*うさぎ小屋からの脱出のために資金の投入を図ろう

 欧米人の目には、日本の家屋はあまりにも狭すぎると映るようです。確かに3畳一間4畳半で家族が肩を寄せ合って生活していた頃に比べると、住宅事情はかなり改善されていますが、まだまだ欧米には及びそうにありません。

*狭い住宅は不健康の元

 この狭い住宅はしばしば感染症の温床になります。

 毛ジラミや疥癬、それにノロウイルス感染症などが親子の間で広がりますし、新型コロナウイルスの感染も、狭い住宅は家族間の濃厚接触による感染拡大を起こし危険です。

*老夫婦に欲しいそれぞれの居室

 高齢化が進むと、夫婦は二人だけで暮らすようになるのが宿命と言えそうです。しかし朝から晩まで夫婦が顔を突き合わせて狭い空間で生活をしていると、ついついストレスが溜まってきて、愚痴の一つも飛び出すかもしれません。「心安きは不和の基」といいますが、たまには一人一人が距離を保って暮らす方が、夫婦の愛の絆を保てそうです。

 そのためには、夫婦が自室を持てるような住宅が必要です。

 夫は、その部屋で読書や好きな音楽を楽しみ、また、長い働きずくめの自分の人生を書き綴ってみる、それくらいのゆとりのある生活ができれば、三度の食事のことばかり気にして、奥さんを責めることもなくなると思います。

 また、女性にとっては一人でプライベートな空間を楽しむ余裕が大切です。好きな本を読み、俳句の一つでもひねる時間ができれば心が豊かになり、夫への愛情も深まるはずです。

 また、いくら友人と長電話を楽しんでも、夫が苦言を呈することもなくなるはずです。

 住宅は、心を養う大切な「ゆりかご」と考えて、できるだけゆとりのある間取りにしたいものです。

*日本人にとってバカンスとかセカンドハウスという言葉は夢のまた夢だろうか

 フランスをはじめとしてヨーロッパ各国では、ひと夏を別荘地で過ごし、家族でバカンスを楽しむのが習慣になっているようです。

 フランスの作家、コレットの小説『青い麦』では、幼馴染みの家族同士がバカンスを楽しみ、やがて恋に目覚めて幸せな将来を約束する話が描かれています。実に麗しい青春のひとコマを見せられて、私も学生の頃には南欧の夏に憧れたものでした。

 わが国でも、そうしたゆとりのある暮らしができるようにならないでしょうか。

 

「病院にかかるお金がありません!最もかしこい医療費捻出の裏ワザ(幻冬舎)」

本の一部より