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Naayak (ナーヤク ~はじめに立ち上がる者~) 2013年 155分(160分とも)
主演 ラーム・チャラン & カージャル・アグルワール
監督/脚本 V・V・ヴィナーヤク
"恐怖に立ち向かう、先頭に起て!!"

 

 

 その日、コルカタ(旧カルカッタ)の有力者を襲撃して街の支配権を奪取しようとしたタクシー・セスは、何者かに逆襲されて手下もろともに殺された。
 タクシー・セスの兄である中央政府大臣ラーワトは、事件を担当するCBI(中央捜査局)捜査官に命じる…「どう殺されたかなど興味はない。誰が殺したかだ! そいつをここに連れてこい。私がそいつを殺してやる!!」

 同じ頃、ハイデラバードに住むソフトウェア・エンジニアの青年チェリー(本名ラーム・チャラン)は、叔父ジェレビの不始末解決のために地元ギャングのボス バブジーに取り入って問題を解決しながら、密かにバブジーの溺愛する妹マドゥーと仲良くなって行く。
 ついにチェリーとマドゥーが恋仲になったらしいと聞いたバブジーは激怒してチェリーを追跡するが、そのチェリーと思われる男が州議会議事堂に入っていって西ベンガル州の警視総監を暗殺するのを目撃してしまう!
 おりしも、コルカタのセス一党殺害事件を追う捜査チームがハイデラバード入りして警視総監暗殺事件の捜査に加わると、現場をうろついていたバブジー率いるギャングに嫌疑がかかり、彼らへの尋問から2つの事件の犯人として「ラーム・チャラン」の名前が浮上する…!!

 

 

挿入歌 Hey Naayak (ねえ、リーダー [貴方は愛のリーダーなのよ])

 


ニコニコ タイトルは、テルグ語(南インド アーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナー州の公用語)で「リーダー」とか「頭領」とかの意。タイトル下に、英訳「THE LEADER」とも書かれている。
 テルグ語映画界で活躍するV・V・ヴィナーヤクの、12本目の監督作。インド映画初となる、スロベニアロケを行った映画としても知られる。

 1月中頃に行なわれる収穫祭マカラ・サンクラーンティに合わせて公開し、複数の映画館で100日を越えるロングラン大ヒット。同じタイトルでタミル語(南インド タミル・ナードゥ州、スリランカ、シンガポールの公用語)吹替版と、マラヤーラム語(南インド ケーララ州、ラクシャディープ連邦直轄地域の公用語)吹替版が公開。14年には、ヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)吹替版「Double Attack」が、ベンガル語(北インド 西ベンガル州とトリプラ州、アッサム州、アンダマン・ニコバル諸島の公用語)リメイク作「Hero: The Superstar」も公開された。

 V・V・ヴィナーヤク監督お得意の、権力の腐敗を木っ端微塵にぶっ殺すマサーラーヒーローが縦横無尽に暴れまわるマサーラー映画。
 怒れる女神カーリーを体現するコルカタのナーヤクと、クリシュナのような幸運と度胸を兼ね備えたハイデラバードのチェリーという2役を、1人で演じるラーム・チャランがすべての決めシーンを持っていくラーム・チャラン大乱舞映画でありますわ。
 2007年の映画デビュー作「Chirutha(チーター)」では「チャラン」役、10年の「Orange(オレンジ)」では「ラーム」役を演じてきたラーム・チャランが、ついに本作で自分の名前と同じ「ラーム・チャラン」役を演じて(かつニックネームが「チェリー」なのもそのまま活用されている)、さらなる真のヒーロー シッダールト・ナーヤクの活躍を手助けするんだから、もう、ラーム・チャランによるラーム・チャランのためのラーム・チャラン映画であることが宣言されてるようなもんですわ(ホンマかいな。ま、主演男優の芸名と役名が同じ映画とか、特定の役名を演じることが多い男優とか、インド映画ではよく見るっちゃ見るけど)。

 前半のハイデラバードを舞台にした1地区のギャングボスから始めて、徐々に敵の規模が拡大していき、児童労働、マスコミや警察の腐敗、と言った社会派メッセージ色も強くなっていく。それに比例して無茶なアクションの数々や軽快な口喧嘩もド派手になっていくのも大暴れ映画としてグレートですよこいつはぁ…な構成。水場でのアクションの蹴り1つで飛び散る水しぶきのキレの良さ、ミュージカルシーンに集中している外国ロケも、爽やかにラーム・チャランをアピールするお祭りポイントといったところか。
 まあ、そのわりには物語はそこまで印象に残らないギャング抗争ものの域を出ず、ダブルヒロインもそこまで前面に活躍してくれない映画なんだけど、それでもなお映画としてインパクト大な印象を残し、ノリノリで見終えるのは、やたらと軽快なテルグ語の応酬とコメディ担当の枠役俳優陣の豪華さか。悪役で登場しているバブジー役のラフール・デーヴや、その忠実な部下の叔父役のジャヤ・プラカーシュ・レッディ始めとした面々もユーモアたっぷりに自分たちの出番を存分にアピールし笑かしてくれる。ラスボス ラーワト演じるプラディープ・ラーワトの悪の中の悪役演技の迫力とは、ハッキリとその方向性を変えて小悪党を演じていく俳優陣の楽しそうな様子ったらもう。そのコメディ面、ユーモア面、アクション面、ドラマ面が見ているこちら側の気持ちを次々に膨らませていくそのバランス感覚を重視して構成された演出の勝利でありましょか。
 この映画と前後したあたりから、テルグ語娯楽映画がやたらとコメディアンの話芸合戦映画へとシフトしていくのを見ていると、その過程上にある映画ってことにな…るのかなあどうかなあ。

 個人的には、ナーヤク編のヒロイン ナンディニ役のアマラ・ポールの出番がもっと欲しかった気もするんだけども、メインヒロインであるマドゥー役のカージャル・アガルワールの印象を極力減らさない程度のバランスでちょうど良かったのかな…。お互いにどこまでファッショナブルになるかもっと競ってもよかったんやで。モットヤッテオクレー!

 


挿入歌 Oka Choopuke Padipoya (君の眼差しで恋に落ちた)

 


受賞歴
2014 South Indian International Movie Awards ダンス振付賞(ジョニー / Laila O Laila)
TSR - TV9 National Film Awards 主演男優賞(ラーム・チャラン)

 

 

(。・ω・)ノ゙ Naayak を一言で斬る!
「テルグ人は『コルカタ』でなくて『カルカッタ』って言うのネ(人によるでしょうが)」


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