日本クラリネット界の至宝 | 神田勇哉のブログ

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フルーティスト 神田勇哉の日記

言葉ってのはとても難しい…。


そう思わせてくれるのが、

我が団のクラリネット奏者のアレッサンドロくん。




彼は2017年に東京フィルに入団してから、ずっと首席を務めると共に

日本国内のトップクラリネット奏者として活動を続けている。


海外のオーケストラのオーディションもちょくちょく受けに行っているそうだが、

向こうの倍率が苛烈なのは先にも語った通り。


なかなかうまく行かないようだが、

我々日本の聴衆としては、彼が日本で活動をし続けてくれれば嬉しい限りである。




イタリア ヴェローナに生まれ

後にジュネーヴで学んだので、私にとっての良きフランス語の会話相手として

いつも練習台にさせて貰ってるのだが😅笑


彼が来日して日本生活も6年、

彼の日本語のレベルの方が私のフランス語よりも上回ってきてしまった。😅😅






ある日の東フィルの業務、とあるテレビ番組の収録の仕事で彼と一緒になった。


そこで演奏する曲は、既存のクラシック曲だったんだけど、

始まってから5秒…すぐさま 途中で終わる。

そんな感じにぶつ切りになっていて、変なアレンジだった。


なんとなく東フィルの皆は経験あるが故に

「ああ、映像を挟んだり、編集して繋ぐための素材かな?」

と理解したのだが、


アレッサンドロくんは、日本のテレビ番組に慣れている筈もなく、そんな事が全くわからないので、

リハーサル中にスタッフさんに大きな声で疑問をぶつけたのだ。




「このカットをしたのは誰ですか!?」



そしたら、シーン!ってなって、

なんか外国の方がお怒りだぞ!って空気になって

プロデューサーさんが、ビックビクで


😨「は…はい…  私です……」


って名乗りあげてきた。爆笑🤣




アレッサンドロくんはただ単にこのアレンジの意味を知りたかっただけなのに


その言い方が



まるで怒った時の海原雄山先生と同じだったので、こんな事になったのだ。笑



アレッサンドロくんが全く悪気はないのはもちろん。

日本語というか、日本のコミュニケーションて難しいなぁ、と思った。





もう一つは、とあるホールにて…

特殊な演出の曲のリハーサルをしている時


「ここでコンマスがきっかけを出すので

クラリネットさんが演奏を始めて下さい。」

という指示があったのだが、


リハーサル内でその話になった後、


休憩明け、チューニングの直前、全員が席についている時に再び


改めてステージマネージャーさんから

「コンマスがきっかけを出すので、そしたらアレッサンドロさん、演奏を始めて下さい!」

と伝えた時、



「しってマース!!!」



爆笑が起こった。🤣



日本語的な感じからすると

「もう分かってるよ、うっせーな!」

みたいな言い方だったからだ。🤣




英語で考えたら

「Yes, I know! 」

って伝えるのは別におかしくないんだけど、


日本語で、

「OKです!」「大丈夫です」

って言えば良い所を


「知ってまーす!」


 というだけで、

同じ意味なのだけど、

裏側に含むニュアンスが随分と変わってしまう。




もちろんアレッサンドロくんにとっては全く悪気がないので、

みんなで爆笑するのは申し訳なかったが、


マネージャーさんも

「あいすみませんでした〜!」とか言って乗っかってるし…



これを、このニュアンスを伝えるのは相当難しい…😅




なんてったって、スターウォーズの和訳でも

その面白さがネタになってる位だから。




「愛してるわ!」

「知ってたさ!」


洋画の翻訳だから良いけど、

日本語会話としては成立していない。



「あなたの事、好きだったの!」

「僕もさ!」


とかになる。(安っぽい😅)




…という事でアレッサンドロ君のお陰で、

日本語とは、コミュニケーションとは、

とても難しいのだ、と日々勉強させて頂いてるのであります。