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Dui Rupaiyan (2ルピーを追え!) 2017年 113分(138分とも)
主演 アシフ・シャー(脚本&総指揮も兼任) & ニスチャール・バスネト(総指揮も兼任)
監督 アシム・シャー
"オレたちの業界じゃ、ミス1つでゲームオーバーだ"

 

 

 カトマンズのチンピラ ジュレリとダリは、ボスの指令で国境地帯でのインド人マフィアとの金塊密輸取引に赴くことに。その際、相手に渡す2ルピー紙幣を受け取った2人に対してボスは忠告する…「この業界は、ミス1つで全てが終わる。心しておけ」

 その後、のんびりと取引場所へ向かう2人は、途中で顔なじみの安宿で一旦休憩。
 そこのオーナーで警察官の妻マヤと不倫関係にあったダリは、彼女の息子を追い払おうと「ジャケットに金があるから、そこから飴代を持ってっていいぞ」と言ってしまい…。
 ボスの特別製2ルピー紙幣が消えているのに2人が気づいたのは、インド人との取引現場に到着してから。あの紙幣がなければ取引不可能と脅されてしまった2人は窮地に立たされてしまい…!!



主な登場人物 ()内は役者名
ジュレリ (ニスチャール・バスネト) 自撮り好きな小悪党。主人公その1。
ダリ (アシフ・シャー) ジュレリの相棒。主人公その2。安宿オーナーのマヤ・タマンの愛人。ロイヤル・エンフィールドを愛機にしている。
ボス (ティカ・パハーリー) 主人公2人の属するマフィアのボス。常に説教してくる。
ジュッデ (プラティーク・ラージ・ネウパネ) ボスの右腕。
ミュージカル"Talkyo Jawani"のダンサー (スミ・モクトーン)
プラメーシュワル・プラサード・マンダル (ラビンドラ・ジャー) がめつい救急車運転手。通称マンダレィ。主人公2人の仲間で、プライドは高いがやることなすこと全部裏目に出る。
マヤ・タマン (メーヌカー・プラダーン) 主人公2人と顔なじみの安宿オーナー。夫と息子あり。仕事も順調だが、ダリと不倫関係にある。
バブー (アルヴィンド・カードカー) マヤの息子。飴代欲しさに、ダリから2ルピー紙幣を持ち去ってしまう。
スリジュナー (サンジター・パラジュリー) マヤの安宿従業員。
ボム・バハドゥール・タマン (ブッディ・タマン) マヤの夫の警視補。妻の不倫を知り、その相手を徹底追跡する。
警官 (プラモード・アグラハーリー) ボム・バハドゥールの部下。
ビシュラート・ビハーリー (ビシャラード・バスネト) ボス司令の金塊取引相手のインド人マフィア。劇中ではずっと"バイヤー・ジー"と呼ばれている。
チョーター・ビハーリー (クリシュナ・K・マハト) ビシュラートの弟分。
ミュージカル"Kutu Ma Kutu"のダンサー (スワスティカ・カードカー)
シカール (サーガル・ダーカル) 屋台で働くジムリクの手下。小人症で、ジュレリたちに「ガキ」呼ばわりされる。
ジムリク (ラージャン・イシャーン) スラム街のボス。自称"ビッグ・ブラザー"。スラム街にて2ルピー捜索に乗り出し、ボスと対立する。
ハーリヤ ジムリクからの借金を返せず制裁を受ける客。
ラグー ジムリクの手下。
ぺセル ジムリクの手下。
チョットゥ ジムリクの手下。
司祭 (マーダヴ・カルピト) ジムリクの支配するスラムの寺院に勤めている。
ジャムニ マンダレィの仲間。彼に頼まれて拳銃を渡す。
ラジュー (オーム・プラカーシュ・ブーシャル) 画家。ボム・バハドゥールに頼まれて妻の不倫相手の肖像画を描く。
EDのラッパー (アシス・ラーナー)

 

 

ED Dui Rupaiyan (2ルピー)

*EDを飾るのは、「Tandav(出口なし)」で映画主演もしているネパール人ラッパー アシス・ラーナー。

 


