どーしようもない街 | 神田勇哉のブログ

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フルーティスト 神田勇哉の日記


私のことを「フルート界でもっともケチな男」
と多久潤一朗は言うけど


ただケチなだけでは無いぞ!


自己中で計算高くて ずる賢い…




そんな男、神田勇哉が考えた結果の

この秋の行動の一つが


「ベルリンフィル 2夜連続 参戦」

であった。



サントリーホール公演。




私の人生のカリスマの一人

ご存知 エマニュエル・パユ氏。


彼はソリストとして毎年来日してるので、

私は必ずコンサートを聞きに行くのだが、


実は私…オケ中のパユ氏を聞いた事が一度も無いのだ。



留学してる時に合計4回ベルリンフィルを聴くチャンスがあったのだが、

毎回すべて アンドレアス・ブラウ氏だった。



数年前、パユ氏が

「僕は50歳になったらオケを辞める」と言ってたという情報をキャッチ


実際 彼は今現在 50歳は超えているが


コロナ禍だったってのと

もう一人のフルート首席であるマチュー・デュフォー氏の電撃退団と

キリル・ペトレンコ体制が始まったタイミングでなかなか気に入ってる様で


引退は先延ばしにしている状態との事。




今しかないんです!!!




そう、ベルリンフィルの中でパユ氏を聞ける機会は

もう2度と無いのかもしれないのだ!



という事で、震えながらベルリンフィルのAB両プログラムのチケットを購入


自分と奥さんの分の計4枚

合計額は…?



オープン ザ プライス!



じゅ、 じゅうはちまん……



一枚 ¥45,000で

4枚で¥180,000ですよ。


給料かよ!!



幾ら数年ぶりの来日だからって

一番有名なオーケストラだからって

高すぎる…


お値段ボリスギ・ゴドゥヌフ。



ん、まてよ? 


東フィルだって、

ここまで高くは無いけど、

定期のチケットは万する。


それをお客様に買って頂いてる訳ですので


オーケストラのコンサートとはこれだけの価値であり、皆様 震える手で購入して

あの場にいらしてるのだな…と、



改めて身が引き締まる思いであります。😅




という事で私にとっての2夜参加の初日が

パユ氏の出番、


Bプログラム サントリーホール

・レーガー モーツァルトの主題の変奏曲

・シュトラウス 英雄の生涯


レーガーは ドイツ人らしい説教臭い作品。


シュトラウスはもう作品が偉大過ぎて

どのオケがやっても必ず良いものが出来る傑作中の傑作。



私はこの中で二つの矛盾した感想を持った。


パユといえどもオケの中ではフルートなのだな。

パユ・ザ・ランページ!



柔らかくソロを歌ったり、和声の一つを演奏するのが木管楽器の仕事だが、

幾らパユ氏がスーパーソリストとはいえ

そこを逸脱はしない。


🐻「当たり前だ」


なので聞こえてくる どソロは確かに

散々聞いたパユ氏の音なのだけど

働きはあくまで合奏のパーツの一つ。


フルート奏者のお仕事はコレですよ。


私にとって人生の解の一つを貰えた気がした。




というか改めて聞くとパユ氏の音は

フルートというより、

ビブラートを細かくかけたクラリネットの様なズッシリとした音質。


天から降り注ぐ系のフルートの音色とは異なっていた。



フルート奏者ってのは音だけで聞き手を唸らすのが

最終のゴールの一つ。


モイーズ、ランパル、ゴールウェイなど個性的な音色の巨匠が歴史を作ってきた後に

パユ氏はまた新たな音色を持って巨匠の後を継いでいるのだなぁ、と


リサイタルやコンチェルトでは分からない

クラ、オーボエ、ヴァイオリンが同時に鳴るからこそ

彼のフルートの音色の質感を改めて感じたのでした。




そして 英雄の生涯の方になったら…


ひでお ことシュトラウス自身が

周りからヤジを飛ばされ攻撃されるシーンが

フルートのどソロから始まるのだけど




やばい! !!!!

パユだ!!!!!🤯




もういつものパユのフルート協奏曲だった。笑



確かにフルートはガンガンに吹く所なんだけど、


「OK」って言って 本当に

金属バットで人の頭をフルスイングする、

そんな頭のネジの飛んだ人。




面白いのが、それに触発された

エスクラも又、ネジがぶっ飛んでたって事。


該当箇所の参考音源

(ただの拾い物、本公演とは関係ない)




これがベルリンフィルの音なのか

ペトレンコが要求したのか、

クラリネットが頑張ってるのに当てられたのか

どんな流れでこの演奏になったかは分からないが、


私としてはその瞬間、

もう「サントリーホールがパユ」だった。




他にもテュッティにて、

弦や金管の強声に紛れて聞こえてくる

ハイCやらの第三、四オクターブをガンガンに吹き込んでる音は

紛れもなくパユ氏の音、



理想のオーケストラの歯車とは…


然るべき仕事に従事し

そして

出る時は圧倒的にハミ出る。


この矛盾した二つの力なのだ!!💡




最終的に

これは… 私 神田勇哉には出来ない…

お手上げ…


とは別に思わなかった。😏


技術的な問題では無い、

意識の問題だ!!



いつの間にか頭に刺さっていた

イルミの針の様に、


ぱかーっと目の前が開けたような、

そんな学び、気付きを得たのでした。


明日から頑張るぞ!!🔥




上で ベルリンフィルのチケットが¥45,000

東フィルは¥12,000と語ったが


それだと東フィルのコンサートで 

このベルリンフィル公演の20数%の感動を

聞き手に与えなければいけない という理屈になる。


感動は数値化 出来るものでは無いが

そんな事出来てる…のかな?🥲


もっともっと頑張ります!

練習します。勉強します。精進します。

🥹





ちなみに2日目の

Aプロ ミューザ川崎公演  は…


これに関してはあまり語りたく無い…😞



数ヶ月前、発売日にチケットぴあでチケットを購入する時、

人気の公演だからか、S、Aなどの席種は選べても

実際の席の場所を選べなかったのだが、



これがS席 ¥45000か…💢