感想なのでネタバレあると思います、、





これはイヤホンで観て正解だった。


サウンドオブメタル。

メタルドラマーということで割と賑やかな騒がしい音が沢山の映像から始まるのだけど


聴力を失うのはあっという間の出来事で、すぐに展開していくので観やすかった。


何よりも、音がいきなり聴こえにくくなる感覚。

イヤホンをしていると本当に自分の耳に違和感があるのかと思うほどリアルで少し怖くなる。


そこから最後まで、様々な状況での音の聴こえ方が印象的な映画だった。



昔、ウォーリーを観た時にセリフの少なさから余計に感情移入したことがあったけど


音が聴こえづらくなったり、施設で周りの人間が手話で話している場面に字幕が無くて、何も分からない主人公と同じ感覚にさせられたことで

より感情移入して、より主人公の表情や動きが入ってきた気がする。


物語の展開がどうだとか聴こえない辛さや苦しさとか、そういう表現もそうだけど、何よりも音の演出みたいなものが新鮮だった。




サブタイトルの“聞こえるということ”

とても印象的なラストシーンのあと、エンドロールとともに
この言葉が私の頭にふわっと浮かんでた。


もともと当たり前にあったもの、

突然になくなるということ、

再びそれを手に入れること。

それでも完璧な元の状態には戻らないということ。


一度なくなってしまったものが違う形で戻ってきた時、それはもう全くの別物。


聞こえるということ。

求めていたはずだったのに、戻ってきた音はとても騒がしいものになっていた。

サウンドオブメタル。

聴こえないまま手話で会話ができるようになってきた生活の方が断然過ごしやすそうに見えた。



ラストシーンで静寂を求めた主人公が、その後どちらで生きていくことを選んだのか。


しばらく考えてしまう映画だった。