五つ星ホテルに後ろ髪を引かれながら別れを告げ、2箇所の寺院を巡り、最終目的地のラマナ・マハルシのアシュラムへ移動する3日目。

 

インドの日常に触れ、衝撃を受けた1日だった。昨日までの2日間は旅行者としてインドを眺めていたが、3日目はそうとはいかなかった。

 

最初に訪れた寺院はナタラジャ寺院。


事前にガイドブックでどんなところか確認していたし、建築様式やお作法は異なるものの日本の神社の参拝にも近いものがあり、想定の範囲内での驚きと経験を積み重ねることができた。敬虔に祈ること、帰依することが日常となっているインドの人々は寺院が生活に密接しているように感じた。


この寺院はシヴァリンガム、女神パールバティ、ヴィシュヌ神、踊るシヴァ神が祀られていて、それぞれに礼拝をしたのだが、インドの人々に大人気の踊るシヴァ神の礼拝場には、まるでハロウィン期間のディズニーランドの如く、老若男女がその護摩焚きを熱心に見つめる。その中に混ざり、シヴァ神へ祈りを捧げる経験ができ、尊い気持ちになり、満足感を得たことを自覚した。

 


※圧巻の門、ナタラジャ寺院


次に訪れた場所は本当にショッキングな場所であった。


ラーマリンガスワミハルの聖なる奇跡の館という参拝場であったが、ここに祀られているラーマリンガスワミハルはご存命のときから貧しい方々へ給仕をするという慈善事業を手掛けており、今もなおその意思は引き継がれていて、参拝場の周りではたくさんの貧しい人々に遭遇したのだった。


杖をつく人、物乞いをする人、恨めしそうにこちらを眺める人・・・。

 

こういう場所が世界のどこかにあることは知識として知っていたが、実際にこの場に立ち、この一瞬を目の当たりにすることがとてもショッキングであった。それはこれまで自分には関係ないことと思っていたことやできれば避けて通りたい、知らないふりをしておきたいと思っていた自分の気持ちに気づいたこと、そして単なる好奇心でインドまで来てしまい、このような場所に辿り着いたこと、全くの覚悟がなく、この現状を目の当たりにし、涙が出てきてしまった。


※聖なる奇跡の館の外観

 

そんな私たち一行を慈善事業に携わる方々が親切に迎え入れてくれ、バターミルクを振る舞ってくれるという。そんな温かい気持ちに触れ、自分の視座の低さや愚かさに涙が止まらなくなってしまった。今、この瞬間、あの人たちはゆったり、安心と共に寝床につけているのだろうか。貧富の差はどのように生まれるのだろうか。そんなことが頭をめぐり、眠りにつくことができない3日目の夜(アシュラムにて)。

 

そんなインドの洗礼を受け、アシュラムでの生活を順応していけるかどうかに不安を覚える夜となった。こんなときは明日着る服でも想像しながら眠りにつこう。純烈のかっこいい姿を思い浮かべながら眠ることにしよう。

 

明日からは本格的に聖地での瞑想の時間が始まる。不安と期待が渦巻くが、実り多き時間としたい。