2024年6月30日

こんな季節に第九かよ
 

”藝大第九” ~チャリティコンサートvol.8~

(東京藝術大学奏楽堂)

 主催;東京藝術大学音楽学部同声会

 

L.v.ベートーヴェン 《交響曲第9番》ニ短調 作品125「合唱つき」

 

 ◆指揮:現田茂夫

 ◆ソプラノ:藤原優花

 ◆アルト:倉林かのん

 ◆テノール:の中裕太

 ◆バス:須田龍乃

 

 ◆管弦楽:藝大第九オーケストラ

 ◆合唱:藝大第九合唱団


 

 第九が年末の風物詩であるというのは日本だけの、それも最近のことだ。

 今年は第九の日本初演(*)100年ということで今回のチャリティコンサートで採り上げたとのこと。さらに言えば、本家ドイツでの初演からは200年ということだそうだ。

 そういう前説を今回の主催者である藝大准教授が語るのだが、少し長すぎた。10分近かった。それも半ば以上プログラムに記載されている内容で、個人的にはちょいとしらけましたね。

 

(*)日本人による初演。日本における初演は、第一次大戦で捕虜になったドイツ人によるもので、1918年6月に徳島県の坂東捕虜収容所で全楽章が演奏された。

 

 完売の表示が出ていた。これほど満員の奏楽堂は初めて見た。バルコニー席は若干空席あったけど。

 

 

 

 現田さんの指揮は、失礼ながら芝居がかっていて、変な例えだがピアニストで言えばランランみたい。私の好きなタイプではない。

 昨年暮れに現田さんの指揮するコンサートに出かけたが、格別そういう印象は持たなかったので、むしろ不思議な気がした。

本日のコンサート 東京交響楽団 くるみ割り人形 ほか | 小人閑居して不平を鳴らす (ameblo.jp)

 

 つい最近の藝大モーニングコンサートで、ファゴットのソリストがピアスをしていたのを若干ネガティヴに書いたのだが、この日の現田さんも左耳にピアスが光っておりました。まぁものすごく似合っていれば文句はないものの、この年齢(65歳)の男性にしては明るめの茶髪といい、ちゃらい印象だった。2023年に藝大が客員教授に招いたくらいの人だから、実績、技量ともに抜群なんでしょう。外野がとやかく言うことではない。

 

 オケのメンバーは藝大の器楽科学生が占める中、ひとりだけチェロの首席に年嵩の女性がいるのでどういうことかと思ったら、賛助教員という形で参加されていたようだ。その右隣の男子は指揮よりもむしろそちらを見ているように窺えた。気のせいかもしれないが、ストリングスがけっこう指揮者を見ている。オーソドックスな指揮であれば、指揮者を凝視せずとも視界に入ってくる動きで十分合わせられるのだろうが、現田マエストロは指揮棒も持ってないし、変則な動きも多いから特に出だしを整える際は神経質になっているように見えた(ど素人の感想です)。

 

 管楽器はオーボエもフルートもファゴットも素晴らしい音色だったものの、もう少し強い主張があってもよかったのかなと。現田さんの趣味でしょうか。ホルンは時々おやっと思うことがあった。ホルンてむずかしい楽器ですよね。

 

 バスの須田龍乃はすばらしかった。体格も非常によく、あごを上げて堂々たる風情。将来国際的舞台で活躍することを期待したい。

 テノールの野中裕太は以前藝大モーニングコンサートで聴いたことがある。長髪にしていたのは似合っていた。遠目に見ると中村倫也にちょっと似ている・・と思う。モーニングコンサートに出演すること自体が、成績優秀者であることの証らしいが、ずいぶん小柄なのでオペラの役柄が限られてくるのではないかとよけいな心配をしている。

 ソプラノ、アルトを含めて4人とも藝大の院に在籍中である。ソプラノの藤原さんは岩手大教育学部を経て藝大大学院声学専攻に進学。他の3人は学部卒業の際に「同声会賞」を受賞しているから、皆さんその年次の首席クラスということなのでありましょう。

 

 全体に心地よい演奏でした。

 

 昨年末にサントリーホールで聴いた第九は、あまりにせわしなくてちょっと楽しめなかったのだよ。 

本日のコンサート 第九 読響 サントリーホール | 小人閑居して不平を鳴らす (ameblo.jp)

 

 

 6月下旬だけで5回目のコンサートで、これで6月は8回になる。7月は今のところ7回を予定している。私の場合、千葉(市川とか船橋のような東京寄りのところではない)からの遠征なので交通費もバカにならない。年金生活者としてはちょっとお金が心配・・