゚Д゚) <タイムトラベル・キューピッド (Action Replayy) | インド映画噺

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タイムトラベル・キューピッド (Action Replayy) 2010年 130分
主演 アクシェイ・クマール & アイシュワリヤー・ラーイ・バッチャン & アディティヤ・ローイ・カプール
監督/製作 ヴィープル・アムリトラル・シャー
"君の人生を、巻き戻せ!"

 

 

 この頃、恋人タニヤに結婚を迫られるバンティだったが、ケンカばかりの両親を見ている彼に結婚願望は一切ない。

 結婚35周年のサプライズパーティーの席でも、一悶着を起こした両親は大喧嘩の末、ついに離婚を決意して共に家出してしまった。
 バンティは、両親の離婚の危機を回避する方法として、以前タニヤに連れられて行った彼女の祖父アンソニー・ゴンザレスの研究所を訪ねる。そこにはアンソニーの発明した本物の「タイムマシン」があって、バンティはこれを密かに使って両親の出会いの年1975年のボンベイを目指そうとするのだった! 若き日の両親…いじめられっ子のキシャンとパリピなマーラーに、より劇的な出会いを体験させれば夫婦仲はここまでこじれることがないだろう事を期待して…!!

 

 

挿入歌 Chhan Ke Mohalla (私は近所中を探しまわる [青春は過ぎ去る。私の欲求を満たすのは誰?])

 


ニコニコ 70年代のインドにタイムスリップする、ヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)映画版バック・トゥ・ザ・フューチャー登場!
 あいかわらず、ヴィープル・アムリトラル・シャー作品はどこか"妙"な映画になりますな。

 本作は、同名グジャラート語(北西インド グジャラート州とダマン・ディーウ連邦直轄領、ダードラー及びナガル・ハヴェーリー連邦直轄領の公用語)演劇を原作としてる他、やはりそのプロットは「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future)との類似点が指摘されている。
 ヒロインを務めるアイシュは、この年に本作を含めて「ロボット(Enthiran)」「ラーヴァン(Raavan / Raavanan)」「哀願(Guzaarish)」と立て続けに主演作を発表した後、出産&育児のため一時女優業から遠ざかっていた(その後の15年に「Jazbaa(激怒せよ)」で映画復帰している)。

 まあ、なんと言うか、やりたいことが前に出過ぎて物語的段取りがおざなりになってしまってる映画、って感じでしょか。
 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を下敷きにしたようなストーリーながら、リファインとかでなく、単純に70年代レトロな世界を舞台にしたドタバタ劇って展開に終始してるので、お話的には「はあ。そうスカ」で終わってしまう。ま、セリフの端々に色々世代的小ネタは仕込んでるような気はするけれど(恋敵が収監された牢屋に先に入ってた囚人が「俺の名前はラマン・ラーガヴ」と有名なシリアルキラーの名前を名乗るのはちょっと笑ってもーた…けど、笑えるネタなのかそれ!)。相変わらず、ボリウッドコメディはボケが長くてツッコミ不在なことが多いですなあ…。

 見所は、なんと言っても次々と着せ替え人形のように70'sファッションに着替えまくるヒロイン マーラー演じるアイシュの愛嬌の数々。
 さすがスーパーモデルだけあって、なに着ても似合うし着こなすし、キッチュ&サイケカラーな作品世界の中で、その美貌を遺憾無く発揮しまくってるんだからスゴイ。キャラ的には、古典的ツンデレヒロイン像から一歩も出ない薄っぺらな役どころながら、それでも存在感を存分にアピールする画面の底支え的オーラを誰よりも発揮しておりました。
 そうしたキャストたちを彩る、70'sレトロな世界を構築するファッションや小道具大道具(特に頻繁に登場する70年代スタイルの車両)が最も予算を削っていったんだそうだけど、そのノスタルジー感覚をどんどこ強調する色彩の洪水は、たしかに現代から再構築するだけで相当な苦労だよなあ…と感心してしまいますことよ(黒澤明も、どこかで一昔前の風景を再現するのが一番お金がかかるって言ってましたっけ)。

 監督を務めるヴィープル・アムリトラール・シャーは、1967年グジャラート州カッチ県生まれ。
 グジャラート語TVドラマ業界で働き始め、94年のTVドラマシリーズ「Jeevan Mrityu」で監督を務める。99年から始まるTVドラマ「Ek Mahal Ho Sapno Ka」でも監督を務めこれが異例のロングシリーズに。同年にグジャラート語映画「Dariya Chhoru(海の子供たち)」で映画監督デビューを果たす。
 01年にはTVドラマ「Hum Pardesi Ho Gaye」でプロデューサーを務め、02年に「ブラインド・ミッション(Aankhen)」でヒンディー語映画監督デビューとなり、05年には監督作「Waqt: The Race Against Time(時間との競争)」で映画プロデューサーデビューする。以降、映画監督、映画プロデューサー、TVドラマ監督として活躍中。

 現代人主人公が70年代に行って両親の若い頃と出会うドタバタ脚本への導入的段取りはわりとしつこくきっちりやってくれるのに、そこに出てくる重要モチーフなはずのタイムマシンは、タメ無しで登場し、タメ無しで勝手に使用され、タメ無しで故障し、タメ無しでいつの間にか修理されているぞんざいさがなんとも。16年公開のタミル語のタイムマシン映画「24」でも、タイムマシンの「使い方」に注目しながら「その技術構造や効果」はわりといい加減な描写で終わるってのは、その辺のSF的ファクターよりも人情劇の方を見たいって素直な欲求とインドの物語文法故ですかねえ。

 


挿入歌 Zor Ka Jhatka (なんてひどいへまだろう [結婚は悪夢に早変わり])

 


受賞歴
2011 Golden Kela Awards 最悪原案賞

 

 

(。・ω・)ノ゙ タイムトラベル・キューピッド を一言で斬る!
「インド人がタイムマシンを手に入れると、もっとこう、斜め上な聞いたこともないような使い方してきそうな…(勝手な思い込み)」


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