, 技術)に掛かる。この場合に、(※④にも掛かる)
「νῶτον」(背中、1270)=「κύων」(犬、1270)=「šarûtu」(wealth)とすれば、
やはり、③の「sꜣrt」(知恵, 分別)は、「šarûtu」(wealth)と同源。こういうことになろう。
#ちなみに、⑤の「sꜣi」(満腹した)は、形容詞であり、おそらく第3子音弱動詞でもある。
#その使役動詞が、④の「ssꜣi」(満足させる, 満腹させる)=「飯豊」=「豊御食」だから,
#「知恵」の神格を持つ「ミネルヴァ」(飯豊)は、②の「šsꜣ」(識)に重なる…そう言えよう。
#翻って言えば、「須佐」は、「šsꜣ」(識)だけでなく、「ssꜣi」(満腹させる)も表すと見てよい。
#以上を踏まえたうえで、Aa17の[𓐟](back)やAa18の[𓐠](back)の位置付けを把握せよ。