今回は、公共用地の取得等に係る土地評価のうち、起業者が行う評価において中心的な作業である「比準」と、これに用いられる「土地価格比準表」について少し述べてみたいと思います。もっとも、具体的な比準作業は、専門書等で述べられているのでそちらに譲ることとし、ここでは、そのような専門書等では(意外にも)あまり述べられることのない、「比準」を適正に行うためのイロハのイとでもいいましょうか、基本的な考え方を述べることとします。
1.「比準」とは
土地は単独で機能又は独立して価格を形成するものではありません。すなわち、土地は、用途共通、機能同質及び社会的・経済的位置の同一性を有した一定の地域を構成することで機能し、そして、個々の土地の価格は、この地域において成立する価格水準と大きく関連して形成されるという特徴があります。
したがって、土地の評価に当たっては、まず地域の価格水準を表象する標準画地の価格を求め、これを基本として当該土地の個別性を反映して評価額を求めるという方法が多く用いられています(これを間接比準方式といいます)。
公共用地の取得等に係る土地評価も同じであり、取得する各画地の評価に当たっては、まず同一状況地域における標準地の価格を鑑定評価等によって求め、この標準地と各画地との個別的要因の比較を行って評価額を求めることとなります。この場合における「標準地と各画地との個別的要因の比較を行って評価額を求める」という作業を、公共用地の取得等に係る土地評価では「比準」といい、比準を行って価格を求める各画地のことを「比準地」といいます。
比準地の価格 = 標準地の価格 × 比準地の個別的要因格差率
なお、同じ同一状況地域内に存する土地の価格は、すべて同じ標準地から、比準を行うことによって評価額を求めることとなります。
2.比準作業と「土地価格比準表」