【9-5】月宮の系譜・外伝2~bi-eye(片青眼) 第9章 乾坤一擲 no.5 | yuz的 益者三楽

yuz的 益者三楽

中国ドラマ・小説の非公式ファンサイトです
アメンバーについては(2023.1.21記事)を参照してください。
以前トラブルがあり、こちらは個人の方、お約束事項ご了承の方のみ了承します(商用の方不可、無言申告不可)
又、商用利用や他サイト上への一部転記などは、NGです

亭国皇帝(楚北捷)が片手を上げると、人々は一斉に静まり返る。

 

引天籟はほっとして息を吐き出す。

流石は昔日の英雄は今も健在だ。

そして亭国は彼によって支えれれている。もし彼に何かあれば‥‥彼の長子 長王(楚長笑)はそれを支える事が出来るのだろうか。

まだまだ、長王(楚長笑)が帝位に登極することは先の事のようだ。

 

弓を射終わり、侍従が白い幕を外す。

幕が外された時、侍従は高らかに勝者を発表する。

「慕容氏、维昊国の一名ずつが的中です!」

 

歓声があがり、人々は驚愕の色を湛えて二人を見る。

一人は精悍な顔の男、一人は周天祐

 

侍従は二人以外を壇上から降ろし、次なる競技を発表する。

「次なる試合は暗射で行う、一箭双雕(いっせんそうちょう)です!」

 

暗射!?

一箭双雕(いっせんそうちょう)!?

人々は驚く。

 

一箭双雕(いっせんそうちょう)とは一矢(ひとや)で二羽の鳥を射止めること、つまりは一矢で二つの的を射る事なのか?

これは周天祐にとって不利なのではないか?

引天籟は周天祐に視線を向ける。

 

亭国皇帝(楚北捷)は周天祐に視線を向け、心の内で呟く。

”朕はそなたの中に揺るがぬ才を見出している。だがそれは未だ原石で、輝きを放ってはいない。その才は、数々の試練を乗り越えてこそ輝き始める事が出来る。それ故 まずは最初の試練を与えよう。ここを突破せねばこの先はないぞ。”

 

皆の視線が集まる中、二人は壇上に立つ。

今度も薄い白い布が掛けられ、観客の視線もいるものと同じ視界となる。

 

チャリンチャンチャリンチャン

鈴の音は鳴り響く。

 

周天祐は心を落ち着け、神経を集中させる。

チャリンチャンチャリンチャン

 

音のする方向は分かった。

後は迷いなく放つことだ。

仮に方向に迷いがあれば、二つの的を射抜くことは出来ず、最初の的で止まってしまう。

 

二人の剣士は同時に矢を放つ。

矢は鋭い音を立てながら飛んでいく。

 

一つの矢は的を一つのみ貫通させた処で止まり、もう一つの矢は二つ目の的を射抜いていた。

侍従が高らかに勝者を叫ぶ。「この試合の最後の勝者は维昊国です!」

 

歓声が上がり、人々はこれらの試合に参加している剣士たちを称賛する。

 

引天籟は胸をなでおろす。

だが、これは亭国と同じ壇上に立つための通過点に過ぎない。

これからが本当の勝負だ。