ニコニコ タイトルは、ネパール語で「2ルピー」。
 ネパールで大ヒットしたMV「Kutu Ma Kutu」の楽曲・MV制作を担当したアシム・シャーが、そのMVに出演していた歌手アシフ・シャーと、「Loot(略奪金)」や「Talakjung vs Tulke(タラクジュンVSトゥルケ)」の監督として知られるニスチャール・バスネトを主演に迎えて撮った長編映画監督デビュー作。

 元々のMV撮影関係者が再結集して作った劇映画ってことで、「Kutu Ma Kutu」の大ヒットを祝うかのようにそのミュージカルシーンを囲んで構成された物語…と言えればよかったんだけど、どーもお話と楽曲の接点は薄く、思いつき脚本による関連の薄い話芸コメディが並んだかのような印象の一本。まあ、音楽先行で歌を売るための映画と思えば、こんなものか…と思えるくらいにはそれ系の映画見てきてますけれど。

 「Loot」みたいなどんでん返し系クライムサスペンスに行くのかな…と思ってたこっちの思惑を華麗にスルーして、お話はどこまでもコメディに突っ走る。ツッコミなしのボケ倒しコメディなのは、ボリウッド(=ヒンディー語娯楽映画界)と同じ作りな感じだけど、緩急があんまないために話の展開がスローに感じられて「なんでそこで気づかないんだ」「そうはならんだろ」と冷静に考えてしまうのはまあ…通常通りとしておこうか…。

 監督兼男優として活躍するニスチャール・バスネトより、クレジット上では先に出てくるダリ役を演じるアシフ・シャーは、1980年カトマンズ生まれ。
 02年から音楽番組のVJ兼プロデューサーとして働き始め、様々な音楽番組のプロデューサーやプレゼンターとして活躍。CMやMV、ドキュメンタリーも多数手がけていく中で、エイズ啓発用短編映画「Sonam」で監督デビュー。ヒップホップバンド”ザ・ユニティ”を結成して数々の音楽賞も獲得している。長編映画としては、本作で映画デビューとなる。

 まあ、大ヒット曲のために劇映画1本作っちゃおうってノリが、羨ましくもあり懐かしくもあり。そこで、うだつの上がらないチンピラたちのドタバタコメディに仕上げてくるのは、その辺が売れ筋ってことなのかなあ…(まあ、インドでも日本でもヤクザ映画は一定の市場を形成しておりますけど)。
 企画元のMV再現ミュージカルで、出演者再結集させて踊らせた後「あなたは最高のダンサーですね!」「いやーそれほどでも」とかざーとらしい小芝居させてるのも楽しい。どこまでもカッコつかない子悪党の登場人物たちが、だんだんと事態を悪化させて(当人たちにとっては)取り返しのつかない大事になって行くあたりは、基本中の基本とはいえきっちり手堅いつくり。あとはまあ…数々のネパール語での遊び感覚ととネパール内輪ネタが理解できれば、もっと面白いのかもなあ…って感じ。
 あ、それと劇中の民謡テイスト溢れる「Kutu Ma Kutu」聞いてても「へえ。こういうのがネパールではヒットするのねえ」とインド楽曲とのテンポの違いや牧歌的な節回しに、ネパールらしさを感じるのは、正しいのか間違いなのか…まずそこから考えないといけないのかなあ…。

 


挿入歌 Kutu Ma Kutu

*元々、本作に先行して制作され、ネパール史上初のネット配信1億回視聴記録を達成したネパール歌曲で、本作のこのシーンはそのMVの再現シーン? 

 MVの方でもアシフ・シャー、ニスチャール・バスネト、スワスティカ・カードカー、ブッディ・タマンが出演しているそうで、そのまま映画企画へスライドしたのが本作ってこと、なのかなあ…。

 


受賞歴
2018 Kamana Film Awards 振付賞(カビラージ・ガハトラージ)

 

 

(。・ω・)ノ゙ DR を一言で斬る!
「ネパール人も、ロイヤル・エンフィールドが好き。了解しました」


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