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Lakshmi (ダンス・ダンス・ラクシュミー / 2018年タミル語版) 2018年 130分
主演 プラーブ・デーヴァ & アイシュワリヤー・ラジェーシュ & ディティヤー(・バーンデー)
監督/脚本 A・L・ヴィジャイ
"史上最大のダンス選手権!!"

 

 

 母親と共に新居に引っ越して来た10才の少女ラクシュミーは、母親に隠れてあらゆる所で踊り明かすダンス好きな女の子。

 テレビで告知されるダンス大会"プライド・オブ・ライフ・インディアJr."に出場したいと希望するラクシュミーだったが、ダンス嫌いな母親ナンディニの手前、それを口にできない。しかし、選手権出場の条件がダンスアカデミー入学だと知って居ても立ってもいられず、母親に隠れて知り合いのカフェ店長クリシュナを父親代わりに使いCDA(チェンナイ・ダンス・アカデミー)入学準備を整えてしまう!
 入学費用の他、練習用トレーナーもクリシュナに用意させたラクシュミーは、優勝賞金でクリシュナの恩に報いようと奮闘するも、アカデミー代表メンバーに選ばれて臨んだ州大会予選の舞台上にて、固まったまま動くことができなくなってしまう…。
 

 

挿入歌 Dance Competition (ダンス・コンペ)

 


ニコニコ タイトルは、主人公の名前。移り気な幸運と美、富を司るヒンドゥーの女神ラクシュミーに由来する女性名。映画自体もそんなラクシュミー女神の属性をテーマにしているとかなんとか。
 「神様がくれた娘(Deiva Thirumagal)」のA・L・ヴィジャイ監督による、タミル語(南インド タミル・ナードゥ州の公用語。スリランカとシンガポールの公用語でもある)・ダンス映画。タイトルを強調するように、ヴァララクシュミー・ヴラタム(7~8月に南インドで行われる、既婚女性によるラクシュミー祈祷祭)に公開された。

 1977年のマラヤーラム語(南インド ケーララ州とラクシャディープ連邦直轄領の公用語)映画をはじめとして、数々の同名映画が存在するけれども、全て別物、のはず。
 同名テルグ語(南インド アーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナー州の公用語)吹替版、ヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語。フィジーの公用語の1つでもある)吹替版「Naach Lucky Naach」も公開。
 インド本国より1日早く米国公開され、インドと同日公開でオーストラリア、シンガポールでも公開されたよう。

 過去にプラーブ・デーヴァによって作られた数々のダンス映画の系譜上にあるようなダンス・サクセスストーリー。
 「神様がくれた娘」のように女の子をはじめとした子供たちを縦横無尽に活躍させ、そのダンス技術の高さを全力でアピールする演出力もハイレベルながら、それに答える主役ラクシュミー演じるディティヤーをはじめとする子供たちのダンス力・演技力・その眼力から迫力から凄まじい。大人に対抗しようとする子供たちの小憎らしさ、可愛らしさ、素直になれない不器用さも存分に表現され、児童文学的な空気も醸し出す映画構成のすばらしさよ。

 この映画の魅力を全力で支えて各映画賞を総なめにした主人公ラクシュミーを演じるディティヤー(・バーンデー)は、2006年マハラーシュトラ州ムンバイ生まれ。
 2016年のタレント発掘TV番組「Super Dancer Season 1(スーパー・ダンス・シーズン1)」に出演、優勝して獅子金ダンサー賞を獲得。本作に抜擢されて映画&主演デビューしてアナンダ・ヴィカタン映画賞の子役賞をはじめ数々の子役賞をも獲得している(国際南インド映画賞の子役賞にもノミネートされた)。同年のヒンディー語映画「Zero(ゼロ)」でも挿入歌"Mere Naam Tu"にゲスト出演している。

 過去の出来事から、ダンスそのものを否定する母親を乗り越えてラクシュミーが舞台に立つまで、さらには様々な心の傷を乗り越えて全国大会に出場して優勝を目指してチーム一丸となってダンスに熱狂していく様を描くのは、過去のプラーブ・デーヴァ・ダンス映画と似た流れながら、チームメイトたちのキャラが濃いいのと、主人公ラクシュミーの「大人を利用してでも踊る覚悟」「母親を守るためにダンスのことを常に秘密にすると決めた覚悟」と言う2つの相反する気概が、彼女の子供らしさ・子供らしからぬ態度を引き出す複雑な成長劇を見せていく。
 そこから、いつものように過去に傷もつ父性で主人公を引っ張っていくプラーブ・デーヴァ演じるVKが良いとこ全部持ってくかのような存在感を見せつけるのはご愛嬌ながら、そのプラーブ・デーヴァを「お父さん」代わりにして振り回すラクシュミーの可愛さ・小憎らしさったら満点中の満点ですわ。
 ま、州大会で固まってしまったラクシュミーが心の傷を回復するまでがスピーディーすぎたり、VKがラクシュミーに親身になるツンデレ心理が大雑把だったりってのはあるけど、まあダンスに注目すればいいサクセスストーリーだから、ラクシュミーの心理的陰影さえダンスに反映されていれば気持ち良く見れてしまいますかねえ…。

 ラクシュミーとダンスチームを組む子役たちも、TVのダンスショーを勝ち抜いた精鋭のようで、その体のキレは大人顔負け。大人の都合に振り回されない子供同士の友情・愛情を存分に表現してくれるダンス狂たちの姿に、将来がもりもりに楽しみですわ。
 脇を固める、ダンス好きの校長先生演じるコヴァイ・サララ(「Muni(ムンニ)」シリーズを始めタミル語映画界で活躍するコメディアン女優!)や、ラクシュミーの自宅前の洗濯屋さん演じるジョージ・マールヤン(「神様がくれた娘」の主人公の友人役や「囚人ディリ(Kaithi)」のナポレオン役の人!)とか、名優たちもいい味出して自分の見せ場をアピールしていて良きかな。
 惜しむらくは、映画後半のダンス大会が話を盛り上げるためにやや御都合主義がすぎる点だけど、エモーショナルを大事にするインド映画的な常道演出ってことにしておこうかな…。でも、ライバルチームがステージ上に画鋲撒いたままで演技を始めさせて、次々に出血してるのに気づいてるのにそのまま最後までダンスさせるのはどうかと思いますよ主催者!(次の日の決勝には全員無傷に戻ってて、主人公のダンスの時だけ炎とか特大つり輪とかの派手なギミックを用意してるけど!!)

 


挿入歌 The Rhythm Of Dance (ザ・リズム・オブ・ダンス)

 


受賞歴
2018 JFW Movie Awards 子役賞(ディティヤー・バーンデー)
2018 Galatta Debut Awards 女児デビュー賞(ディティヤー・バーンデー)
2018 ノルウェー Norway Tamil Movie Awards 子役賞(ディティヤー・バーンデー)
2019 Ananda Vikatan Cinema Awards 子役賞(ディティヤー・バーンデー)

 

 

(。・ω・)ノ゙ Lakshmi を一言で斬る!
「未来のガネーシュ・アチャーリヤーここにあり!!??(アーノルド役のアクシャト・シンのキレのありすぎるダンスの数々よ!!)」


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