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ラチャ (Racha) 2012年 144分
主演 ラーム・チャラン & タマンナー
監督/脚本 サンパト・ナンディ
"リスクなしの人生なんて、つまらないだろ?"






 幼いラージは、村の対立を解決した父スリーナラーヤナに連れられて全村人が参加する祝賀の席にいた。父の親友の娘アンムーに見守れつつ、祈祷に必要な白百合を家から取って戻って来たその時、突然の爆発が村人たちを襲い、唯一の生き残った彼は天涯孤独の身になってしまう…!!

 13年後。ラージは、養父母の自慢の息子でありつつ、一流のギャンブラーとしてハイデラバードの下町で成長していた。
 ある日、養父が突如肝硬変で入院。その移植手術には1ヶ月以内に20ラーク(=200万ルピー)もの大金が必要だと言う! 思い悩むラージの前に、かつて彼に負けたギャンブル相手のジェームズが現れる。
「ゲームと行こうぜ。これに勝てば、お前に20ラーク払ってやる。街のドン バラリの一人娘チャイトラの心を射止めてみせろ。言葉を交わしただけで父親に殺される、屋敷で厳重に警備されてるお姫様をな。30日以内…つまり12月31日までに、彼女がお前に『愛してる』と言えば、お前の勝ちだ!」

挿入歌 Singareni Undi (シンガレーニーは石炭でいっぱい)



ニコニコ タイトルは、テルグ語(南インド アーンドラ・プラデーシュ州とテランガーナ州の公用語)で「騒音」とか「騒動」の意。アルファベットでのスペルは「Rachcha」の場合も。
 本作公開と同年に、タミル語(南インド タミル・ナードゥ州の公用語)吹替版「Ragalai」、マラヤーラム語(南インド ケーララ州の公用語)吹替版「Raksha」、14年にヒンディー語(インドの連邦公用語。主に北インド圏の言語)吹替版「Betting Raja」も公開された。
 日本では、2015年のインド映画同好会 大映画祭にて上映。2024年には、IndoEiga Japan主催のラーム・チャランお誕生日記念上映作としても上映。

 衝撃のプロローグから始まり、前半はラージの恋愛ゲームによるラブコメ。そこから展開するマフィアとの対決を描く後半は、怒濤の展開と事件の真実が暴かれる一大アクション・ラブコメ。
 アーンドラ・プラデーシュの他、ゴア、スリランカ、タイ(バンコク)、中国(浙江省湖州市安吉県。なんでも、本作は初の中国内陸部ロケとなったテルグ語映画なんだそうな)など各地で撮影が行われた派手派手な映像群が、これでもかと主演2人の活躍を盛り上げる。
 とにもかくにも、撮影中何度も怪我に見舞われたと言うラームチャランのスターっぷりが堪能できる一大ヒーロー映画。「戦士(Magadheera)」の時もその魅力を発揮していた彼が、本作を見ると「ああ、それでも「戦士」の頃はまだあか抜けていない役者だったんだなあ。今の方が全然カッコいいじゃん!!」と思えてしまう素晴らしさ。多少どころか結構強引なお話も、彼の身のこなし、流し目、猪突猛進のスピード、変幻自在の会話力、圧倒的なダンス力、所々で入っている父親ネタ(シャンカル・ダダ!)と、そのスター性をいかんなく発揮してくれる。サイコーですゼお客はん。

 そのラームチャラン(誕生名 コニダーラー・ラーム・チャラン・テージャー。クレジットでもラーム・チャランと表記される場合もある)は、テルグのメガスター チランジーヴィーの息子で、母方の祖父は200作以上の映画に出演した有名なコメディアン アルー・ラーマ・リンガイアー。親戚にはナーゲンドラ・バブー、パワン・カリヤーン、アルー・アラヴィンドなどなどテルグ映画の中心人物が名を連ねる。
 2007年に「Chirutha(豹)」で映画&主演デビューして(役名が"チャラン"!!)一躍トップスターの仲間入り。続く09年の「戦士」ともども新人賞や主演男優賞を獲得して映画自体も大ヒットさせるヒットメーカー道を爆進中。

 ヒロイン チャイトラを演じたのは、1989年ムンバイ生まれのモデル兼女優タマンナー(・バーティア)。ダイヤモンド商を営むシンディー家系(現パキスタン南部シンド州から派生した、シンド語を母語とするコミュニティ)出身で、13才の頃から舞台やミュージックビデオ、広告モデルなどで働きはじめ、05年にヒンディー語映画「Chand Sa Roshan Chehra」で映画&主演デビュー。同じ年にテルグ語映画「Sri」で、翌06年に「Kedi」でタミル語映画にそれぞれデビューしている。
 07年以降、年に3~6本もの映画出演をこなす人気女優になっていき、09年のタミル語映画「Kanden Kadhalai(愛を見た)」でサウススコープ主演女優賞を獲得。現在主にテルグ語、タミル語映画で活躍中。Zee・テルグ・チャンネル他、各種宝石店のブランド大使も務め、自らも"Wite-n-Gold"と言う宝石事業を展開している。

 大晦日の一大アクションからのラージ&チャイトラの逃避行、バラリの「なんのためにあの娘を育てたと思ってるんだ!」の台詞、そこからインターミッションを経てのラージとチャイトラをめぐる状況の劇的変化、事件の真相暴露による180度変わる映画展開は爽快。
 恋愛ゲームから始まった2人の関係が、おバカなラブ・グル(恋の伝道師)を道化役として盛大におちょくるシーンと並行しつつ真実の愛へと変化する構成も見事なら、オープニングの事件が最後の展開に関わってくる踏襲具合もスンバラし。色々取り散らかった展開だと見せかけて、無駄なシークエンスや登場人物(や小物類)のない脚本術・演出術の見事さよ(インド映画の展開に慣れてる目には、って注釈が必要だけどw)。

 中国ロケがあるせいか、後半の逃避行中にいきなり出てくる竹林バトルの「なんでLOVERSやねん」ってパロディ具合も楽しいけれど、新年を迎えた時期にも関わらずへそ出しサリーで屋外水浴びするチャイトラに「さすが南国インドだなあ」とか思ってたら、最終決戦で「この稲刈りを使え!」と突然村人から投げられるゲームアイテムか! ってくらいド派手な装飾斧の凶悪さが「…さすがテルグ!!」って感じぃ(映画公開後、この斧は競売にかけられて、その売上は貧困家庭の子供の教育費として寄付されたそうな)。油断できねえ映画ですわ。

挿入歌 Oka Padam (この空間で充分 [君と過ごす1日で])

*タマンナー、ユアユアユアユア マイ ディルキー(心) タマンナー!!
 双方のファンから怒られるかも、だけど、このシーンのタマンナーは特にマードゥリー(・ディークシト)っぽい、気がする(弱気)。



受賞歴
2013 Filmfare Awards South 振付賞(ジャニ / Dillaku Dillaku)


(。・ω・)ノ゙ ラチャを一言で斬る!
「踊りもアクションも、『戦士』の頃からラームチャランは片足ポーズが多いのが少し心配になりますわ。楽しいからいいけどw」


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