東京交響楽団アートキャラバン
(佐倉ハーモニーホール)

【出演】

◆指揮:現田茂夫
◆ピアノ:横山幸雄

【曲目】
◆チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」からポロネーズ
◆チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23

(ソリストアンコール)グノー(横山幸雄編曲):アヴェ・マリア
 

◆チャイコフスキー:組曲「くるみ割り人形」op.71a

 小序曲

 行進曲

 こんぺい糖の精の踊り

 トレバーク

 アラビアの踊り

 中国の踊り

 あし笛の踊り

 花のワルツ

 

 

 私の席は6列4番目。管楽器はほぼ見えず。ただしピアニストの指はばっちりでありました。

 このホールは小ぶりなので(1階席535人、2階席132人の合計667人)、オケの編成もこじんまり。私の数える限り第一ヴァイオリンは8人だと思ったけど、コントラバスは4人いたかな。一方くるみ割り人形の演奏ではチェレスタやハープも当然入っていたので、ホールに合わせて変則な形だったのだと思います。よう知らんけど。

 つい先日サントリーホールで聴いた第九はけっこう小ぶりでしたね。コントラバス4台しかいなかった。くわえて、ずいぶんせわしない演奏で年末気分を煽っているのかと感じたほどだった。

 

 

 

 

 それはさておき、私の今日の目当ては横山さんでした。期待を裏切らず。

 こう言ってはなんだが、ソリストアンコールが心に染みわたった。いやもちろんチャイコフスキーの協奏曲1番もすばらしかったですよ。まして指の動き全部見える所で聴いていたし。ただ、あまりに有名な曲なので、いろいろなピアニストで聴いた時の、それぞれの感動を上書きするにとどまったという思いがする。

 プラハにいたころ、応援していたあるピアノ留学生から、ある日練習に付き合ってくれと言われ、練習室でたった一人でその人の演奏を聴いたことがある。なんの曲だったかもう覚えていないが、完全防音の、ピアノしか置いていない小さな部屋で、演奏を独占して、何とも言えない恍惚感に浸ったことである。
 他の聴衆がいることも意識しないで、横山さんのアンコール曲に聴き入っていたら、全く意識しないのに涙が出てきた。不思議なものでありますね。その時のことを思い出してうるっと来たのかもしれない。


 横山さんは1990年に19歳で第12回ショパンコンクール3位入賞という方。日本人の歴代最年少入賞記録でありますね。

 

 

 

 クリスマスを意識しての選曲なんでしょう。ファミリーオリエンテッドなコンサートだった。満員の盛況で、アンコールの前に指揮者の現田さんが、大入袋を持って姿を現わした。アンコールは「聖しこの夜」。

 

 私の隣の席は小学校3,4年と思しき女の子で、演奏中も盛んに動くので気が散ったが、まぁしょうがない。後ろで時々がさがさ音を立ててたのはたぶんお姉ちゃんかな。母親がついていたようだが、その母親も1楽章が終わったところで拍手していたから、コンサート常連という感じではなさそう。ただ、けっこうな規模の拍手が起きましたよ。自然に起きた拍手で、不快感はなかった。

 

 ピアニストの横山さんは、その拍手に対して少し会釈するように観客席の方を向いたから、たぶんよくあることなのでしょう。いやがってはいなかったように思いました。


 ものすごく感激したわけではない。でも、会場のゆるい雰囲気やら、自分の昔々の感慨やらないまぜになって、よい雰囲気で帰途につきましたとさ。