2024年1月28日

 

”高木竜馬ピアノリサイタル”

(千葉市文化センター・アートホール)

 

(敬称略で行きます)

 高木竜馬は、昨年10月に岡本誠司ヴァイオリンリサイタルに行った時、主役を食いかねない存在感にただ物ではないなと感じた。それを今日改めて確認したことである。

 

 

 

 高木竜馬は千葉県の出身で、私の友人の息子さんの高校時代の同級生である。進学校として全国的に有名な(*)渋谷教育学園幕張高校である(在学中にウィーン国立音楽大学コンサートピアノ科に合格)。

 

(*)2023年東京大学合格者数では、開成、灘、麻布、聖光学院に次いで5位。千葉県1位

 

 

プログラム

◆W.A.モーツァルト;ピアノ・ソナタ 第11番イ長調「トルコ行進曲付き」K.331

◆S.ラフマニノフ;前奏曲 作品32 第10番 ロ短調

◆S.ラフマニノフ;前奏曲 作品32 第11番 ロ長調

◆S.ラフマニノフ=江口玲 パガニーニの主題による狂詩曲 作品43より 第18変奏曲 変二長調

◆P.I.チャイコフスキー;6つの小品より「主題と変奏」ヘ長調 作品19-6

◆C.ドビュッシー;前奏曲集 第1巻より「雪の上の足跡」

◆C.ドビュッシー;前奏曲集 第2巻より「カノープ」

◆R.シューマン;謝肉祭 作品9

 

アンコール

◆ムソルグスキー;展覧会の絵

 

 この後全く同じプログラムで2/3大阪、2/11東京でリサイタルが予定されている。

 

 

 出だしのモーツァルトは懐かしく柔らかく、甘美なタッチに酔いしれた。少年時代にどこかで流れていた曲を聴いたような気持ちになり、心が穏やかになるとはこういう状態なのだろう。トルコ行進曲などその気になればヴォロドスみたいにも弾けるのだろうが、オーソドックスな曲調は、それはそれで耳に心地よい。

 

 歌うように、時にささやくように情感こめて演奏するさまは、比較して申し訳ないが牛田智大の無機的な空気とは大きく異なる。どちらが好みかと言えば当然高木に軍配を上げる。

 

 やがてプログラムが進むにつれて力強いタッチに変わり、その重厚さに驚く。強すぎるほどの圧を感じた。

 ひとつ年下の阪田知樹に比べると力みが感じられるような気がして、そこは人間味あふれると言っておけばいいのだろうか、けっして嫌いではない。全般に気持ちのこもった演奏で、実に好感がもてた。

 

 前半後半とも演奏前に前説というか、曲目解説を自ら熱心に語る。それぞれ10分くらいは喋っていたから、時間が押したらしくアンコールが1曲しか演奏できないことを申し訳なさそうにしていた。静かな曲とにぎやかな曲とどちらがいいか客席の拍手で決めて、“展覧会の絵”を情熱をこめて演奏してくれた。

 

 

 

 このホールは初めて。このレベルのアーティストで全席自由というのは珍しい。だが、そのおかげでいい席に座れた。左ブロックの前から5番目中央寄りである。この写真は私の席からであるから、ステージより少しだけ高めでピアニストの指も表情(背中の)もはっきりと見え、音響も申し分ないベストに近い席だった。

 

 満員に近い盛況、しかも女性比率がきわめて高い。最近の若手有力男性ピアニストは皆女性人気が高い。反田恭平、牛田智大、藤田真央等々。ちょっとしたアイドル的人気と言えましょう。

 

 

 3回の公演共通のプログラムパンフレット。

 

 この写真は今回のリサイタルのフライヤにも使用されている。おそらく数年前の写真で少年の面影がやや強く、実際の方がイケメンのような気がしますけどね。

 

 

日曜日の午後、いい時間を過ごしました。Bravo!