銀座時代の終わり、そして始まり。
結月でございます。
さて、次の日曜、8月6日は、結美堂にてマロオケのビデオ鑑賞&飲み会をやります。
メルマガでは以前にお伝えしつつも、どういうわけかメルマガのメーリングリストがおかしくなっていて、ほとんど消えてしまっていました。
OSの更新か何かのせいでの不具合かなと思いつつ、それはもうしょーがない。ですから、少数のひとにしか届いていないレアなメルマガになってしまったんですよね。
なので、ここで今一度ご案内すると、
日時:8月6日(日)
時間:13:30~
参加費:5000円
ということで、昨年のマロオケ東京初公演のアタシ秘蔵のDVDをプロジェクターで見た後は、そのまま結美堂で飲み会をやるといういつもの流れ。
ビデオ鑑賞なので、時間に間に合わなくても、入っていただいていいですよ。
ドリンクはこちらで用意するので、ポテトチップス以上の食べ物を持ってくるというのも恒例です。
暑くても来る!という愛すべき方は、結美堂までご連絡ください。
このささやかなイベントは、実は銀座で最後のものになります。
メルマガではお知らせしましたが、結美堂は銀座にいるのが10月までです。10月で今の場所の契約が満了になるためで、
「グッドバイ! 銀座!」
と、わたしは銀座に残るつもりがありません。
次はどこに移転するかはわかりませんが、今のところ秋葉原から上野にかけてとガラリと雰囲気を変えちゃおうと考えています。
銀座には13年いましたよ。
今の3丁目に来て、ちょうど10年。その前は銀座5丁目にいました。
バイオリンの生徒さんでは、5丁目時代を知るひともまだ通ってくださっていて、まさしく結美堂史を知る生き証人です。
いつの頃からか、銀座はもうつまんないなと感じていて、銀座そのものも変わったし、着物への日本人の認識もすごく変わったし、わたしも変わったし、要は熟年離婚みたいなものでしょうか。
13年前、銀座5丁目に店を出した頃は、わたし自身、銀座に憧れもあったし、銀座でやっていくんだという気概もありましたが、銀座の住民を13年間やり、さらにその中の7年間は銀座まで徒歩で来れるところに住んで、もう銀座は十分に満喫したかなって気がします。
今は満喫したを通り越して、まったく興味がないというところまで来てしまっていて、この間オープンしたという銀座シックスもわたしは一度も行ったことはなく、建物も見たことはありません。
なぜなら、興味がないわけで、この13年間でユニクロができたり、H&Mができて、アバクロができたりしたときはいつも行列でメディアも大騒ぎだったのに、ひと月もしないうちにあの騒ぎはなんだったんだ?みたいに飽きられて、収束していくのを見ているから、もう馬鹿らしいんですよね。
大昔、東京に来る前、わたしは友達に案内してもらって代々木のバーで飲んだんですよ。そしたら、友達の知り合いの女バーテンがわたしに、
「今日は東京の夜を楽しんでいってください」
って言ったんですよ。
なんかすごく馬鹿にされた気がして、つまり田舎者扱いされたなっていうことがありました。向こうはそういうつもりで言ってないんだろうけど、こっちは東京には住んでなくても、一応、京都、大阪で過ごして田舎者ってわけでもないし、フランスにもいたし、パリもよく知っているし、そんなこと言われてなんか気分悪かったんです。
それに女バーテンだって、地方出身の可能性も高いしね。
で、今度は銀座で飲んで、さすがに銀座はよく読んでいた文学作品にも出てくるし、好きだった小説家が入り浸っていたりして、ちょっと特別な思いはありました。だから、銀座では子ども扱いだったでしょうか、あの頃は。
いつか銀座で好きな時に飲める人間になろうと思って、結果的に店を出す場を銀座にした。銀座で事業をやっていると、
「今日は東京の夜を楽しんでいってください」
なんて言われないですよ。
銀座のすぐ近くに住んでいたときは、夜中に眠れないと、下駄履いてチャリに乗り、銀座のバーに飲みに来てましたからね。もうここまでくれば、銀座なんてどうってことなくなる。居住区ですよ。
銀座東武ホテルのバーでは本当によく飲んだ。週に三回は飲んでた。あとは帝国ホテルのバー。両方とも完全に常連だったので。
でも、何年も前から、銀座では飲まなくなって、家飲み。
結美堂と同じビルの地下一階にある日比谷バーにもよく行っていたけど、すっかり行かなくなってしまった。日比谷バーのバーテンたちのことは好きだから会いたいなって思う気持ちはあるけど、やっぱり家飲み。
よくひとから銀座でおいしいところ、教えてくださいって訊かれるんですよ。でも、わたしはまったく知らない。なぜなら、毎日銀座にいたら、わざわざ銀座で食事なんてしないもん。お腹が空いたら、結美堂でカップ麺食べて終わりだし。
つまり、銀座への憧れや銀座というブランドを背負う自負みたいなものがなくなっちゃったんですよね、わたしに。
これ、すなわち、「飽きた」ってことなんですよ。
銀座に着物女性を集めたいってずっと思ってたけど、京都で観光客がペラペラの浴衣みたいな着物をレンタルして着付けてもらってたくさん歩いている風景を見て、絶望したんですよ。
