・「btnw」(反逆者)
・「sh」(反乱を起こす)
・「snṯ」(反対する)
・「snṯ ib」(怒る)
「ib」(心)が「snṯ」(反対する)、というニュアンスが「怒り」だと見て、「snṯ ib」(怒る)、
と表現されるわけだ。即ち、「sh」(反乱を起こす)と「Յd」(怒り)は、類義語であって、
この場合に、「sh」(反乱を起こす)は、「sh-Յd」(怒って反乱を起こす)とも言われる。
#「sh」(反乱を起こす)そのものに、既に「Յd」(怒り)の意味合いが含まれる。
#そういう話なので、「sh-Յd」(怒る)である。「sh-Յd」(反乱を起こす)である。
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以上に鑑みれば…実は、アッカド語の「šaḫāṭu」(to be angry)、および、
「šaḫāṭu」[GU4.UD](to jump on; to attack)は、上述の「sh-Յd」(怒る),
および、「sh-Յd」(反乱を起こす)に他ならない。エジプト語>アッカド語。
してみると、「沙本」が表す第一の言葉は、「sh」(反乱を起こす)だ。且つ,
「佐波遅」が表す第一の言葉も、「sh-Յd」(反乱を起こす)だ。非常に明快。
#既に従来の稿で、「佐波遅」(忿而飛去)は、「阿治志貴」(忿而飛去)、
#と書いており、「佐波遅」は、上述の赤字斜体のアッカド語と見ていた。
#それはそれで正しいわけだが、アッカド語の「šaḫāṭu」の二つの意味は,
#そもそも、「sh-Յd」(沙本・阿遅)の二語構成から、必然的に生ずるもの。
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確認しておく。「阿治志貴高日子根神」の行動は、「忿而」(怒って)・「飛去」(飛ばし去らす)。
この「飛去」(飛ばし去らす)という行動は、具体的には、「裳屋」を「剣」で切り伏せ、そのうえ,
「足」で蹴っ飛ばし、(遠くへ)離ち遣る、という行動だった。これは、「襲い掛かり、壊滅させる」、
そういう行動だろう。即ち、「志貴」(飛ばし去らす)に相当するのが、「沙本」(反乱を起こす)だ。
ちなみに、「阿遅・佐波」の「佐波」が、「沙本」の異形か、それとも別語かは、よく検討すべきだ。
別語とすれば、使役動詞の「s‘ḥ‘」(立たせる)や「s‘ḥՅ」(戦わせる)。そのあたりが候補になる。