歩行車とシルバーカー(老人車)の違い
コンパクトで使い勝手の良いシルバーカー
かわいい感じのものや男性用にスタイリッシュなものが、たくさん出ていて迷っちゃいますね
よく歩行が心配な方に歩行車をご提案させていただくと「シルバーカーがコンパクトでいいな」とおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。
ちょっと待って
テクノエイド協会(福祉用具に関する調査研究及び開発、福祉用具情報の収集及び提供、義肢装具士国家試験を実施する公益法人)の「福祉用具選定支援書」によると、『シルバーカーは原則として自立歩行が可能な人で、支えが必要な人、支えがほしいという人には不向き』と記載されています。
『シルバーカーの多くの機種が身体を支える為に、床と接している部分を結んだ範囲(支持基底面)の内に身体を十分に入れることができないので、重心が外に出てしまいます。
使用できるのは自立歩行のできる人に限られています。シルバーカーに頼って歩くことは勧められません』とも。
歩行車は支持基底面の中に身体を入れることができるので、安定しやすい特徴があります (一部歩行車を除く)
左右のグリップを側方で支えて歩く歩行車は、体幹(人の胴体)の自然なひねりが得られ、バランスが安定しやすい特徴があります。
シルバーカーのように前方のハンドルを支えて歩く場合は、手首の動きが固定されてしまい、体幹の自然なひねりが使えないので、前傾姿勢(前かがみ)になってバランスをとることが難しくなってしまいます。
ただ、もともと円背(えんぱい…背中が丸くなる状態)の方は、無理に体を起こそうとすると足が前に出なくなったり、立つ時のバランスがとれなくなってしまうこともありますので、その場合はシルバーカーの方が使いやすいこともあります
屋外で長い距離歩く時や、買い物時に荷物を持って歩くことが難しい人には「シルバーカー」を、歩くときに何かにつかまりたいときは「歩行器」を、ご状態に合わせた用具を使用されると安心ですね
どちらか迷った時には、福祉用具専門相談員・福祉用具プランナー・理学療法士・作業療法士の皆さんにアドバイスをいただくと良いです
どちらにしても、お気に入りの福祉用具で、安心してお散歩を楽しんでいただきたいと心から願っています
参考資料 「福祉用具選定支援書」 テクノエイド協会発行