まず、最初に言ってしまうと、
続編のフォース・ウィング2の方が、フォース・ウィング1の10倍〜30倍くらい面白かったです
- このブログで指している1と2
・『フォース・ウィング』1
『フォース・ウィング―第四騎竜団の戦姫―』(上・下)
アメリカの作家レベッカ・ヤロスが2023年に初のファンタジー作品としてFourth Wingを発表し、英語圏でベストセラーになる
ロマンタジー(ロマンス×ファンタジー)という新ジャンルを作ったと言われている
日本では2025年本屋大賞本屋翻訳小説部門第1位
Amazonで映像化が決定している
・『フォース・ウィング』2
『フォース・ウィング2―鉄炎の竜たち―』(上・下)
2025年4月23日に発売ホヤホヤの続刊
- なぜ1は読みづらかたのか
私は1を読んでいる時は、読みづらさを感じて、なかなか読み進められなかったのですが、
2は、まさに、ページをめくる手が止められなかったです
2まで読んで、なぜ1が読みにくかったのだろう?と思ったことを考えてみた‥
基本的にはストーリーの詳細ネタバレはありません
- 1が2と比べて読みづらかった理由を考えてみる
以下、個人的に思いついたもの、ですが、
1) 1は文体が読みにくかった、これはオリジナルの英語の問題なのか、翻訳の問題なのか?
(わかりません‥)
ただ、オリジナルも、こんな感じの口語的なくだけた文章らしい(私のブログのメモより)
「美しい文章感」はない、翻訳の問題なのかな?と思ったけれど、上の洋書レビューの方の指摘の通り)
Violetの話し方は、“Oh shit'“とか”Fuck!”とか発言しているので、馴染みやすくて現代的な感じが親近感を与えてくれる。
しかし、2になったら、私は、ずいぶん読みやすく感じた
これは、原作者がうまくなったのか
、翻訳者がうまくなったのか
(←メッチャ失礼

スミマセン)







2) 2になって、フォース・ウィングの世界観に私が慣れてきた?
この点を考えているうちに、
久美沙織氏の昔の本に「ファンタジーとは」という定義めいたものが書かれているのを思い出して、
私の中の「何故1が読みづらかったのか」の疑問解消にヒットしました。
久美沙織氏は昔の本でこんなことを言っています:
a) ファンタジーというのは、基本的に絵である
しかもその絵を、どう回りくどく日常的でない言語で描写するか、というのが、ファンタジーの生命です
b) ファンタジーの原形をあまり極端に外さないほうが読者ウケする
主人公たちが次から次へと死んでしまう話や、すごく美人のお姫様がすぐ裏切って他の男とどこかへ行くという話をファンタジーぽく書いても売れない
ファンタジーの場合、あらすじの斬新さ、ひとがアッと驚くような展開をウリにするのは危険
なるほど、
この定義から外れていたフォース・ウィング

と思いました。
a) フォース・ウィングは、ファンタジーの「絵」というよりも、「動き」に埋め尽くされている
ひたすら戦っている、ひたすら鍛えている、
「美しい絵」というより最初から最後まで「動き」まわっている
(そのため、Amazonでの映像化、さぞ映えて面白いだろうと思います
)

b) フォース・ウィングは、「戦いもの」と、とらえたほうが(私には)しっくりくる
アッと驚く展開のオンパレード
クリフハンガーにつぐクリフハンガー
次から次に死ぬ登場人物
竜や魔法や王国を舞台に
ファンタジーっぽく見せているけれども、
竜を、未来型飛行機にして、近未来SFものっぽくしても、充分ストーリーは実は成り立つのでは?
余談1)『太陽妃と四つの試練』
『太陽妃と四つの試練』という本があり、同じくロマンタジーと言われて読んでみているのですが、
こちらのほうが、フォース・ウィング1よりも、読みやすさを感じ、
a) 宮殿の豪華な「絵」や悲惨な牢獄の「絵」が見える
b) (主人公が口語なのはフォース・ウィングと同じだけれども)、冒頭、伝統的な「シンデレラ」的なストーリー展開、とも言える
という点が、
久美沙織氏のファンタジー定義
=私が抱いていたトラディショナルなファンタジーとはこういうもの?という考え
に沿っているので、読みやすいのか!?
と思いました。

ちなみに、同じロマンタジーと言われているのに、こちらは、フォース・ウィングと違って、SNS等でほとんど話題になっていないんですれけど・・

ということで、『フォース・ウィング』は
"ロマンタジー(ロマンス×ファンタジー)"と宣伝されているけれども、
ファンタジーというよりも、
”戦いもの”と私の中ではしっくりきたので、
その世界観の中で、
2の方はスイスイ読めたのだと思いました!
(そうか、これがスキーマというもの!?)
あと、作家(or翻訳者)が上手くなっている説、も、少しはあると思う



なお、ひとつ、書き忘れましたが、
フォース・ウィングは、
・こまかな伏線が多く、普通の本の3倍くらいのクリフハンガー
フォース・ウィング1の冒頭から、
細かな部分にまで伏線がちりばめられていて、
ほんとーに些細な描写まで読み飛ばせない
(あとから、えっ!?これは、と戻って探したり)
また、普通の本の3倍はクリフハンガーが織り込まれているので、
特に2を夜通しかけて読み終わった後は、ずっとドキドキして眠れませんでした
読むのに、エネルギーがいる本です

この、
「隙のない作品」(冬木糸一さん書評より)
「クリスハンガーにつぐクリフハンガー」
「ノンストップ感」
の"LOVEや暴力描写含めてエキサイトさせる感じ"が、イマドキ感で、うけているのかなぁ〜と思いました。
上でふれた本のリンクを以下はっておきます。
- 余談その2)
久美沙織氏が昔の本で、ファンタジー関連で、
あしべゆうほ先生の『クリスタル・ドラゴン』(コミックス)は、大傑作ファンタジーをやろうと思う人は読んでみよう!
と書かれていて、(おお、やっぱり!)と思いました。
・私のブログ
これは、30巻ある漫画を全部読みたい!
(そうなると、紙ではなく、電子で買うか‥)
しかし、こちらも完結していないので、もやもやが残りそうで悲しい

- 上でふれた本のリスト
・フォース・ウィング2
【購入者特典配布店舗】で購入すると、上巻にはヒーロー(ゼイデン)視点からのスピンオフ特典がついています。
(Amazonでは特典ありません)
・太陽妃と四つの試練
・久美沙織・新人賞の獲り方おしえます