時雨でございます。   前回のお話⇒  ≪本当にあった話 七話≫


老人は命の尊さを語り始めた


「我々の肉体はもともと母親の胎内で一つの細胞だった。そこに命が宿り細胞分裂をする。赤ちゃんとして生まれる頃には細胞が三兆個になり大人になると六十兆個にもなる。そしてそれぞれの細胞は違う役割を果たす。目にはは見えないが、全ての細胞の遺伝子を指揮する存在がある。それが命じゃ。意識じゃ。命は物質を超えた存在じゃ。目には見えなくとも存在しておるのじゃ。世界の学者などはこの不可思議な面を『偉大なる何者か』などと表現する者もいる。宇宙の意思という解釈もできる。」


弘美は言った


「何か、宇宙の意思とか・・・凄く非現実的な話になってませんか?宇宙に意志があるなんて考えにくいです」



老人は笑って言った


「ほら、また出たぞい。その決めつけが。では、宇宙に意志が無い事を証明した者がこの世界に一人としているかね?『そんなバカな事が・・』と何故決めつける?」


弘美は言った


「そうですけど・・やっぱり癖で、目に見えないものは信じれないという気持ちになってしまいます。。」



老人は言った



「良いか?まず、何事も頭から否定すると真実を探求する余地が無くなってしまうではないか?もちろん、聞いた話を全て鵜呑みにしなさいと言ってるのではない。疑う事も大切じゃ。同時に、自分が信じてる固定観念も疑ってみる必要がある。君が今までの人生で信じて来た事が、結果として今の君の人生を創ってきた。がしかし、今の君は自分の今に満足してるかね?君が人生をよりよくしたいのなら自分が信じてることも疑ってみることじゃ。そして、偉人と言われてきた幸せな人生を勝ち取った人達が、どんな事を信じ、どういった生き方をしてきたのかを研究する事じゃな」



老人は続けて言った


「新しい発見や発想は世間の常識になるまで物凄い時間を要する。最初は保守的な者たちの考えによって否定されるのじゃ。特に科学者はそうじゃ。『今まで提言してきた事が無駄になる恐怖』があるから、新しい者を否定する。地動説を唱えたガリレオを知ってるかね?彼は批判を受けて裁判にまでかけられた男じゃ。可哀相に。こういった真実を語る学者が保身者達の無教養な批判に攻撃され、そして真実がいずれ勝つという歴史を人類は作ってきたのじゃ。今でもそうじゃ。無知な人達によって真実が折り曲げられたりしておる。宗教などもそうじゃ。固定観念で決めつけるのじゃ。人類とは今が全てなのじゃ。今の科学や実績が全てであると思っておる。でも、もし未来の人から今を見れば、笑い事になるくらいの文明の低さであるかもしれんぞ?そう思わんか?」



弘美は言った


「確かに・・・私が昔読んだ本で、18世紀の学者が、現代で発明できるものは全て発明してしまったなんて事を言ってるのがありましたけど、それから100年以上経った今でもまだまだ発明がされてます。そうやって未来は進むんですね」



老人は頷き言った



「そうじゃ。そういう事じゃ。先の宇宙の話に戻るが、我々が住む地球という星は、宇宙というまだ解明されてない世界の中で一つの惑星として浮いておる。本当に浮いてるかさえも疑問じゃ。そして太陽の周りを一定の周期で周り、精密な動きで全ての惑星が共有してる。こんな絶妙で奇跡的な状況がちょっとでも変化すると、地球上の生命は滅びてしまう。これはイギリスの物理学者ブランドンが提唱している。絶妙なバランスの崩壊で地球の生命は滅びる。この現象を単なる偶然であると君は思えるかね?このバランスを宇宙空間の中で、そして宇宙が維持してるのじゃ。宇宙の意思でじゃ。」



人間と宇宙との関係、意志が繋がっているという事、それらをもう少し詳し話してみよう。



老人は更に語り始めた・・・



つづく