Singh Is Bliing (シンは宝石) 2015年 139分(141分とも)
主演 アクシャイ・クマール & エイミー・ジャクソン
監督/カメオ出演 プラーブデーヴァ
"シンが帰ってきた!"
パンジャーブ州バッシィ・パターナーに住むラフタール・シンは、村の人々から慕われる人気者ながら、無職のまま遊びまわってる事で父親に激怒される毎日。
ついに父親から「ゴアの友人の所で働くか、近所のスウィーティーと結婚するか、選べ」と宣言されて、すぐゴアへ旅立つことになる。
同じ頃、ルーマニアで父親の取引相手であるマフィアボス マークに目をつけられた美女サラ・ラーナーは、彼の手を逃れるためゴアにいると言う母親を探しにインドへ向かっていた。
ゴアのカジノオーナー キルパール・シンの下で働くことになったラフタールは、「ルーマニアから来るお客の身辺警護をしろ。相手はヒンディー語が分からないから英語でお相手するんだ」と命じられ、仕事欲しさに英語もわからない身で承諾。そのお客であるサラを迎えに行って、インド人を顎でこき使う彼女の手伝いをすることに。さっそく英語通訳のエミリーを介してサラに気に入られようと、あの手この手で奮闘するも、実はサラは凄腕の格闘家。護衛なしでもチンピラを撃退するほどの人物だったのだ…!!
挿入歌 Cinema Dekhe Mamma (映画でも見に行こうよ、ハニー!)
2008年の、似た名前のヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語。フィジーの公用語の1つでもある)映画「Singh Is Kinng(シンは王様)」と同じアクシャイ主演作ながら、全く関係ない別作品(路線がほぼ同じだし、キャッチコピーが「シンは帰ってきた!」なので意識はしてそうだけど…アクシャイ自身が映画プロモ上で、続編企画ではないと明言してるんだそうな)。
ガンディー生誕記念日(10月2日)に公開が始まったインドの他、クウェート、オーストラリア、デンマーク、スペイン、英国、オランダ、パキスタンなどでも公開。
その内容は、批評家からは2006年の韓国映画「조폭 마누라 3 (My Wife is a Gangster 3)」を部分的に翻案したものではないかと指摘されていたりする。
ヒットメーカー振付師でもあるプラーブデーヴァの、13本目(ヒンディー語映画としては6作目)の監督作。
少しヌケていてお調子者ながら皆の人気者のシーク教徒青年を主人公に、その家族愛・パンジャーブ愛・シーク愛を体現させながらドタバタを繰り返す、派手派手なノリ重視のコメディ劇。
前半は、ルーマニアから来た白人美女にいいとこ見せたい主人公が、英語とヒンディー語のすれ違いを通してドンドンドツボにはまっていくしつこい笑いの連続を見せつけてくるかと思えば、格闘戦では登場人物中最強キャラのヒロインのキレのいいアクションも最高だし、それにビックリしつつ強がって無理にアクションしようと無駄に頑張る主人公たちも楽しい。通訳で呼ばれた臆病なエミリーの、それでもやっぱりお調子者なキャラ付けもナイスであります。まあ、無駄にセクシーネタもぶちかましてくれたりするのをそつなくこなす、出産&育児から映画復帰した女優ラーラ・ダッタの愛嬌と芝居根性も「ハウスフル(Housefull)」の時と同じく「よーやるわ」でございますが。イイゾモットヤレー!ラーラさんの映画ももっと見たいよー。
後半は、舞台をパンジャーブとルーマニアに移して、主人公ラフタールとツンツンヒロイン サラの2人を取り巻く家族の有様が対極的に描かれていく家族愛もの映画に変わっていく、その映画構造の変化具合も素晴らしか。
映画冒頭の登場シーンから仏頂面で周りを頼りにしない最強ヒロインが、パンジャーブ人たちの家族愛に触れて自身の求める家族との距離感を感じていく過程も、コメディ劇の中に自然と組み込まれていながら切なく印象的。主人公よりも主人公してるサラが、家族のしがらみという負の側面によってピンチを迎える中で、今まで情けない姿ばかり見せていた主人公ラフタールが立ち上がっていく姿の、なんと雄々しいことよ。中盤まで「サラの母親探し」とか「ルーマニアのマフィアボスに狙われるサラ」といった要素が無視されてやしないか、って語り口が突如全てをまとめ上げる骨太なストーリーラインを描き出すんだから、まートンデモね。
インドのパリピリゾートとして有名なゴアのシーンも、他のゴア映画でも見た覚えのある風景が出てきてゴアプロモ映画にもなって…るんですかねえ。ヤバそうな職場ではあるけど、コネさえあればあんな簡単に食っちゃ寝仕事をゲットできるんならワタスもゴア行きたーい!(それなりにヤバそうなお仕事でしたけど)
ラストシーンの舞台となるルーマニアの名所フニャド城(別名コルビン城またはフネドアラ城)も、どっかの映画で見たような気がするけど不思議な雰囲気のロケーションで、ルーマニアの風景自体幻想的に撮ってる本作の中にあって、ひときわ印象的。そんなとこで「マガディーラ(Magadheera)」ばりの落下アクションさせちゃってよかったのかしらん。イイゾモットヤレー!!
冒頭のパンジャーブのシーンで、本作以後の公開作品「カンフー・ヨガ(Kung Fu Yoga)」でも見た覚えのある「ライオンと一緒に車に乗っちゃってもー大変!」ってネタが出てきたけど、合成にしてはかなりリアルだな…とか思ってたら、実際に本物のライオンと共演させて合成処理一切使ってないって情報を読みまして……マ・ジ・デ!! 主演アクシャイ以外との絡みもあったけど、ホンマよーやるわ!!
挿入歌 Tung Tung Baje (トン・トンと行こう)
*冒頭、空砲の音がうるさいので注意。
(。・ω・)ノ゙ SIB を一言で斬る!
「なんでルーマニア育ちで英語ネイティブなの? って所はツッコミ無用ですよねソウデスヨネ(両親はヒンディー語ネイティブっぽいし)」
↓こちらも参照くださいな。
インド映画夜話