日本書紀の当該箇所を日神系の神話と天照系の神話で分けてみると、
そのストーリー展開には明瞭な違いが見られる。そのことは、2015年の
『藝文研究』109-1号の松田論文が指摘する。むろん、一番のポイントは、
自分のものを素材とするか、相手のものを素材とするか、という点だろう。
《日神系》
第六段一書第一、第六段一書第三、第七段一書第三
《天照系》
第六段正文、第六段一書第二、(古事記)
そもそも、両者が子を生んだあとに、天照が「物実」を云々する契機を、
ストーリー展開の中に用意しているのが、いわゆる天照系神話である。
神代紀第六段正文と概ね同じように展開する古事記は、言うまでもなく、
天照系神話の一つである。議論する際、その点を押さえる必要があろう。
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ところで、松田論文は指摘していないが、「誓約」(うけひ)の叙述の仕方も、
日神系神話と天照系神話では、違いを見せる。その点を次項で確認しよう。