コロナとお酒と膵臓癌

 

 これほどコロナとの戦いが続くと、世の男性諸君は、心も体も相当ダメージを受けているはずです。感染がピークの時期には、出社できずリモートなどの勤務が続き、従って会社の同僚と仕事の後に食事をしたり、談笑する機会も失われ、ストレスが体に充満している人もいるかもしれません。

 そんな時に心を癒す友となるのはお酒です。チビリチビリと憂(う)さを晴らして飲む酒は旨いかもしれませんが、これが健康のための大きな落とし穴になることがあります。

 

膵臓の大敵はアルコール

 膵臓からは、炭水化物を分解するアミラーゼ、蛋白質にはトリプシン、脂肪にはリパーゼなどの消化酵素が分泌されています。これらは十二指腸に運ばれて活性化して食物の消化を助けます。

 ところが毎日多量の酒を飲み続けると、そのアルコール分が今挙げた消化酵素を含む膵液に働いて活性化を早めます。その結果、消化酵素が腸にいく前に膵臓に作用して、組織の溶解作用を起こしてしまいます。

 その結果、急性膵炎、更に慢性化すると慢性膵炎という治りにくい病気を引き起こすことがあります。

 これらの病気は腹痛と背中の激痛を起こすのが特徴ですが、この症状が現れた時にすぐに治療せずに放置しておくと、やがて膵臓がんを発症する原因になります。

 

晩酌のお酒は一日一合まで

 それではストレスを発散してくれる酒は、どれぐらい飲むと安全なのでしょうか。適量は、日本酒で一合が目安です。アルコールの量にすると21.6g程度です。酒は百薬の長とも言われ、また百毒の長とも言います。とにかく深酒しないように嗜(たしな)むことが大切です。膵臓が下戸(げこ)で酒に弱いことを覚えておきましょう。

 それに煙草をふかしながら飲む酒も膵臓の大敵です。煙草のニコチンとタールが膵臓を弱らせることもあります。コロナに疲れたら、適量の酒を心掛けることです。