No.343 9月30日発

 

世帯分離とは何か、知っておくと得をする

 世帯分離とは、一つの家に同居しながらも、住民票の世帯を2つ(親と子、夫婦間など)に分けることを言います。

 生活保護を受ける場合、世帯分離をすると有利になります。

 なぜなら、一家の収入が2分されるので、各自治体の取り決めの最低生活費を下回る可能性が高くなり、生活保護の認定が受けやすくなるからです。

 

なぜ現代社会では、世帯分離が必要になるのだろうか

 まず、世帯という概念をはっきりと認識しておこう。

 世帯とは、広辞苑によると、「住居および生計を共にする者の集団」、所帯ともいう。もう一つ、角川辞典によると「一家を構えた独立の暮らし」のこと。

 この説明でだいたいわかると思いますが、かつての日本では、生計を共にする親族が集まって多人数で暮らしていたものです。

 しかし、現代社会では、少子化あるいは超高齢化などの社会の構造の変化によって少人数で一家をなしている家庭が多くなりました。

 老夫婦だけで生活していたり、あるいは独りだけでいわゆる独居生活をしている人もいます。

 家族がこのように末広がりではなく、先細りになっていく傾向はまことに淋しい限りですが、これが現代社会の特徴なのかもしれません。

 さて、この世帯を維持する資金と老齢化を援助する介護の2つがすでに、今の社会の中で大変大きな問題としてクローズアップされてきました。

 資金がなければ、生計を共にする者の暮らしが成り立ちません。

 また、年老いて介護が必要になった時の資金と人手があらかじめしっかりと用意されていなければ、この超高齢化社会はのり切っていくことは出来ません。

 世帯の維持や、介護の資金調達が危険な状態に陥った時には、公的扶助を受けざるを得なくなります。

 この場合、その中心をなす制度は生活保護だと思いますが、この生活保護を受給するためには世帯分離という制度を利用することは極めて有効な方法と考えられます。

 例えば、両親とその子供が同居していて、経済的に成り立たない場合がよくあります。

 一番多いのは子供たちの収入が少なく、両親の年金に頼るという、いわゆるスネかじり現象です。

 こんな状態が続くと、両親と子供は共倒れになってしまいます。

 こうした場合には、世帯分離を申請し、それぞれが経済的に成り立っていくようにしなければなりません。

 是非、世帯分離について、知識を深めることをお勧めします。

 詳しくは「病院にかかるお金がありません!」の第1章の54ページ⑦「最後の奥の手は『世帯分離』で保護の手を」をお読みいただければ幸いです。