どうせ銀座でやろうとして一生懸命頑張っても、京都みたいになるなって。あとは古着の汚い色褪せた着物の集団とか、どうもわたしが思い描いているものでない風景になりそう。
かと言って、着物はこれを着ろって強要できるものでないから、たくさんのひとに集まってもらうには、レンタルが駄目とか、リサイクルは駄目とか言えない。
じゃあ、そんなことを自分がやりたいかっていうと、全然やりたいことじゃない。
だから、京都のヘンテコ着物の集団が、決定的でしたね。正直、京都にはもう行きたくないですよ。だって、腹立つもん、ああいうのを見たら。
ただ、レンタルしてヘンテコな着物を着て観光しているひとたちは悪くはないです。知らないだけだから。レンタル業者が変なものを平気で着付けることを憚らないだけで。
でも、ちゃんとした着物を知っている身としては、ああいう風景、衝撃的過ぎて、もう見てらんないんですよね。
とまあ、着物もそんな時代になっちゃったんだなって思い、銀座に着物女性を集めるのも、美的なものにならないなって気がしました。
となると、すでに飽きちゃった銀座、自分の憧れや思いを消費しつくしてしまった銀座にいても、これから自分が新しくはならないって思いました。
そういうときって、全然違うところに引っ越すのがいいです。場所が変わると、磁場が変わってリフレッシュされるので。
人間って節目ってありますよ。転職だって同じじゃないですか。自分はこの職場にこのままいてももう得る物ないなって思ったら、転職を考えるでしょう?
わたしも銀座でやれることはやったし、これ以上、銀座に望むものもないなって感じで。
あとは銀座にエネルギーがないってことかな。小奇麗で清潔なひとは多いけど、街自体にエネルギーはないです。エネルギーがあるのは外国人観光客だけで。
銀座からはもう新しいものって生まれないんですよ。銀座シックスだって、行ったことないけど、銀座でしか得られないものを売っているわけでない。銀座という場所にできましたってだけでね。
街の個性がなくなったって言えるかな、わたしが知る銀座の13年で。
それよりもこの間、初めてまともに行った秋葉原のほうが断然おもしろかった。街にエネルギーがあって、新陳代謝が激しい。
エグいものもたくさんあって、「やってやろう」的エネルギーに満ちている。
毎日、地下鉄でアキバは通っているのに、銀座だけにいたら、全然そういうものに気づかなかった。
とまあ、そういうわけで、不動産契約も満了だし、銀座に居続けることもないかなって。
あとはインターネットを使って、今、やりたいことが大きく3つある。それは今まで自分がやったことがないもので、新しい自分だと思える。かたちにするにはまだ時間はかかるだろうけど、これはやりたい。
でも、昨年のマロオケ東京初公演は、銀座にいなかったらやってなかっただろなって思う。銀座にいる気概みたいなものがマロオケを実現させたと思うよ。これがどこかの住宅地のショボい一室だったら、こんな企画、思いもつかないだろうし、やろうとも思わないでしょう。
だから、去年のマロオケがわたしの銀座時代の集大成だったんだなって、最近になってわかりました。
また、今年の正月明けに結美堂チアリーダーのシャンシャンが生まれて、わたしの環境が著しく変わったっていうのもある。
やっぱ、節目っていうのは、いろいろと激変する出来事が出てくるものだよね。わたしはそれを宿命だと思っているけれど。
というわけで、銀座に13年間、それって子供が小学校に入学してから大学2年生になるまでじゃん!という時間の長さで、
「もう銀座はいいッス…」
と、新たな方向へ向いています。
と、そんなことから、8月6日(日)は、この場所でやる最後のイベントなので、来れる方はぜひ、お越しいただければと思います。
もう銀座はいいッスなんて言いつつ、やっぱりわたしも銀座に13年間いて、この場所への思いもあるので、ここに来てくださった方とささやかながら夏の時間を少しだけご一緒できればいいかなと思いました。
あと、わたしにとっての新しいことのご案内。
週刊プレイボーイ元編集長の島地勝彦さんの公式ウェブマガジン「シマジ・スクエア」を創刊のためのクラウドファンディングをやっています。
このウェブマガではシマジ情報はもちろん、森羅万象をターゲットにしておもしろいものを記事にし、エキサイティングなものにしようと思っています。
ゼロからの立ち上げなので、資金もゼロです。
編集部には企画とアイデアはたくさんありますが、金は全然ありません。
でも、今はクラウドファンディングというすばらしいものがあって、
「これをやりたい!」
と、声を上げることができるようになりました。
島地さんのことが大好きな方、そしてほとんどいないと思いますが、わたしのことが好きな方、どうぞご協力いただければ、おもしろいウェブマガを創刊できます。
クラウドファンディングは以下のURLです。
https://camp-fire.jp/projects/view/31321
わたしの銀座時代が終わって、これからまた新しい時代が始まります。