笑うこと | 川村優希オフィシャルブログ「川村優希の 優希100%なカルテ」Powered by Ameba

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内科、予防医学、アンチエイジングを専門とする医師です。

先週、志村けんさんの舞台『志村魂』を観に明治座へ行ってきました!

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小中高一緒だった幼なじみと(*^^*)

『志村魂』は2006年から毎年企画されていて今年でなんと11年目だそうです。
東京はもう千秋楽を迎えてしまいましたが現在名古屋公演中、そのあとは大阪での公演があるようです。

バカ殿様、コントライブ、志村さんの三味線独奏、松竹新喜劇のリメイク「先づ健康」、そしてアンコールの変なおじさんと盛り沢山の構成でした。


とにかく笑いすぎて苦しい〜!!
笑いすぎて途中むせてしまうくらい笑わせていただきました(o^^o)

そして、最後はほろりと涙が出てきて...


1回の公演とは思えないくらい濃い時間を過ごしました。
アドリブも多いのか志村さんのフリに出演者の方々が舞台上で吹き出してしまうこともあるんですよ。
その様子もおかしくて観客はまた爆笑の渦にのみこまれます。
それも含めて最終的にストーリーに組み込んでくるので、結局はアドリブなのか意図して完成された笑いなのかよくわからないほど。
本当に“生きた”舞台の楽しさを感じました。


こんな舞台を作り上げる志村さんのようなすごい方と番組をさせていただいたかと思うと今さらまた震えそうになってきますね^^; 改めて感謝です。


小さな子どもから高齢の方まで年齢層が幅広く、家族揃って来ている人も多かったです。
どの世代の人たちにも響くようで、終演後みんな幸せそうな笑顔だったのが印象的でした(*^^*)
笑うことで心が満たされていく、笑いのパワーを感じました。


せっかくこんなに大笑いする機会があったので、今日は少し「笑い」と健康について書いてみようと思います。


古くから笑いの力というのは経験的にも認識されていたようで、「笑いは百薬の長」ということわざもありますよね。笑うことは心だけでなく身体の健康とも密に関連していると私は考えています。

まだまだ実際の作用機序などわかっていない部分も多い分野ですが、笑いの効能について私が思っていることを書きます。


①免疫力アップ
笑うことで免疫力が高まると言われています。
免疫システムの中で特に重要な役割を担っているのがNK細胞。
初期の生体防御の役割があり、がん化した細胞やウイルスに感染した細胞を見つけ攻撃することで体を守ってくれます。
NK細胞の活性が高い状態はいわゆる免疫力が高い状態で、異常な細胞をすぐに攻撃する能力が高く、がんや感染症の予防につながります。

笑いとNK細胞の活性の関連について調べている研究はいくつもあるのですが、一つ紹介します。
20歳〜62歳の男女18名に約3時間漫才で笑う体験をさせ、その直前と直後に採血してNK細胞の活性を調べた実験があります。
正常値よりも活性が低かった5人は笑った後全員が数値上昇。
正常値内だった5人も笑った後に全員特に高い数値を示していました。
またもともと正常値より活性が高かった8人も笑った後も全員が正常値以上をキープしました。

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(伊丹仁朗医師らの研究より)

キレイな数値の推移ですよね。
NK細胞の活性はがんに対する抵抗力の指標の一つになりますから、笑うことはやはりがんの予防にもつながっていくと考えられます。


②腹式呼吸の効果
普段私たちは胸郭の肋間筋をつかって主に胸式呼吸を行っていますが、笑っているときは自然と横隔膜を下げて深く呼吸をする腹式呼吸の状態になっています。深く呼吸をすることで酸素が多く取り入れられ、効率よく脳や全身に酸素が届きます。
また、腹部に力が入ることで、腸管への刺激にもなり蠕動運動を促進することも知られています。
そして腹式呼吸は副交感神経を優位に高めるので、リラックスしたときのような効果があります。
色々な健康法で取り入れられている呼吸法もこの腹式呼吸ですよね。


③認知症予防
笑うことは認知症予防にもなるといわれています。
大阪府のとある地区における2516名のデータから、笑いの頻度と認知機能低下症状との関係を調べた調査があります。

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(大阪府立健康科学センターより)

ほとんど笑う機会がない人はほぼ毎日笑う人に比べて2.15倍、1年後の認知機能低下症状をもつリスクが高かったという結果になっています。
笑いによって脳の血流量が増えるというデータもあるので、そういう機序も影響してよく笑う人ほど認知機能は保たれやすいのかと思います。


④糖尿病予防
笑うことで糖尿病にも良い影響がありそうです。
中高年の糖尿病患者19人で500kcalの食事を摂取したあと、1日目は糖尿病に関する真面目な講義を受け、2日目は漫才を鑑賞してもらいます。
それぞれの日で食後2時間血糖値の比較をしている実験があります。
空腹時と食後2時間血糖値の差は、講義の日は平均で123mg/dlの上昇だったの対して、漫才を鑑賞した日は77mg/dlの上昇でした。



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(Diabetes Care, 26(5), 1651-1652, 2003)

つまり、大笑いしたあとは血糖値の上昇が緩やかだったんです。
笑うことは糖尿病を予防したり、進行を抑えたりする可能性があります。
機序としては血中プロレニン濃度やプロレニン受容体遺伝子の発現と関わっているとの報告もあります。



笑いと健康に関する研究は増えてきていますし、院内で落語や漫才をセラピーの一貫として積極的に取り入れている病院もあります。
単なるレクリエーションを越えた医学的な効果が認知されはじめているからだと思います。


また実は心から大笑いできなくても、作り笑いだけでも良い効果があると考えられています(*^^*)
私自身もその話を聞いてから、なるべく笑顔を増やすように意識しているんです。
日常生活の中で悲しいことや大変なこと、面倒くさいこともたまにはありますが、そういうときマイナスの感情に心が支配される前に口角だけでもキュッとあげてみる。
それだけで気持ちが少しやわらぎますよ^^
私の場合、こんなことだけでも物事の捉え方が前向きな方向にかわり、身体にも良い影響を与えている気がします。


アランの『幸福論』にも「幸福だから笑うのではない、笑うから幸福なのだ」とありました。

たくさん笑って楽しく健康に過ごしましょう(o^^o)




長くなりましたが、最後にこれだけは載せておかないと...

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アイーンしちゃいました(*^^*)笑


最後まで読んでいただきありがとうございます!