肉の生食による劇症肝炎に注意
ウイルス感染症がクローズアップされはじめてから、子供の急性肝炎や成人の食べ物による肝炎などが注目を集めています。
肝炎には、A型からE型まで、現在肝炎ウイルスによるものが五つ知られています。
A型肝炎は、HAVの感染により経口感染で広がります。昔は、水道水などから感染しましたが、今では海外旅行でうつる場合もあります。
B型肝炎は、HBVの感染で発生。血液感染が多く、出産、性行為、タトゥー、不潔な注射などで感染します。
C型肝炎は、HCVが感染ウイルス。血液を介して感染。輸血、血液製剤、タトゥー。
D型肝炎は、HDVが感染ウイルス。このウイルスはHBVと関係が深く、B型肝炎と同時感染して重症化することが多い。感染源は、血液および体液です。
E型肝炎は、HEVで発症。経口感染。豚、猪、鹿はこのウイルスを保有している。これらの肉を生食し発生することが多い。
【肉を生で食べる時には要注意】
今紹介したウイルス性肝炎、特に注意しなければならないのはE型肝炎。わが国では年間数十例が報告されていますが、その多くは、肉の生食によってウイルスが感染し起こっています。かなり前になりますが、北海道のオホーツク海に面した地域で、野生の鹿の肉を食べた住人が、このE型肝炎を発症したことがあります。その症状は、激しく重症化しやすく、肝臓に壊死性の変化が広がります。
その結果、黄疸が現われ、出血傾向が強くなり、発熱、更に進むと肝性脳症を発症し、15時間以内に死亡した例もあります。
実は、私も北国の宴会で、バリバリに冷凍した野生の鹿肉を一口(ひとくち)口にしたことがあります。その冷やりとした肉の感触は、確かに歯触りが良かったことを覚えています。
とにかく、危険ですから、肉は十分に加熱してください。